軍用機
軍用機(ぐんようき)は、軍事目的に運用される航空機のこと。民間機と明らかに異なる外観上の特徴を持つ戦闘機や攻撃機、爆撃機、貨物輸送機などを指す場合が多いが、救難機や患者輸送機、汎用輸送機などを含めて軍隊(自衛隊を含む)が運用する全ての航空機は軍用機である。
目次
概要
戦争において航空機が用いられるようになったのは、第一次世界大戦からである。これ以降、航空機を取り巻く工業技術の向上による航空機の性能や、飛行技術の向上などに伴い、戦争における航空機の活躍の場はより広範囲になった。また、スペイン内戦から第二次世界大戦時のドイツ軍の航空戦力運用理論を基とする航空戦戦術の理論構築も成立した。 黎明期は、主に空からの偵察を主な任務にしており、任務中に敵航空機と遭遇した場合も戦闘になることはなかったという。その後、航空機から地上の兵隊に対して石や金属の棒を投下するなど、兵器としての利用が開発され、さらに、航空機同士の戦闘も行われるようになった。 現在では、制空戦闘、対地支援攻撃、偵察、哨戒、電子戦、戦略爆撃、輸送等の任務に合わせた航空機が開発され使用されている。 多くの軍用機はそれ専用に開発されるが、輸送機や早期警戒管制機では民間の旅客機がベースとなる場合もある。
軍用機の歴史
軍用航空の黎明
気球の軍事利用
熱気球の出現により、戦いのスタイルが変わった。人間が乗った気球が戦争に初めて使用されたのは、1794年6月のことで、ベルギーのモーボーグに展開していたフランス陸軍が6月26日、敵の情勢を偵察するために気球を利用した。
気球が軍隊で広く利用されるようになったのは19世紀に入ってからで、中でも有名なのは、1861年4月から始まったアメリカの南北戦争である。この年の6月18日、気球「エンタープライズ」は高度150 mまで上がり、電信により偵察情報を地上に送った。
またブラジルでは、三国同盟戦争(1864年-1870年)で気球を利用して、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの連合軍は、パラグアイの制圧に成功した。一方イギリスでも、1880年6月24日に最初の気球部隊を編成し、その後ベチュアナランドでの軍事作戦に投入した。太平洋戦争では大日本帝国陸軍の登戸研究所が開発したアメリカ本土爆撃用の気球(風船爆弾)があった、約一万個放流された風船爆弾は太平洋を横断して北アメリカ大陸全土に飛来し、数人の死者を出したほか軍民の施設に被害を与えた。
飛行船の出現
気球の原理を生かして、より大型化するとともにエンジンをつけて操縦を行えるように、飛行船が登場した。 中でも有名なのがドイツのツェッペリンである。フェルディナンド・フォン・ツェッペリン最初の飛行であるLZ1は、1900年7月2日。ドイツでは、飛行船が軍事作戦に有効であるとして、ツェッペリンに軍用飛行船を発注、1906年10月9日に初飛行したLZ3は、1909年6月20日にドイツ陸軍に引き渡されて、世界初の軍用飛行船となった。ドイツ陸軍ではこの飛行船をZ1と呼んだ。
第一次世界大戦当時、ドイツ軍に配備された飛行船で最も重要な任務を帯びていたのは海軍の飛行船で、1915年2月19日からイギリス本土の爆撃に使用された。
これに対しイギリスやフランスでも軍による飛行船の装備が行われたが、ドイツ軍と違って海洋監視を主用途として使用した。
飛行船は気球に比べて活動範囲や使用範囲は大幅に拡大したが、飛行機の実用化に伴い、その存在価値は低下していった。もちろん飛行船の特性を生かす用途もあり、第二次世界大戦でも使用されたし、あるいは今日でも民間で使用されているが、もはや主力の航空勢力ではなくなった。
第一次世界大戦と軍用機
航空部隊の誕生
ライト兄弟が飛行機を開発したあと、次々に新たな飛行機が開発され、実用化されていった。そうした中で、1907年12月23日にアメリカ陸軍が、世界で初めて軍用航空機の開発仕様書を民間の製作会社に提示した。最も世界で最初に軍用航空機の契約を行ったのはフランスで、1892年2月3日に爆弾を搭載できる航空機の製造契約を、クレマン・アデールに与えたが、1897年10月14日、飛行に失敗し、契約は破棄された。
アメリカでは1908年2月6日に最初の軍用機製作契約が交わされ、途中オービル・ライトが墜落事故を起こして同乗者を死亡させたため、計画が一時中止されたが、1909年7月27日に陸軍による初の試験が実施され、1909年8月2日に最初の実用機を受領した。
ヨーロッパでも主要諸国で航空部隊の編成が相次いだ。まずフランスが1910年4月に航空運用部隊を作り、10月に航空部隊を編成した。同年ロシアでも、帝政ロシア飛行部隊が作られたとされている。続いて1911年4月1日にイギリスで、航空師団が構成され、翌1912年5月12日に飛行部隊が組織された。同年6月にはイタリアで、10月にはドイツでも飛行部隊が作られた。こうして、第一次大戦前にはヨーロッパの列強は航空部隊を組織していた。
第二次世界大戦と軍用機
テンプレート:節stub 第二次世界大戦において航空機の活躍の場は格段に広がった。 特に日本の真珠湾攻撃に始まる、空母を中心とする機動部隊による海戦の大幅な変化がある。
この作戦以降、海戦の主力は大砲を装備した戦艦から、長大な航続距離を有する航空機を積む空母へと変化する。その為、その後米国でも大規模な機動部隊が組織され、米国の勝利に大きく貢献した。
作戦での主力となる為、戦闘機・爆撃機等の性能は本大戦において飛躍的に向上した。本大戦を通して活躍した代表的な戦闘機には、メッサーシュミット Bf109、スーパーマリン スピットファイア、零式艦上戦闘機、F4Fなどがある。大戦後期には米国により、P-51等優秀な機体が実戦に投入されている。
第二次世界大戦後
軍用機の種類
- 戦闘機 - 戦闘爆撃機(支援戦闘機)- 要撃機
- 爆撃機 - 攻撃機
- 偵察機
- 観測機
- 電子戦機
- 早期警戒機(AEW)- 早期警戒管制機(AWACS)
- 対潜哨戒機
- 輸送機
- 空中給油機
- 練習機
- 連絡機
- ヘリコプター - 攻撃ヘリコプター
- UCAV
- 垂直離着陸機
- COIN機
現在は廃れた種類