トヨタ・クラウンマジェスタ

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クラウン マジェスタCROWN MAJESTA )は、トヨタ自動車が生産し、同社がTOYOTAブランドで展開している高級4ドアセダンである。

取扱店はトヨタ店(東京のみ東京トヨペットと併売)。

概要

1989年8月、8代目クラウンマイナーチェンジにおいて、新開発となるV型8気筒DOHC3,968ccの1UZ-FE型エンジンが、同年10月に登場するセルシオ(初代)に先駆けて初めて搭載された。このグレードは「4000ロイヤルサルーンG」と呼ばれ、新しく設定されたものである(通称「V8クラウン」)。

この車種の事実上の後継車種として、クラウンの更に上位に位置し、クラウンとセルシオの隙間を埋める車種として設定されたのがクラウンマジェスタである。

なお、1964年に登場したクラウンエイト(VG10型)は、当時のクラウン(MS41型)とは別の最高峰モデルとして、大型専用ボディとエンジン(2,600ccのオールアルミ製のV型8気筒)を搭載していた。このモデルも、後のクラウンマジェスタのルーツのひとつとも考えられる。

「クラウン」の車名を冠しているが、単に「マジェスタ」と呼称されることが多い。

初代からフロントガラス上に情報を表示する機能を持ったフロントヘッドアップディスプレイ(HUD)を標準装備し、他車との差別化を図っていたが、現在は廃止された。初代より日本国内専用車として設計・生産されていたが、4代目は紅旗・HQ3(盛世)のベースとして、5代目からは中国におけるクラウンの現地生産車(2代目 S200型)としても採用され、この後中国戦略車としての役割も担うこととなった。

歴史

初代 S140型(1991年 - 1995年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 9代目クラウンと同時に登場。前記の通り、1989年にデビューしたセルシオ(レクサス・LS)との間に位置する車種として投入された。エンジンはクラウンの直列6気筒3,000ccとセルシオに搭載されているV型8気筒4,000ccの2種類。また当時、セルシオにも非採用のエレクトロマルチビジョンが採用されている。なおアリスト(JZS147型)とは兄弟車種であり、シャシーを共有していた。

全体的に丸みを帯びたフォルムを持つ。特に、横長のリアコンビネーションランプはリアエンド一杯に広げられ、ワイド感が強調されている。そしてハイマウントストップランプには、当時販売されていた、トヨタ クラウン、トヨタ セルシオ、トヨタ マークⅡに採用されていたLEDハイマウントストップランプが使用されている。このハイマウントストップランプは横長で照射範囲は広いが、経年劣化で低照度化してしまう為、後世代では電球式のハイマウントストップランプに変更された。

クラウン36年の歴史で初となるフルモノコックボディを採用。ピラードハードトップの形をとっていた。空気抵抗は、CD=0.31

グレードは上位から「Cタイプ」「Bタイプ」「Aタイプ」の3種。Cタイプが4,000cc、BタイプとAタイプが3,000cc。Cタイプはリアに「V8」のエンブレムが付く。

  • 1991年10月28日 - 発売。
  • 1992年 - 4WDのCタイプi-Fourを追加。
  • 1993年 - マイナーチェンジ。 フロントグリル、リアコンビネーションランプの意匠変更。クロムメッキドアハンドルの採用。助手席エアバッグ(オプション)の設定。

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2代目 S150型(1995年 - 1999年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1995年9月 - 初のフルモデルチェンジ。このモデルより5代目に至る迄リアコンビネーションランプが縦型になる。縦型タイプのリアランプはこれ以降も継続され、クラウンの横長ランプに対し、マジェスタ独自の差別化がされる。なお、エンジンの出力は1UZ-FEが265PSに向上。CMの音楽は久石譲が手がけた。

初代モデルの丸みを帯びたデザインに比べ、直線的デザインに変わっている。また、ベースカラーも明色系ツートンから暗色系ツートンになった。

バブル崩壊後に登場したことで初代に比べるとインテリアの装備品の簡略化が目立っている[1]

  • 1997年8月 - マイナーチェンジ。フロントグリルの変更と同時にディスチャージヘッドランプが採用されたほか、ボディがVIPSから衝突安全ボディGOAへと進化した。そしてメーカーオプションのEMVが7インチワイド化された。なお、1UZ-FEがVVT-i化され、280PSに出力向上。4L・2WD車のATが5速化されている。

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3代目 S170型(1999年 - 2004年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1999年9月 - 発売。このモデルよりクラウン同様にプラットホームが一新され、ボディ形状がこれまでのハードトップからドアサッシュ(窓枠)を持つセダンへ変更された。 先代同様、衝突安全ボディGOAを採用 。

搭載エンジンは先代と同じであるが、4,000ccのモデルは出力が280PSに向上している(直6モデルは220PS)。

4リッター、3リッターの両グレード共にベースグレードのAタイプ、上位グレードのCタイプの2種類のみの展開となる。Cタイプには全てエアサスペンションが装着され、また4リッターCタイプには4WDモデルが存在している(このモデルのみ4AT)。

専用のオプションでフードクレストマークを装着できるようになり、全体的に大きくなった車幅に対し、目安を付けることで運転しやすくなっている。ベースカラーはホワイト・ベージュ系のツートンと、ダークブルー系のツートンが主に使用されている。なお、ナビタイプが、従来のCD-ROMからDVD方式に変更された。後期型ではオットマン機構などの特殊装備も追加され、ドライバーよりも助手席や後部席の居住性を確保する仕様になっている。

2001年8月 - マイナーチェンジ。フロントグリル、テールランプなどを変更。 このモデルは生産終了後の今日でも、ハイヤーおよび社用車、個人タクシーとして用いられていることが多い。 テンプレート:-

4代目 S180型(2004年 - 2009年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2004年7月6日 - フルモデルチェンジ。「ダイナミック&マジェスティックセダン」のキャッチフレーズの元に新プラットフォームで製作された。「ZERO CROWN」としてモデルチェンジをしたクラウン同様に、従来より大幅にデザインが変更されたが、縦型テールランプは継承された。先代まではフロントをはじめ、王冠を模した「クラウンエンブレム」を使用していたが、この代より「トヨタエンブレム」に変わり、エレクトロマルチビジョンの車名ロゴも“MAJESTA”のみとなった。目標月間販売台数は1,000台。

エンジンは直列6気筒3,000cc搭載グレードがなくなり、セルシオやソアラなどと共通の3UZ-FE型V型8気筒DOHC4,292ccのみとなった。トランスミッションは、6速シーケンシャルシフトマチック(スーパーインテリジェント6速オートマチック<6 Super ECT>)のみである。グレードは4WD仕様のi-Fourをあわせ、CタイプとAタイプの3グレード。また、ターゲット年齢層を下げるため、ツートンカラーの設定がなくなり、スポーティーさを強調した単色のみの設定となっている(ベースカラーはホワイト・ホワイトシルバー系)。全車にカーナビゲーションとバックガイドモニターやETCを標準装備し、ナイトビュー、インテリジェントAFS、プリクラッシュセーフティーシステム、レーンキーピングアシストなどの当時最新鋭の安全装備も搭載されている。また、内装には天然木、特殊な防音材を使用し、高級感を図っている。

2006年7月3日 - マイナーチェンジ。フロントグリルの横桟が、2代目からの伝統である縦桟に変更された。同時にナビはHDDタイプに変更されている。セルシオが2006年6月で生産終了され、同年9月19日よりレクサスに移行し「レクサス・LS」として発売されたため、TOYOTAブランドとしてショーファードリブンカーであるセンチュリーを除いて市販車では最上級車種となった。マイナーチェンジに伴い、トヨタモデリスタインターナショナルより「クラウンマジェスタ・スーパーチャージャー」が発売されている。340馬力に向上したエンジン出力、エアサスペンション、強化AT、マフラー、スタビライザーなども専用に設計された仕様になっている。エンブレムも専用のものが付属。なお、ベース車両を2WDの全グレードから選択できるが、それぞれの車両価格に約200万円の増となる。また、持ち込み車検となるほか、税金の減免処置も受けられない。 テンプレート:-

5代目 S200型(2009年 - 2013年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 販売目標は1,000台/月と発表されている。基本的に先代のキープコンセプトであるが、全体的に押しの強さが控えられ、やや落ち着いたデザインになった。全長は4,995mm、全幅も1,810mmとなりボディサイズは拡大されたが、レクサスLSよりもサイズは小さく、かつてトヨタブランドで販売されていたセルシオに極めて近いサイズである(全長が初代F10型 - 3代目F30型(前期型)と同じで、全幅が10mm~20mm狭い。なお、セルシオは3代目F30型のマイナーチェンジ前までサイズはほとんど変わらなかった)。

エンジンはレクサス・LSやGSにも搭載されている1UR-FSE型エンジンを採用しているが、4WDモデルの「i-Four」にはエンジンルームのスペースの都合で1URエンジン用のセンターデフが収まらないとの理由から、先代の4.3Lの3UZ-FE+6ATを引き続き採用している。

シャシーとサスペンションは先代から継続されるものの、新型エンジンのパワーに耐えられるよう各部が強化されている。電子制御式エアサスペンションを今回も全グレードで採用し、カーナビゲーションの地図情報を元にしてダンパーの減衰力を変更する機能も搭載。また、ブレーキはレクサスGSと同様の、モノブロックタイプの4ポットキャリパーと大径ディスクブレーキをフロントに初採用。タイヤサイズは先代やレクサスGS350(標準仕様)と同じく17インチであるが、エンジンやサスペンションの向上に伴い235サイズへと拡大されている。 グレード体系も変更された。ベーシックグレードのAタイプ、それをベースに「アクティブステアリング統合制御」と「VGRS(ギア比可変ステアリング)」を装備して走行性能を強化した「Lパッケージ」(ホイールも専用デザイン)、今回は中間グレードとなる「Cタイプ」、そして最上級グレードとして「Gタイプ」が新設された。そしてGタイプの後席の居住性を重視し、ショーファードリブン需要に対応したクラウン・マジェスタとしては初の大型リアセンターコンソールを設置した4人乗りグレード「Fパッケージ」も設定されている。【※ちなみにCタイプ以下のグレードとGタイプは外観上、フロントウインドウのトップシェードの色(Cタイプ以下はグリーン、Gタイプのみダークブルー)の違いで判別可能。】また、Aタイプ及び同Lパッケージを除き、クラウンハイブリッドで採用されたファイングラフィックメーターがメーカーオプションで装着可能になった。

そしてこの「Gタイプ」には、世界初の技術として斜め前方の検知もできるようになった「前側方プリクラッシュセーフティシステム」、衝突時に後席のシートが前方に少し起き上がり乗員を保護する「プリクラッシュシートバック」、「Fパッケージ」には後席中央のエアバッグで後席の乗員同士の衝突を防ぐ「後席センターエアバッグ」の3つが搭載されている。

なお、マークXやレクサスLS、13代目クラウンと同じく、リヤバンパーとマフラーが一体化したデザインを採用している。

  • 2009年3月26日 - およそ5年ぶりにフルモデルチェンジ。
    • 4月 - 「オート上海2009」にてマジェスタのボディをベースとした新型クラウンを出展。先代にあたるGRS180系クラウンの後継として中国の一汽汽車にて現地生産を開始。フロントグリルのエンブレムはトヨタのCIではなく、GRS200系クラウン同様に王冠を前面にしたデザインとしている。エンジンラインナップは国内仕様とは大きく異なり、2.5L・V6の5GR-FEと3.0L・V6の3GR-FE、そして国内仕様の4WDと同じV8・4.3Lの3UZ-FEで構成される。また、グレード体系も異なり「ロイヤル(2.5Lと3.0L)」「ロイヤルサルーン(3.0Lと4.3L)」「ロイヤルサルーンVIP(3.0Lと4.3L)」の3種となる。
  • 2010年12月1日 - 一部改良。ルーフアンテナをフィンタイプの形状に変更。また、HDDナビゲーションシステムの機能強化やポータブルオーディオプレーヤーとの接続ができるUSB端子を新たに装備。さらに、ナビゲーションと連動で交通情報を画面や音声で知らせて安全運転をサポートするITS対応DSRCユニット(ETC機能付)をオプション設定した。

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6代目 S210型(2013年 - )

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 2013年9月9日、6代目にフルモデルチェンジし、同日より販売開始[2]。初代よりのマジェスタ専用ボディは廃止され、14代目クラウン・ロイヤルのホイールベースを延長した車体となった。同時に、車種名が「クラウン」に変わり、5代目までの「独立車種」としての位置づけからクラウン内のシリーズ名(「マジェスタシリーズ」)の位置づけとなった。

V8エンジンも廃止され、全車種ともV6エンジンとの組み合わせによるハイブリッド専用車とされている。本来ならばトヨタのハイブリッド専用車はトヨタ店も含めた全てのトヨタの販売店で販売される方針とされているが、本モデルの場合は2013年11月時点でクラウンの取り扱いと同じトヨタ店(除く東京トヨペット)以外での取り扱いは確認されていない。

14代目クラウン・ロイヤルとのボディデザイン共用化の結果、マジェスタを特徴付けていた2代目以来の縦型リアコンビネーションランプは廃止され、初代から4代目までマジェスタのシンボルであったフロントヘッドアップディスプレイ(HUD)も5代目同様に設定されず、エアサスペンション(4代目、5代目は全車標準)も廃止。歴代マジェスタで設定されていたリヤクールボックス(冷温庫)などいくつかのユーティリティオプションもなくなるなど、マジェスタ独自の個性は大きく減ずることになった。

マジェスタとしての外観上の独自デザイン(装備)は、グリルのバーをマジェスタ伝統の縦バーに変更/フロントバンパー下部へのクローム加飾追加/エクステンション部を黒色化・クリアランスランプのライン発光部をスモークブルとしたLED4灯式ヘッドライト(アダプティブハイビームシステム付)の採用などが挙げられる。

エンジンはレクサス・GS450hと同じ、新世代直噴技術「D-4S」を搭載したアトキンソンサイクル仕様の2GR-FXE型に置換。さらに、モーターやインバーターの改良により高効率を徹底した「FR専用2段変速式リダクション機構付ハイブリッドシステム」を採用したことでV8エンジンに匹敵する動力性能とJC08モード燃費で18.2km/Lの低燃費を両立し、「平成27年度燃費基準+20%」を達成した。

4代目と5代目ではトヨタエンブレムになっていたフロントグリルのエンブレムは、3代目以来のクラウンエンブレムに戻り、Cピラーのエンブレムも復活した。なお、歴代のマジェスタは「トヨタブランドのオーナードライバーズカーとして最上級」とされていたが、6代目においては14代目クラウンのホイールベースを75mm延長し、しかも延長分すべてを後席スペースの拡大に充てており、ハイヤーや社用車としての需要を重視していることが伺える。なおクラウンとボディ共用となったことで、結果的に5代目からわずかながらのダウンサイジング(全長25mm、全幅10mm、全高15mm短縮)となった。

装備面では走行中にドアミラーでは確認しづらい後側方の車両をレーダーで検知してドライバーへ注意喚起することで車線変更時の安全運転を支援するブラインドスポットモニターをマジェスタでは初めて標準装備したほか、マルチインフォーメーションディスプレイには各タイヤの空気圧を表示し、夏用・冬用などと2セットのタイヤを登録できるタイヤ空気圧警報システム(TPWS)を備えた。

グレード体系がよりシンプルとなり、標準仕様「マジェスタ」とレーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)、電動式リヤサンシェード&手動式リヤドアサンシェード、リアアクセサリーソケット(DC12V・120W)、3席独立温度コントロールフルオートエアコン(花粉除去モード付)+1席/前席集中モード、リヤオートエアコン(クーラー機能付)、本革シート、後席シートヒーター、パワーリアシート、インテリジェントクリアランスソナー、後左右席サイドエアバッグ、プリクラッシュセーフティシステムミリ波レーダー方式)などを追加した「マジェスタ"Fバージョン"」の2タイプとなった。

2014年7月9日、トヨタ初のハイブリッドフルタイム4WD車「マジェスタFour」を発売[3]。FR車の「マジェスタ」よりも排気量が少なく、レギュラーガソリンが使用できる2.5Lの2AR-FSE型を用いた「リダクション機構付THS II」にトルセンLSDトランスファーとハイブリッド用トランスミッションを組み合わせたことで高い操舵安定性と低燃費(JC08モード燃費で19.4km/L)を両立した。なお、「マジェスタ」に2.5L車が設定されるのも初となった。

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車名の由来

  • 英語MAJESTIC(威厳のある、荘厳な、堂々とした)からの造語とされている。

脚注

  1. 代表的なものにオーディオが見直され、スピーカー数は10スピーカーから7スピーカーに変更と同時に音質調節機能の簡略化・リヤアームレストのカセットプレーヤー廃止。また後席のクーラーボックスも廃止される。代わりにカーナビは音声ガイド機能が追加された。
  2. TOYOTA、新型クラウン マジェスタを発売 - トヨタ自動車 ニュースリリース 2013年9月9日
  3. TOYOTA、クラウンにハイブリッドフルタイム4WD車を追加-同時に一部改良し、特別仕様車を発売- - トヨタ自動車 2014年7月9日
    同日にクラウンロイヤルシリーズ、アスリートシリーズにも4WD車が設定されている。

関連事項

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外部リンク

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