ギリシア哲学
ギリシア哲学(ギリシャ哲学)とは、かつて古代ギリシアで興った哲学の総称。現在でいう哲学のみならず、自然学(物理学)や数学を含む学問や学究的営為の総称である。
「哲学(ギリシャ語:Φιλοσοφία, philosophía, ピロソピア)」および「哲学者(ピロソポス)」という言葉を最初に用いたのはピュタゴラスであると言われる[1][2]。「哲学者」を含めた「知者(ソポス)」は「ソフィスト(ギリシャ語:σοφιστής, sophistés, ソピステス)」とも呼ばれ、詩人もこれに含まれた[3]。
ディオゲネス・ラエルティオスはギリシア哲学の起源を、アナクシマンドロスから始まるイオニア学派(厳密にはミレトス学派)と、ピュタゴラスから始まるイタリア学派(ピュタゴラス教団のこと)に大別し、ソクラテス(ソクラテス学派)やプラトン(古アカデメイア学派)は前者の系譜で、パルメニデス、ゼノン(ともにエレア派)、エピクロス(エピクロス学派)らは後者の系譜であると主張している[4]。さらにディオゲネス・ラエルティオスは、哲学には自然学・ 倫理学・論理学の三つの部門があり、まず自然学が発達し、次いでソクラテスが倫理学を加え、ゼノンが論理学を確立し、倫理学にはアカデメイア学派、キュレネ学派、エリス学派、メガラ学派、キュニコス学派、エレトリア学派、詭弁学派(ソフィストなど)、逍遙学派(ペリパトス学派)、ストア学派、エピクロス学派という10の学派があったとも主張している[5]。
一般にタレスからアリストテレスまでをこの区分に含めるテンプレート:要出典。
ソクラテス以前の哲学者
古代ギリシア哲学(ソクラテス哲学)
- ソクラテス
- プラトン(古アカデメイア派)
- アリストテレス(逍遙学派またはペリパトス派)
- キュニコス派(犬儒学派) - アンティステネス(ソクラテスの弟子)、ディオゲネス、テーバイのクラテス
- キュレネ派 - アリスティッポス(ソクラテスの弟子)
- メガラ学派 - ソクラテスの弟子のメガラのエウクレイデスが設立。
- エリス/エレトリア学派 - エリスのパイドンが設立。
ヘレニズム哲学
- ネオプラトニズム - プロティノス(エジプト人)、アンモニオス・サッカス(Ammonius Saccas)、ポリュピリオス(Porphyry, シリア人)、ゼトス(Zethos、アラブ人)、イアンブリコス(イアムブリコス、Iamblichus、シリア人)、プロクロス(Proclus)
- アカデメイア派懐疑主義(中期アカデメイア派) - アルケシラオス、カルネアデス
- ピュロン主義 - ピュロン、セクストス・エンペイリコス
- ストア派 - ゼノン、クレアンテス(Cleanthes)、クリュシッポス、マロスのクラテス(Crates of Mallus)、パナイティオス(Panaetius)、ポセイドニオス、セネカ(ローマ人)、エピクテトス、マルクス・アウレリウス・アントニヌス(ローマ人)
- エピクロス主義 - エピクロス、ルクレティウス(ローマ人)
- 新ピュタゴラス主義(Neopythagoreanism)
- 折衷主義(Eclecticism)? - キケロ
中世
中世には、ギリシア哲学は西洋では忘れられた。ローマの没落とともに、西洋でギリシャ語の読み方がわかる人も少なくなった。イスラーム教アッバース朝のカリフたちはギリシア哲学の写本を収集して、翻訳家を雇った。キンディー、ファーラービー、イブン・スィーナー、イブン・ルシュドといったイスラーム哲学者たちがイスラム教の文脈の中でギリシア哲学を解釈し直した。それが中世盛期(High Middle Ages)にヨーロッパに伝播し、アラビア語からラテン語への翻訳を通して、ギリシア哲学が西洋で復活した。ギリシア哲学はアラビアの新しい注釈とともに、トマス・アクィナスなどの中世哲学に多大な影響を与えた。
脚注
参考文献
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- テンプレート:Cite book - タレス・アナクシマンドロス・アナクシメネス・ピュタゴラス・クセノパネス・ヘラクレイトス・パルメニデス・ゼノン・メリッソスの略伝・学説・断片を収録。
- テンプレート:Cite book - エンペドクレス・ピロラオス・アルキュタス・アナクサゴラスの略伝・学説・断片を収録。
- テンプレート:Cite book - レウキッポス・デモクリトスの略伝・学説・断片を収録。
- テンプレート:Cite book - タレス・ヘラクレイトス・パルメニデス・ソクラテス・プラトン・M・アウレリウスを論じる。
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- 「古代哲学における議論の方法」、ジョナサン・バーンズ著、木下昌巳訳
- 「ソクラテス以前の哲学者たち」、マルコム・スコフィールド著、山田道夫訳
- 「ソフィストとソクラテス」、サラ・ブローディ著、鎌田雅年訳
- 「プラトン」、クリストファー・ロウ著、金山弥平訳
- 「アリストテレス」、ジョン・M・クーパー著、坂下浩司訳
- 「ヘレニズム哲学」、ジャック・ブランシュヴィック・デイヴィッド・セドレー著、大草輝政訳
- 「ローマ哲学」、A・A・ロング著、村上正治訳
- 「哲学と文芸」、マーサ・C・ヌスバウム著、内山勝利訳
- 「後期古代哲学」、フランス・A・J・ド・ハース著、國方栄二訳
- 「哲学と科学」、R・J・ハンキンソン著、木原志乃訳
- 「哲学と宗教」、グレン・W・モウスト著、和田利博訳
- 「古代哲学の遺産」、ジル・クレイ著、西尾浩二訳
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関連項目
外部リンク
テンプレート:哲学- ↑ ラエルティオス(1984), I.12(ヘラクレイデス・ポンティカスの言葉として)
- ↑ キケロー(2002), V.8-9
- ↑ ラエルティオス(1984), I.12
- ↑ ラエルティオス(1984), I.13-15
- ↑ ラエルティオス(1984), I.18