電撃小説大賞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:ライトノベル 電撃小説大賞(でんげきしょうせつたいしょう)は、KADOKAWAの社内ブランドであるアスキー・メディアワークス(旧メディアワークス)が1994年より主催する長編・短編小説の新人賞である[1]。
概要
ライトノベル系の新人賞では最多の応募数を誇っており、第20回(2012年募集開始)の応募総数は6554作品に達した。受賞作品は電撃文庫(一部はメディアワークス文庫)にて出版される。出版社の強みを活かしてメディアミックス的な展開が多いのも特徴の1つである。
元々は電撃ゲーム3大賞の小説部門として「電撃ゲーム小説大賞」という名称だったが、第11回(2003年募集開始)に電撃ゲーム3大賞が「電撃3大賞」に改称したのに伴い「電撃小説大賞」と改称した。小説部門の「電撃小説大賞」・イラスト部門の「電撃イラスト大賞」・コミック部門の「電撃コミック大賞」[2]の3部門をあわせて「電撃大賞」と呼ばれている。
電撃小説大賞は初回から長編小説・短編小説の両方を募集していたが、メディアワークス主催の短編小説賞としては他に、『電撃hp』で募集・発表された電撃hp短編小説賞(2000年-2006年)があった。この賞は電撃hp休刊に伴い、電撃文庫MAGAZINE賞として電撃小説大賞に一本化された。
- 選考委員
- 選考委員は高畑京一郎、時雨沢恵一、佐藤竜雄(アニメーション演出家)、鈴木一智(アスキー・メディアワークス取締役)、徳田直巳(電撃文庫・電撃文庫MAGAZINE編集長)、佐藤達郎(メディアワークス文庫編集長)が務める。
- 受賞者
- 高畑京一郎、古橋秀之、上遠野浩平、阿智太郎、成田良悟、有川浩、川原礫等、多数の作家を輩出している。また受賞に至らなかった応募者を「拾い上げ」てデビューさせることも多く、秋山瑞人、時雨沢恵一、鎌池和馬、三上延等の人気作家を生み出している。
- その他
- なお、アスキー・メディアワークス運営の同名のラジオ番組・電撃大賞が放送中だが、番組がもっていた同大賞の宣伝広報と言う目的は現在では希薄化している[3]。
賞の種類
- 大賞 - 正賞+副賞300万円、受賞作品にてデビュー
- 金賞 - 正賞+副賞100万円、受賞作品にてデビュー
- 銀賞 - 正賞+副賞50万円、受賞作品にてデビュー
- 選考委員奨励賞(選考委員特別賞) - 正賞+副賞5万円(第5回より)
- 電撃文庫MAGAZINE賞 - 正賞+副賞50万円(第15回より)
- メディアワークス文庫賞 - 正賞+副賞100万円(第16回より)
- ※メディアワークス文庫賞は、2009年12月のメディアワークス文庫の創刊に先んじて新設されたもの。
入賞作品
斜字は未刊行。()内は改題。後にシリーズ化された作品については、受賞作(第1巻)の刊行時サブタイトルは割愛している場合がある。また、最終選考者中でデビューした作家については本表より割愛している。
回数 | 賞 | タイトル (刊行時表題) |
著者 (刊行時筆名) |
---|---|---|---|
第1回 (1994年) |
大賞 | 五霊闘士オーキ伝 | 土門弘幸 |
金賞 | 夢か現か幻か (クリス・クロス 混沌の魔王) |
高畑京一郎 | |
銀賞 | 冒険商人アムラフィ | 中里融司 | |
雲ゆきあやし、雨にならんや 【短編、『電撃短編傑作選』に収録】 | 坪田亮介 | ||
第2回 (1995年) |
大賞 | ブラックロッド | 古橋秀之 |
銀賞 | やまいはちから 〜スペシャル・マン〜 | 成重尚弘 | |
戸籍係の憂鬱 | 茅本有里 | ||
第3回 (1996年) |
金賞 | PANZERPOLIS-1935 (パンツァーポリス1935) |
川上稔 |
NANIWA捜神記 | 栗府二郎 | ||
銀賞 | ダーク・アイズ | 天羽沙夜 | |
HOLOGRAM SEED | 雅彩人 | ||
第4回 (1997年) |
大賞 | ブギーポップは笑わない | 上遠野浩平 |
金賞 | 猫目狩り | 橋本紡 | |
銀賞 | 僕の血を吸わないで | 阿智太郎 | |
第5回 (1998年) |
金賞 | 学園武芸長 (学園武芸帳「月に笑く」) |
白井信隆 |
銀賞 | コールド・ゲヘナ | 三雲岳斗 | |
選考委員 特別賞 |
月と貴女に花束を | 志村一矢 | |
ギミック・ハート | 七海純 | ||
第6回 (1999年) |
大賞 | リングテイル (リングテイル 勝ち君の戦) |
円山夢久 |
金賞 | ダブルブリッド | 中村恵里加 | |
銀賞 | 若草野球部狂想曲 | 一色銀河 | |
第7回 (2000年) |
金賞 | 天国に涙はいらない | 佐藤ケイ |
平安京八卦 (陰陽ノ京) |
渡瀬草一郎 | ||
銀賞 | 魔法士物語 (ウィザーズ・ブレイン) |
三枝零一 | |
選考委員 奨励賞 |
王道楽土 | 御堂彰彦 | |
天剣王器 (天剣王器 Dual Lord, Reversion) |
海羽超史郎 | ||
第8回 (2001年) |
大賞 | 大唐風雲記 長安の履児、虎の尾を履む (大唐風雲記 洛陽の少女) |
田村登正 |
銀賞 | みークルズサジェスチョン ポリッシュアップルズ (悪魔のミカタ 魔法カメラ) |
うえお久光 | |
無限大ゼロ (インフィニティ・ゼロ) |
有沢まみず | ||
選考委員 奨励賞 |
エクスターミネーターA/B (A/Bエクストリーム CASE-314[エンペラー]) |
高橋弥七郎 | |
我が町の吸血鬼 (吸血鬼のおしごと) |
鈴木鈴 | ||
第9回 (2002年) |
大賞 | 死者たちは荒野に眠る (キーリ 死者たちは荒野に眠る) |
壁井ユカコ |
金賞 | 七姫物語 | 高野和 | |
バッカーノ! The Rolling Bootlegs | 成田良悟 | ||
選考委員 奨励賞 |
sharp edge -knife which charms dutterfly- (シャープ・エッジ) |
坂入慎一 | |
夜の妖精、鋼鉄の翼、たった一つの願い (シルフィ・ナイト) |
神野淳一 | ||
第10回 (2003年) |
大賞 | 塩の街 Wish on my precious | 有川浩 |
金賞 | 我が家のお稲荷さま。 | 柴村仁 | |
銀賞 | 先輩とぼく | 沖田雅 | |
選考委員 奨励賞 |
逃がし屋 〜愚者達の結界〜 (結界師のフーガ) |
水瀬葉月 | |
おじいちゃんの宝箱 (シュプルのおはなし) |
雨宮諒 | ||
第11回 (2004年) |
大賞 | 少女禁猟区・世界で最後の1人+8 (ルカ -楽園の囚われ人たち-) |
七飯宏隆 |
金賞 | ひかりのまち (nerim's note ひかりのまち) |
長谷川昌史 | |
銀賞 | 奇蹟の表現 | 結城充考 | |
選考委員 奨励賞 |
異常進化の世界で 〜 The Demon's Hand (シリアスレイジ) |
白川敏行 | |
第12回 (2005年) |
大賞 | お留守バンシー | 小河正岳 |
金賞 | 哀しみキメラ | 来楽零 | |
銀賞 | 狼と香辛料 | 支倉凍砂 | |
火目の巫女 | 杉井光 | ||
選考委員 奨励賞 |
超告白 【短編、『天使のレシピ』に収録】 | 御伽枕 | |
第13回 (2006年) |
大賞 | ミミズクと夜の王 | 紅玉伊月 (紅玉いづき) |
金賞 | 世界平和は一家団欒のあとに | 橋本和也 | |
もしも人工知能が世界を支配していた場合のシミュレーションケース1 (扉の外) |
土橋真二郎 | ||
銀賞 | ケツバット女、笑う夏希。 (なつき☆フルスイング! ケツバット女、笑う夏希。) |
樹戸英斗 | |
第14回 (2007年) |
大賞 | 放課後百物語 (ほうかご百物語) |
峰守ひろかず |
金賞 | 君のための物語 | 水鏡希人 | |
銀賞 | 異界ノスタルジア (under 異界ノスタルジア) |
瀬那和章 | |
押しかけラグナロク (藤堂家はカミガカリ) |
高遠豹介 | ||
選考委員 奨励賞 |
葉桜が来た夏 | 夏海公司 | |
第15回 (2008年) |
大賞 | アクセル・ワールド | 川原礫 |
金賞 | パララバ -Parallel lovers- | 四月十日 (静月遠火) | |
銀賞 | 東京ヴァンパイア・ファイナンス | 真藤順丈 | |
ロウきゅーぶ! | 蒼山サグ | ||
選考委員 奨励賞 |
語り部じんえい (神のまにまに!) |
山口幸三郎 | |
電撃文庫 MAGAZINE賞 |
眼球奇譚 【短編、Vol.6掲載】 | 鷹羽知 | |
隙間女(幅広) 【短編、Vol.6掲載】 | 丸山英人 | ||
第16回 (2009年) |
大賞 | 幕末魔法士 -Mage Revolution- | 田名部宗司 |
金賞 | ヴァンダル画廊街の奇跡 | 美奈川護 | |
銀賞 | ご主人さん&メイドさま | 榎木津無代 | |
メディアワークス 文庫賞 |
〔映〕アムリタ | 野崎まど | |
太陽のあくび | 有間香 (有間カオル) | ||
選考委員 奨励賞 |
夏恋時雨 (蒼空時雨) |
綾崎隼 | |
空の彼方 | 菱田愛日 | ||
電撃文庫 MAGAZINE賞 |
精恋三国志 【序章がVol.12掲載】 | 奈々愁仁子 | |
第17回 (2010年) |
大賞 | シロクロネクロ | 多宇部貞人 |
金賞 | 青春ラリアット!! | 蝉川タカマル | |
アイドライジング! | 広沢サカキ | ||
銀賞 | 魔王城は六畳一間! (はたらく魔王さま!) |
和ヶ原聡司 | |
アンチリテラルの数学 (アンチリテラルの数秘術師) |
兎月山羊 | ||
メディアワークス 文庫賞 |
魚眼レンズ (空をサカナが泳ぐ頃) |
浅葉なつ | |
おちゃらけ! (おちゃらけ王) |
朽葉屋 (朽葉屋周太郎) | ||
典医の女房 【短編、メディアワークス文庫公式サイトにて公開、『霧こそ闇の』に収録】 | 仲町六絵 | ||
電撃文庫 MAGAZINE賞 |
シースルー!? 【短編、電撃文庫MAGAZINEにて連載】 | 天羽伊吹清 | |
第18回 (2011年) |
大賞 | エスケヱプ・スピヰド | 九丘望 (九岡望) |
金賞 | あなたの街の都市伝鬼! | 聴猫芝居 | |
銀賞 | ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー | 三河ごーすと | |
勇者には勝てない | 来田志郎 | ||
メディアワークス 文庫賞 |
侵略教師星人ユーマ | エドワード・スミス | |
やまびこのいる窓 (月だけが、私のしていることを見おろしていた。) |
成田名璃子 | ||
選考委員 奨励賞 |
ミニッツ 〜一分間で世界を滅ぼす方法について〜 (ミニッツ 〜一分間の絶対時間〜) |
切小野よも治 (乙野四方字) | |
電撃文庫 MAGAZINE賞 |
明日から俺らがやってきた | 高樹凛 | |
第19回 (2012年) |
大賞 | きじかくしの庭 | 桜井美奈 |
ハロー、Mrマグナム (アリス・リローデッド) |
茜屋まつり | ||
金賞 | 明日、僕は死ぬ。君は生き返る。 (明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。) |
藤まる | |
エーコと【トオル】と部活の時間。 | 柳田狐狗狸 | ||
銀賞 | 塔京ソウルウィザーズ | 愛染猫太郎 | |
メディアワークス 文庫賞 |
玉響通り綾櫛横丁加納表具店 (路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店) |
行田尚希 | |
選考委員 奨励賞 |
サマー・ランサー | 天沢夏月 | |
電撃文庫 MAGAZINE賞 |
失恋探偵百瀬 (失恋探偵ももせ) |
岬鷺宮 | |
第20回 (2013年) |
大賞 | ゼロから始める魔法の書 | 虎走こけた (虎走かける) |
博多豚骨ラーメンズ (博多豚骨ラーメン) |
木崎サキ | ||
金賞 | 韻が織り成す召喚魔法 | キミドリ (真代屋秀晃) | |
三年B組 中崎くん (仮) | 小川博史 | ||
銀賞 | 王手桂香取り! | 青葉優一 | |
放課後猥褻倶楽部 (思春期ボーイズ×ガールズ戦争) |
亜紀坂圭春 | ||
メディアワークス 文庫賞 |
WORLD OF WORDS 神は世界を記述する | 十三湊 | |
電撃文庫 MAGAZINE賞 |
給食争奪戦 | アズミ | |
20回記念 特別賞 |
水木しげ子さんと結ばれました | 真坂マサル |
関連書籍
第1回に応募された短編作品の傑作選が刊行されている。
- 臥竜覚醒 電撃ゲーム小説大賞短編小説傑作選 (1994年10月、電撃文庫、ISBN 978-4073021100)
- 「カース・チェィサー」風間圭之進
- 「嵐よ友よ恋人よ」福森大輔
- 「夢色天使」祭紀りゅーじ
- 「雲ゆきあやし、雨にならんや」坪田亮介 - 第1回銀賞受賞作品
- 解説 高千穂遙
関連項目
- 電撃文庫MAGAZINE - 電撃文庫MAGAZINE賞受賞作が掲載される
- 電撃hp短編小説賞(2000年-2006年) - 現在は、電撃文庫MAGAZINE賞として電撃小説大賞に一本化されている
- 電撃大賞 - アスキー・メディアワークス提供のラジオ番組
脚注
外部リンク
テンプレート:メディアワークス- ↑ ただし、募集要項では他社でプロデビューした経験のある作家の応募も可能とされている。
- ↑ 第12回から「電撃コミックグランプリ」として分離されていたが、第21回に電撃大賞に復帰した。
- ↑ ただし、授賞式の司会を番組パーソナリティが務めたり、刊行に合わせて受賞者をゲストに招いたりするなど、完全に無関係となった訳ではない。