オカピ
テンプレート:出典の明記 テンプレート:生物分類表 オカピ(学名:Okapia johnstoni、英名:Okapi)は、鯨偶蹄目(クジラ偶蹄目)キリン科に属する哺乳動物。当初はシマウマの仲間だと考えられていたが、後にキリンの仲間であることが分かった。
脚の縞模様が美しく、森の貴婦人などと呼ばれる。20世紀に入ってから初めてその存在が確認された珍しい動物である。
形態
頭胴長1.9-2.5 m、肩高1.5-2.0 m、体重200-250 kg。体型的にはウマに似ている。胴体は黒褐色からやや明るい茶色。四肢にはシマウマのような白と黒褐色の横縞模様があるのが特徴で、特に後脚に顕著である。これはオカピが生息する森林での保護色(カモフラージュ)の役目を果たすとともに、同種間での目印にもなっている。
体型や毛皮の模様などからシマウマの仲間だと思われがちだが、いくつかの特徴からキリンの仲間であることがはっきりと分かる。
また、オカピはキリンの先祖に近い動物であることが分かっている。森林で暮らしていたオカピの仲間から草原に適応したものが現れ、現在のキリンの仲間に進化していったと考えられている。実際、キリンはオカピに比べて首が長く体も大きい。また、集団で生活するなど草原の生活によく適応している。
分布・生態
オカピは中央アフリカのコンゴ民主共和国、ガボンなどの密林の辺縁部という限られた地域にしか生息しておらず、生息数が少ないわけではないが環境破壊の影響を受けやすいとして準絶滅危惧(IUCN)に指定されている。
野生では単独か親子で生活している。長い舌を伸ばして木の葉や草をちぎって食べる。警戒心が強く観察することは困難で、詳しい生態はよく分かっていない。天敵はヒョウ。
経緯
- 1900年 イギリスの探検家ハリー・ジョンストン(Harry H.Johnston, 1858年-1927年)は、ヘンリー・モートン・スタンリーが「まだ知られていない動物」として報告していた「森林ロバ」オカピを長年捜し求めていた。この年、彼はベルギー領コンゴにおいて、先住民であるピグミー族がオカピの毛皮を使っているのを発見。その毛皮を彼らの呼び名で「森の馬」を意味する「オカピ」と名付け、ロンドンのフィリップ・スクレーター (Philip Sclater) のもとに送った。しかし、スクレーターは毛皮がシマウマに似ており、また分布が合致することから、オカピをシマウマの一種Equus johnstoni として発表してしまった。
- 1901年 コンゴからメスのオカピの全身の毛皮と頭骨が送られ、それを基にして想像される標本を作成。ロンドン自然史博物館のレイ・ランケスターのもとに送った。その結果、アンテロープの新種としてOkapia johnstoni と新設されたOkapi 属に移された。
- 1902年 頭骨の詳細な分析により、オカピはキリン科に属する動物であることが判明した。
保全状況評価
個体数は減少傾向にあり、2013年には国際自然保護連合のレッドリストにて準絶滅危惧から絶滅危惧IB類に引き上げられた[1]。その背景には、オカピの肉や毛皮を狙う密猟の存在が指摘されている[2]。
動物園のオカピ
世界22箇所の動物園で42頭が飼育されている。日本では次の通り。
脚注
- ↑ Okapia johnstoni IUCN Red List
- ↑ オカピが激減、レッドリスト最新版 ナショナルジオグラフィック ニュース
関連項目
- オカピ野生生物保護区(世界遺産、コンゴ民主共和国)
- 生きている化石