インスマス
インスマス (Innsmouth) (インズマス/インスマウスとも)は、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトなどの作品に登場する架空の都市。作品中では、アメリカ合衆国マサチューセッツ州エセックス郡に属す港町であり、アーカムからニューベリーポートに向かう街道の途中に位置する、とされている。交通手段はバスのみで鉄道は廃止されている。ラヴクラフトの複数の作品に登場するほか、他の作家によって書かれたクトゥルフ神話作品にも多く登場する。
1643年に建設され、漁業、海運、金の精錬などの産業によって大いに栄えていたが、1848年の謎の伝染病で、一夜にして住民の半数以上が死亡。漁場の荒廃なども重なり1920年代までに衰退した。近隣のアーカムの住民を含め、訪れる者は稀である[1]。またインスマスを訪れ行方不明となる商人や役人も後をたたない[2]。1927年、合衆国政府による「密造酒の取り締まり」だとされる住民一斉検挙が行われ、更に荒廃が進み、半ばゴーストタウン化している。約1マイル半沖には悪魔の岩礁と呼ばれる岩礁があり、一斉検挙の際に何故かこの岩礁に向かって海軍の潜水艦から魚雷が打ち込まれた[3]。岩礁に爆雷が投下されたとする作品もある。
この町の住民は蛙に似た独特の容貌を持ち、周辺の住民から忌み嫌われている。これを通称インスマス面(インスマスづら)という。
もとはバプテスト教会やフリーメイソンなどの宗教があったが、地元で結成されたダゴン秘密教団という宗教団体が勢力を広げ、元のフリーメーソン会館を寺院として使用していた[4]。
「永劫の探求」においては、登場人物の1人アンドルー・フェランとエイベル・キーンによって襲撃され、町を支配していた深きものどもの長、エイハブ・マーシュが倒されている。
登場作品
- インスマウスの影(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)
- 戸口にあらわれたもの(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)
- 永劫の探求(オーガスト・ダーレス)
脚注
参考文献
- ハワード・フィリップス・ラヴクラフト『ラヴクラフト全集』東京創元社〈創元推理文庫〉
- 〈1〉、1974年、ISBN 4-488-52301-3
- 〈3〉、1984年、ISBN 4-488-52303-X