ウイニングラン (コンピューターゲーム)
ウイニングラン(Winning Run)は、ナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が開発したレースゲーム。1988年稼動開始。業務用3Dシステム基板「システム21」の第一弾ソフトとして発表された、日本産アーケードゲーム初の3Dレースゲームである。
当時ナムコは、日本のゲーム業界初のポリゴン処理機能を搭載したシステム基板である「システム21」をポリゴナイザーと命名して宣伝していた。
目次
レースカテゴリー
初級者用のEASYと上級者用のTECHNICALにカテゴリー分けされ、それぞれPRACTICE(練習)とGRAND PRIX(予選+本戦)がある。
EASY(初級者用)
F3000クラスのカテゴリー(3速MT+後退 仕様)
搭乗車両はレイトンハウスを模したブルーのカラーリング(後の鈴鹿GPではF3000クラスが廃止され、初級者用として、5速AT+後退仕様が登場する)
TECHNICAL(上級者用)
F1クラスのカテゴリー(5速MT+後退仕様)
搭乗車両はフェラーリを模したレッドのカラーリング(後のウイニングラン鈴鹿GPでは6速MT+後退仕様となる)
PRACTICE(練習)
自車の操作に慣れるためのモード。競争相手が登場せず、ライン取りの練習などに集中できる。所定時間内にエクステンドラインを通過しないとタイムアップとなる。
GRAND PRIX(予選+決勝)
いわゆるレースモード。予選での所定時間内にエクステンドラインを通過し、コースを1周することができれば、決勝に出場できる。本戦では、競争相手が出現。所定時間内に周回数をこなし、1位でゴールすれば優勝となり、栄光のウイニングランが見られる。また、優勝者はネームエントリーが登録され、完走タイムの上位者は、リストアップされる。そのため、ゲーム上で優勝を手にする腕前になっても、リストの上位に名を連ねようとする人間同士のタイムアタックが繰り広げられた。
筐体
シーケンシャルタイプのマニュアルトランスミッションの位置は当時のフォーミュラカーの実車と同様に右手で操作するポジションとなっていた。しかもレブカウンター(エンジン回転数計)もCGで表示されており、エンジン音を聴きながらタイミング良くシフト操作することが求められた。スタート時の回転数は重要で、スムーズな加速(ロケットスタート)を得るには一定の回転数を保った状態でアクセルを踏んでおく必要があった(F3000とF1ではエンジン吹けあがり方も違えば、レッドゾーンの設定も異なり、加速性能・最高速度なども違っていた)。ステアリングも実車のフォーミュラカーを模した小径タイプの物が採用されていた。
大型筐体のタイプでは、コースのバンク角に合わせ、筐体自体がシートを左右15度、前後7度に動くことで、さらに臨場感が増すものであった。
レースの詳細
コースにはバンク、ヘアピン、トンネルなどが再現され、微妙なライン取りやアクセルワーク、ブレーキングポイントがタイムに影響する。決勝では他の車両もいるので常にベストなラインを取れるわけではない。仮に予選でベストなラインで走れたとしても、決勝で1位になるにはベストなラインをあえて外して攻める必要もある。ただし、この決勝ではタイヤにグリップ力の概念が再現されており、無茶なドライビングをすると即スピンとなった。そのため、できるだけ実車同様に基本に忠実なオングリップ走行が求められた。
また、空気抵抗の概念もあり、スリップストリームも再現されている。さらに、後続車の動きは左右のミラーやエンジン音で再現されており、抜かれないようラインをブロックする必要もあった。
ヘアピン部分で素早く方向転換する目的で、わざと減速せずに壁にぶつかるという有名な技もあった(俗に「壁ターン」と呼ばれた)。これは意識しなくても、コーナリングに失敗して自然とそうなってしまう場合もある。これはクラッシュという概念が設定されていなかったことによる。
競争相手として、F3000クラスでは国内の有名ドライバー、F1クラスは有名F1パイロット名をもじった名前がグリッドに名を連ねていた。車のカラーリングは、赤白のマールボロ・マクラーレンF1カラーや、ロータスのキャメルイエロー等が再現されていた。さらに当時においては、フジテレビ系列によるF1中継(F1グランプリ)の開始、セナ・プロスト・マンセル・ピケ・ベルガー・中嶋悟らが繰り広げる名勝負、ホンダエンジンの圧倒的なターボパワーの魅力、さらに鈴鹿サーキットでの日本グランプリの開催などなど、大きな盛り上がりを見せた当時のF1ブームも相まって、そうした要素は臨場感を非常に高める要素となっていた。
関連作品
続編として、鈴鹿サーキットを再現し、最大8人までの通信対戦機能を搭載した『ウイニングラン鈴鹿GP』、全体的に難易度の下がった『ウイニングラン'91』がある。これらの作品は通信対戦を主としているので、コンピューターカーは障害物もしくはスリップストリームを発生させるためのアイテムに過ぎなくなっていた。
『ウイニングラン鈴鹿GP』は基本的なコースレイアウトは踏襲しているが、シケインに壁が設けられており、ショートカットができなくなっていた。また、予選についてはデグナーカーブ手前までのタイムで競う仕様になっており、どんなにハンドルを切ってもスピンしないようになっていた。しかし、決勝においてはむやみにハンドルを切ると簡単にスピンする。『ファイナルラップ』と同様、通信対戦においては、2位以降の車両のスピードに補正がかかり、スピンさえしなければ簡単に1位に追いつける仕様になっていた。
『ウイニングラン'91』をベースに三面モニターを搭載した『ドライバーズアイ』は、クラッチまで再現されており(普通乗用車と比べて異様にシフトレバーが入りにくいが)、通常の『ウイニングラン'91』よりもよりもかなりシビアゲームバランスのものであった。ナムコ・ワンダーエッグには、大型筐体を4つ並べた通信対戦仕様があり、レースの模様を大型モニターに映しつつ実況をしてくれるというサービスがあった。(当時300円/1プレイ)
関連商品として、ゲーム音楽のCD『G.S.M namco 2 Winning Run』がポニーキャニオンから発売された。また、攻略本や、攻略ビデオ・最速ビデオも販売された。