きりふり (列車)
きりふりとは、東武鉄道が平日下り運行の浅草駅 - 南栗橋駅間と、臨時運行の浅草駅 - 東武日光駅間を東武スカイツリーライン・伊勢崎線および日光線経由で運行する特別急行列車(特急列車)である。
本項では、浅草駅 - 新藤原駅間を東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線および鬼怒川線経由で運行する特急列車ゆのさとについても記載するとともに、東武日光線・鬼怒川線の旧急行・快速急行列車群(「南会津」「おじか」「だいや」等)の沿革についても記載する。
また、列車種別及び使用車両から、広義では東武鉄道の運行する夜行列車「スノーパル」「尾瀬夜行」も本列車群に含まれるが、そちらは東武鉄道夜行列車の項を参照されたい。
目次
運行の概要
「きりふり」 「ゆのさと」は、浅草 - 東武日光・新藤原間で運行されていた快速急行「だいや」「おじか」を引き継ぐ形で、急行列車として1991年(平成3年)7月21日に運行を開始した。その後、2006年3月のダイヤ改正の際に特急列車に種別変更された。
2013年現在、定期列車は平日運転の春日部行「きりふり」283号と南栗橋行「きりふり」285号のみである。臨時列車としては「きりふり」273号・275号・292号・294・296号が多客期の土曜日・休日に運行されている。なお、「ゆのさと」については運転日が限定的となっている。
テンプレート:要出典範囲、臨時列車の一部には定期特急「きぬがわ」を途中で待避する列車や下今市駅で鬼怒川方面の特急と接続する列車も存在しているテンプレート:要検証[1]。
本列車群が急行として運行されていた頃より、本列車群の列車号数は、特急「けごん」「きぬ」の列車号数順とは独立しており[2]、愛称のあとで270番以降の番号を符番している。このため、「きりふり」1号や「ゆのさと」2号などは存在しない。
停車駅
- 臨時列車:「きりふり」 「ゆのさと」
使用車両・編成図
きりふり・ゆのさと 尾瀬夜行23:55・スノーパル23:55 | ||||||||||||
テンプレート:TrainDirection | ||||||||||||
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運転日
- 「きりふり」283号・285号 - 平日のみ運転。
- 「きりふり」271号・275号・292号・294号 - 多客期のおもな土曜日・休日。その都度東武鉄道から発表される。
- 「ゆのさと」 - 不定期運転。
料金制度
全列車が座席指定席制を採用しており、特急料金は「けごん」「きぬ」とは異なり従前の急行料金が基本となっている。なお「きりふり」285号では春日部 - 南栗橋間の乗車の際、特急料金が不要である。 テンプレート:-
廃止された列車
南会津
南会津(みなみあいづ)は、かつて浅草駅 - 会津田島駅間を東武伊勢崎線・日光線・鬼怒川線・野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道会津線経由で急行列車として運行されていた。車両については、野岩鉄道線・会津線内の停車駅のホーム有効長の関係から、4両編成の350系が限定で使用されていた。
2002年からは会津鉄道キハ8500系による「AIZUマウントエクスプレス」が特急「きぬ」と会津若松駅方面との連絡列車として運行されるようになったことで「南会津」の運行本数は年々減少し、残った1往復も2005年3月1日のダイヤ改正で、新藤原駅発着の「ゆのさと」と新藤原 - 会津田島間の快速列車に振り替えられたことで廃止となった。
なお、2006年3月18日のダイヤ改正で「ゆのさと」の定期列車も廃止になり、会津田島方面への連絡列車は浅草駅発着の「きぬ」およびJR新宿駅発着の「(スペーシア)きぬがわ」に鬼怒川温泉駅で接続する形となっている。
前述の通り、本列車群は270番以降の番号を符番しているため、「南会津」についても1号・2号などは存在せず、廃止時には下りの会津田島行が「南会津」273号、上りの浅草駅行が「南会津」276号となっていた。
- 廃止直前のダイヤでの停車駅(駅名は当時のもの)
なお2013年4月30日より、行楽シーズンの平日に運行される臨時特急・「スカイツリートレイン南会津号」として事実上復活している。 テンプレート:Main
だいや・おじか
「だいや」「おじか」は、浅草駅 - 東武日光駅・新藤原駅/会津田島駅間で運行されていた列車である。特急「けごん」「きぬ」の補完列車として、特急専用車から格下げされた5700系電車や、快速用車両の6050系電車を使用して、快速急行列車、さらに前には急行列車として運行されていた。300系・350系電車の運行開始に伴い、列車名が「きりふり」「ゆのさと」(鬼怒川線発着)「南会津」(会津線発着)に変更されたことにより、1991年7月に廃止された。
東武日光線旧急行・快速急行列車沿革
東武日光線優等列車沿革も合わせて参照されたい。
- 1953年(昭和28年) - モハ5310形・クハ350形による有料急行列車の運行を開始。
- 1956年(昭和31年) - 特急用車両である5700系の一部を急行専用車両に格下げ、急行券を要する急行に使用されることとなる。同系列の急行用車両には車体に青帯を配したことから「青帯車」と称し、特急専用車両である1700系と5720系は白帯を配したことから「白帯車」と称された。
- この急行の運転に伴い従来の日光線特急に要した「急行券」を「特別急行券」の名称に変更。また同時に有料急行にも愛称が付与され、日光線発着急行に「あかなぎ」「なんたい」「にょほう」、鬼怒川線発着急行に「いかり」「ゆにし」「りゅうおう」が使用された。
- 1964年(昭和39年) - 快速専用車両として6000系の運用を開始し、急行列車にも使用される。同時に座席指定席を快速の一部車両に導入。
- 1969年(昭和44年)3月21日 東武日光駅発着の急行列車名を「だいや」、鬼怒川公園駅発着の急行列車名「おじか」に統一。
- 1976年(昭和51年) - 「だいや」「おじか」の列車種別を「急行」から「快速急行」へ変更。快速の座席指定席を廃止。
- 「だいや」「おじか」には6000系・5700系が充当されており、同種別の伊勢崎線系統急行「りょうもう」専用1800系に比して、固定クロスシートで冷房装置がないなど、内装やサービスが落ちるため取られた措置である。また、同時に同じ車種を用いた「快速」の座席指定制を廃止し、「快速急行」を座席指定制列車に特化した。急行券も「快速急行」と種別を変更したことにより「快速急行券」と名称を変更する。ただ、ここでいう「快速急行」は、一般的な「快速急行」の種別の位置づけとは異なり、あくまでも急行と快速の中間種別という位置づけであり、急行の下位に位置していた。停車駅は下り列車が北千住通過である以外、2005年時点での有料急行停車駅と同等となっている[3]。
- 1985年(昭和60年) - 快速・快速急行用車両として冷房装置付きの6050系の使用を開始。
- 1988年(昭和63年)8月8日 - 定期列車から5700系が退役。
- 1988年(昭和63年)8月9日 - 従来鬼怒川温泉駅・鬼怒川公園駅まで運行されていた快速急行「おじか」の内2往復を野岩鉄道会津鬼怒川線会津高原駅まで運行区間を延長[4]。
- 1990年(平成2年)10月12日 - 会津鉄道会津線一部区間の電化に伴い、会津高原駅発着の「おじか」を会津田島駅まで延伸。
- 1991年(平成3年)7月21日 - 急行専用車両300系・350系が就役。従来の快速急行を急行に種別変更した上で、間合い運用などで準急や普通列車にも使用していた6050系による運用を廃止し、300系・350系で運用することになった。同時に「だいや」「おじか」の愛称名も以下のように変更され制度上も「りょうもう」と同じ距離制を採用した。ただし「座席指定券」の制度自体は夜行列車「尾瀬夜行」「スノーパル」での運用を前提として存置された。300系・350系とも1号車が禁煙車に指定される。
- 日光線内発着:「きりふり」
- 鬼怒川線内発着:「ゆのさと」
- 野岩鉄道・会津鉄道乗り入れ:「南会津」[5]
- 1993年(平成5年)4月1日 - 禁煙車が300系・350系とも1・2号車となる。
- 1994年(平成6年)7月21日 - 夜間に通勤ライナー格の新栃木行「きりふり」281号を新設。「しもつけ」や「りょうもう」同様1990年(平成3年)9月に新設された「ビジネスライナー」の指定される。
- 1997年(平成9年)3月25日 - ダイヤ改正により以下のように変更する。
- 北千住駅に下り特急・急行全列車の停車を開始。
- 特急・急行の全列車が定期券で利用が可能となり「ビジネスライナー」指定を廃止。
- 新栃木行「きりふり」281号が201号に改番される。
- 1999年(平成11年)3月16日 - ダイヤ改正により「ゆのさと」下り2本・上り1本、「きりふり」上り1本が土曜日・休日運転となり、「南会津」275号が廃止となる。
- 2001年(平成13年)3月28日 - ダイヤ改正により上記の土曜日・休日運転の急行が廃止。また、夜間に運行していた新栃木行「きりふり」201号が東武日光行「けごん」に格上げされたのに伴い、定期急行は「しもつけ」と「南会津」のみとなる。
- 2003年(平成15年)3月19日 - ダイヤ改正により以下のように変更する。
- 「南会津」274号が廃止され、1日1往復の運行となる。
- 春日部駅の乗降口が駅員による特急券の確認のため300系は3号車と4号車の5号車寄り、350系は2号車の1号車寄りと3号車のドアに限定される。それに伴い客室の前面と貫通扉の上、さらに車内の客用扉にはそれを案内するステッカーが貼られた。なお、「尾瀬夜行」「スノーパル」の各夜行列車は従来通り全てのドアが開く。
- 車掌用携帯端末機の導入に伴い、車内でのきっぷの拝見が省略になる。
- 浅草駅の特急・急行ホームにインフォメーションカウンターを設置。乗車の際、ここで特急券等を拝見する。
- 2005年(平成17年)
- 3月1日 - ダイヤ改正により以下のように変更する。
- 「南会津」273号・276号が廃止される。それに伴い東武線内のみ運行の「ゆのさと」273号・276号に変更され、運行区間を浅草 - 新藤原間として新藤原駅で会津田島発着の列車に連絡するダイヤとなった。
- 禁煙車が300系は1 - 5号車、350系は1 - 3号車までとなる。
- 7月 - 通勤ライナー格の新栃木行「きりふり」241号の運行が金曜日限定で約2年ぶりに再開される。
- 2006年(平成18年)3月18日 - ダイヤ改正に伴い以下のように変更する。
- 東武線内での列車種別の見直しに伴い、前日までの有料急行「しもつけ」「ゆのさと」「きりふり」を特急に格上げ。同日より急行は無料列車の種別名となり快速の下位種別となる。
- 「ゆのさと」273号・276号が廃止される。
- 平日夜間に通勤ライナー格の南栗橋行「きりふり」283号を新設。東武動物公園駅・杉戸高野台駅・幸手駅・南栗橋駅に停車開始。この列車に限り春日部駅以北から乗車する場合は特例で特急料金を不要とし、春日部駅では全てのドアが開く。
- 2007年(平成19年)3月18日 - 全列車・全車両が禁煙となる。
- 2009年(平成21年)8月29日 - 東武トラベル主催の団体専用列車として「懐かしの南会津号」を4年ぶりに復活運転。急行ではなく特急扱いで運転。
- 2012年(平成24年)3月17日 - 臨時「きりふり」「ゆのさと」の上りのみとうきょうスカイツリー駅(業平橋駅から改称)に停車。
- 2012年(平成24年)6月2日 - 臨時「ゆのさと」下りの一部がとうきょうスカイツリー駅に停車。
- 2013年(平成25年)3月16日 - ダイヤ改正により以下のように変更[6]。
- とうきょうスカイツリー駅に定期「きりふり」の停車開始。
- 平日夜間に通勤ライナー格の春日部行「きりふり」283号を新設。それに伴い南栗橋行は285号に変更される。
- 2014年(平成26年)6月6日 - 6月から8月までの毎週金曜日に新栃木行 臨時「きりふり」269号を増発[7]。
列車名の由来
(五十音順)
- 「あかなぎ」 - 栃木県日光市の「赤薙山」にちなむ。
- 「いかり」 - 日光市の「五十里ダム」にちなむ。
- 「おじか」 - 「男鹿川」「男鹿高原」にちなむ。
- 「きりふり」 - 日光国立公園の「霧降の滝」「霧降高原」にちなむ。
- 「だいや」 - 鬼怒川支流で中禅寺湖から流出する「大谷川」(だいやがわ)にちなむ。
- 「なんたい」 - 日光市の「男体山」にちなむ。
- 「にょほう」 - 日光市の「女峰山」にちなむ。
- 「南会津」 - 目的地の地名「南会津郡」から。
- 「ゆにし」 - 日光市の「湯西川温泉」にちなむ。
- 「ゆのさと」 - 温泉地帯、すなわち「湯のいずる里」へ向かうことから。
- 「りゅうおう」 - 日光市の「龍王峡」にちなむ。
脚注
関連項目
- しもつけ (列車) - 東武宇都宮線直通の通勤特急
- けごん・きぬ - 東武日光線・鬼怒川線特急列車
- りょうもう - 東武伊勢崎線系統優等列車
- スカイツリートレイン - 東武伊勢崎線・東武日光線・東武鬼怒川線・東武野田線臨時特急列車
- 列車種別
- 日本の列車愛称一覧
- 遜色急行