建築設備士
テンプレート:資格 建築設備士(けんちくせつびし)とは、建築士の求めに対し建築設備の設計、工事監理に関するアドバイスを行える建築士法に基づく国家資格である。
建築設備士の取得者は4年の実務経験で一級建築士試験の受験資格が、また、実務経験不要で二級建築士、木造建築士試験の受験資格が与えられる。また、合格後1年の実務経験で電気工事、管工事の一般建設業における営業所の専任技術者、工事現場の主任技術者となることができる。
概要
建築設備(空調・換気、給排水衛生、電気等)の高度化・複雑化などにより、建築設備に係る設計・工事監理を建築士が行うにあたり、建築士から求められた場合にアドバイスが出来る資格である。
本資格取得者による一級建築士試験の受験資格については、国交省建築士制度小委員会にて検討され、二級建築士と同様に4年の実務経験により受験資格が与えられることになった。また、建築設備士として5年以上の実務経験に加えて一級建築士を取得した者は、「設備設計一級建築士」の講習・考査を受ける事が可能となる。
ただし、二級建築士は規模等や管理建築士の下での業務の制限があるものの設備を含む建築物の設計・監理業務が出来るのに対し、建築設備士は設計・監理業務は認められておらず、これらの業務を行うには建築士合格後 他の建築士事務所で勤務した場合のみとなる。尚、単独業務を行うには建築士合格後3年間建築士事務所で業務を行い当該管理建築士の業務証明により管理建築士講習・考査に合格後、自らの建築士事務所登録を行ってからとなる。
業務
建築設備全般に関する知識及び技能を有し、建築士に対し、高度化・複雑化した建築設備の設計・工事監理に関する適切なアドバイスを行い、当該建築士が有効として設計等に反映した場合、建築確認申請書に建築設備士の名前が記載される。
業務が円滑に遂行できるよう、国土交通大臣指定登録機関の登録者名簿に氏名等の登録を行うことも出来る(登録は任意)。 登録者は、国土交通省の設計業者資格審査において、一級建築士と同等の資格(5点)として扱われる。
受験資格
- 学歴(大学、高等学校、専修学校等の正規の建築、機械又は電気に関する課程を修めて卒業後、学歴ごとに定められた実務経験も必要)
- 四年制大学の建築・機械・電気卒業の場合 : 実務経験2年以上
- 短期大学、高等専門学校、旧専門学校築・機械・電気卒業の場合 : 実務経験4年以上
- 高等学校、旧中学校の建築・機械・電気卒業の場合 : 実務経験6年以上
- その他 学校・専攻により : 実務経験2~6年以上
- 資格(2年以上の実務経験も必要)
- 一級建築士
- 一級電気工事施工管理技士
- 一級管工事施工管理技士
- 空気調和・衛生工学会設備士
- 電気主任技術者(一種~三種)
- 実務経験のみ9年以上
試験
一次試験が6月頃、二次試験が8月頃となっていて、札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市で試験が行われる。
試験科目
- 一次試験(学科)
- 建築一般知識 30問(合格基準点 12点以上 40%)
- 建築法規 20問(合格基準点 10点以上 50%)
- 建築設備 50問(合格基準点 25点以上 50%)
- 合計 100問(合格基準点 60点以上 60%)
全て5択問題
各課目及び合計点が全て合格基準点以上で合格となる。
- 二次試験(設計製図・記述)
- 建築設備基本計画
- 建築設備基本設計(空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備より1部門選択)
第一次試験(学科)の合格者は翌年に限り第一次試験の受験が免除される。
合格率等
1次試験合格率 | 2次試験合格率 | 総合合格率 | 合格者数 | |
---|---|---|---|---|
1993年(平成5年) | 29.5% | 50.8% | 18.1% | 394人 |
1994年(平成6年) | 31.0% | 50.8% | 18.8% | 449人 |
1995年(平成7年) | 31.3% | 52.4% | 19.9% | 484人 |
1996年(平成8年) | 30.1% | 51.1% | 19.2% | 449人 |
1997年(平成9年) | 31.4% | 51.7% | 19.5% | 478人 |
1998年(平成10年) | 31.1% | 51.4% | 20.1% | 497人 |
1999年(平成11年) | 31.5% | 52.1% | 20.7% | 486人 |
2000年(平成12年) | 32.5% | 52.5% | 20.9% | 486人 |
2001年(平成13年) | 38.0% | 50.5% | 23.0% | 509人 |
2002年(平成14年) | 27.5% | 49.5% | 18.9% | 421人 |
2003年(平成15年) | 29.9% | 55.3% | 19.2% | 551人 |
2004年(平成16年) | 29.8% | 59.7% | 21.9% | 625人 |
2005年(平成17年) | 25.3% | 55.9% | 18.1% | 485人 |
2006年(平成18年) | 23.2% | 57.1% | 16.7% | 450人 |
2007年(平成19年) | 17.2% | 61.8% | 15.0% | 351人 |
2008年(平成20年) | 36.7% | 59.2% | 23.0% | 596人 |
2009年(平成21年) | 25.9% | 61.6% | 21.1% | 634人 |
2010年(平成22年) | 35.4% | 50.8% | 20.0% | 588人 |
2011年(平成23年) | 23.0% | 49.2% | 16.7% | 467人 |
登録者数
建築設備士の資格者数と登録者数(平成21年3月31日現在) 建築設備士36,625名 登録者33,783名 登録率(登録者/建築設備士)92.2%
尚、資格者の約2/3を締める 24,421名は資格創設当時の特例措置として実務経験+講習及び修了考査による取得者である。
北海道 | 1,108人 | 埼玉県 | 2,769人 | 岐阜県 | 457人 | 鳥取県 | 82人 | 佐賀県 | 91人 |
青森県 | 109人 | 千葉県 | 2,704人 | 静岡県 | 601人 | 島根県 | 94人 | 長崎県 | 86人 |
岩手県 | 92人 | 東京都 | 5,717人 | 愛知県 | 2,279人 | 岡山県 | 176人 | 熊本県 | 171人 |
宮城県 | 775人 | 神奈川県 | 3,631人 | 三重県 | 322人 | 広島県 | 749人 | 大分県 | 123人 |
秋田県 | 123人 | 新潟県 | 352人 | 滋賀県 | 243人 | 山口県 | 167人 | 宮崎県 | 81人 |
山形県 | 103人 | 富山県 | 280人 | 京都府 | 458人 | 徳島県 | 83人 | 鹿児島県 | 164人 |
福島県 | 174人 | 石川県 | 455人 | 大阪府 | 3,062人 | 香川県 | 205人 | 沖縄県 | 174人 |
茨城県 | 537人 | 福井県 | 202人 | 兵庫県 | 1,484人 | 愛媛県 | 128人 | 外国 | 1人 |
栃木県 | 220人 | 山梨県 | 91人 | 奈良県 | 659人 | 高知県 | 88人 | ||
群馬県 | 254人 | 長野県 | 418人 | 和歌山県 | 117人 | 福岡県 | 1,324人 | ||
全登録者数 | 33,783人 |
関連項目
外部リンク
- 財団法人建築技術教育普及センター
- 建築設備士に一級建築士受験資格を付与することについて(国土交通省住宅局建築指導課)