カヤ
カヤ(榧、学名:テンプレート:Snamei) は、イチイ科(またはイヌガヤ科)カヤ属の常緑針葉樹である。
日本の東北地方から屋久島にかけての地域[1]、朝鮮半島に分布する。日本では群馬県、福島県あたりが北限となる。これらの地域で暖帯林、山地[2]に散生する。
同属にシナガヤ テンプレート:Snamei、アメリカガヤ テンプレート:Snamei などがある。
特徴
雌雄異株で、幹は直立し樹高は20m、周囲は3mほどに、樹冠は幅の広い円錐形になる。成長は極めて遅いが寿命は長い。耐陰性が強く樹林内部であまり日の当たらないところでも育つことができる。
枝は対生する。側枝は三叉状に伸びる。樹皮は灰褐色から褐色で縦に裂ける。葉の長さは2-3cm、幅は2-3mm、線形で断面は扁平で先端は鋭く尖っており、不用意に触れると指に刺さる場合もある。葉の表面は濃緑色で光沢があり革質で硬く、枝に螺旋状につく。
花期は4−5月頃。雄花は長さ1cmほどの楕円形で、前年に出た葉の付け根につく。雌花は新枝の基部の葉の付け根に2個つくが結実するのは通常そのうち1個のみである。種子は緑色の厚い仮種皮に包まれている。花の咲いた翌年の秋に紫褐色に熟する。
枝の様子などはモミなどに似る。葉先が割れない点で見分けがつく。葉の様子がやや似ているイヌガヤ科のイヌガヤは、枝が緑色で、葉が柔らかいのでさわっても痛くない。
属の学名 テンプレート:Snamei はアメリカの植物学者John Torrey(1796〜1873)に因み、種小名 テンプレート:Snamei は「堅果を持った」の意味。
日本最大のカヤは、福島県桑折町にある万正寺の大カヤ(樹高16.5m、幹周8.7m、推定樹齢900年、福島県の天然記念物)である[3]。
変種、品種
カヤの変種、品種として下記ものがある[4]。
- テンプレート:Snamei カヤ
- var. テンプレート:Snamei
- f. テンプレート:Snamei コツブガヤ
- f. テンプレート:Snamei ヒダリマキガヤ
- f. テンプレート:Snamei ハダカガヤ
- f. テンプレート:Snamei マルミガヤ
- var. テンプレート:Snamei チャボガヤ
- var. テンプレート:Snamei
利用
材木は淡黄色で光沢があり緻密で虫除けの芳香を放つ。心材と辺材の区別は不明瞭で、年輪は幅が狭く波状を呈する。材質はやや重硬で弾力があり、耐朽性・保存性が高く比較的加工しやすい。樹脂が多く、加工品は年とともに風合いが美しく変化する。
カヤ材でもっとも知られている用途は碁盤、将棋盤、連珠盤である。これらは様々な材の中でカヤで作られたものが最高級品とされ、特に宮崎県日向地方や奈良県春日山産のものがよいとされる。加工のしやすさや美しさから彫刻など工芸品にも用いられる。
水や湿気に対する強さから風呂桶など浴室用具や建築材、船舶材などにも使われることもあるが、カヤ材の生産量が少なくこの様な用途に用いられることは稀である。
種子は食用となる。そのままではヤニ臭くアクが強いので数日間アク抜きしたのち煎るか、土に埋め、皮を腐らせてから蒸して食べる。果実から取られる油は食用、灯火用に使われる。また、山梨県では郷土の食品として、実を粒のまま飴にねりこみ、板状に固めた「かやあめ」として、縁日などで販売される。また、カヤの種子は榧実(ひじつ)として漢方に用いられるほか、炒ったものを数十粒食べるとサナダムシの駆除に有効であるといわれる。
間伐材や枝は燻して蚊を追い払うために使われた。カヤの語源はこの「蚊遣り」に由来するという説がある。
カヤの実は相撲の土俵の鎮め物としても使われている。米、塩、スルメ、昆布、栗とともに、土俵中央部の穴に埋められている。
脚注
外部リンク
テンプレート:Asbox- ↑ 金田洋一郎、満田新一郎 ヤマケイポケットガイド21 野菜・植物 ISBN 4-635-06231-7 173頁
- ↑ 金田洋一郎、満田新一郎 ヤマケイポケットガイド21 野菜・植物 ISBN 4-635-06231-7 173頁
- ↑ 渡辺典博『巨樹・巨木 日本全国674本』山と渓谷社
- ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)