動物繊維

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刈り取ったウール

動物繊維(どうぶつせんい)とは、動物から取れる繊維のこと。を作りこれを織ってとして、衣類素材に用いられる。

概要

動物繊維は、動物全般から得られる繊維であるため、昆虫であるカイコから得られるからほ乳類ヒツジなどの毛を使う羊毛まで様々であるが、その多くは蛋白質が主な材料になるため、燃やすと焦げ臭い。また乾燥した動物の死骸(動物性蛋白質)などを食べる虫による食害を受けやすい。

動物の体毛はそのままの形で利用される例もあり、また皮と共に毛皮として利用される例もあるが、これらは繊維とは認識されない。皮革という基部にという構造が付いているためである。

一般に広く利用されるのはほ乳類の体毛である。弾力性に優れ、しなやかなものが好まれる。代表的なのが羊毛である。無脊椎動物が分泌物からつくる糸を利用する例もあり、この代表が絹糸である。動物性繊維の中でも取り分けクモの作る繊維は、強い引っ張り強度(同径の鉄線に勝る)を持つことで知られるが、こちらは量産する手法がないため、利用されない。

動物繊維はその多くが人間の手によって家畜として飼育された動物から採取される。これは繊維として扱い易い長さの毛を持つ動物が自然界には限られること、加えて繊維の長さを一定以上に保つためには飼育して保護した環境のほうが、より品質的に優れるものが得られるためである。

種類

代表的な動物繊維を以下に挙げる。

動物 繊維の通称
羊毛(ウール
シルク
ヤママユ(山繭) 天蚕糸
アンゴラ山羊 モヘヤ
カシミヤ山羊 カシミア
駱駝(ラクダ) キャメル
ラマ ラマ
アルパカ アルパカ
ビクーニャ ビキューナ
アンゴラウサギ アンゴラ

動物繊維の長所・短所

動物繊維は、その長所として繊維が弾力に富み、空気を多く含んだ布地を作りやすい事が挙げられる。これは肌触りが良いだけではなく、断熱材として機能することから、暑さや寒さから体を保護するために有効である。防寒具だけではなく、強い直射日光を遮断するためにも毛織物は有効である。またほ乳類の毛は適度に油分を含むため、撥水性に優れる。反面、吸水性は低い。

また火をつけると焦げる性質があり、これは強い悪臭ともなるが、これは炭化の過程で難燃性を発揮し、化学繊維のように融けながら延焼するような問題を起こさない。ウール製高級絨毯の識別方法として、切れ端に火をつけるというものがあるが、特に丁寧に作られ目の詰まった絨毯は強い難燃性を示す。19世紀のイギリスの消防士は、厚い革帽子とラシャ地のジャケットに身を包んで消火活動にあたったほどである[1]

その一方で、先に挙げたとおり昆虫などの食害を受けやすい傾向がある。これは動物性蛋白が他の生物にとってまたとない「ごちそう」であるためだが、特に昆虫の中には乾燥した動物性蛋白を主食とするものも多く、保存には注意が必要である。

脚注

  1. 『世界の服飾1民族衣装』原著:A.ラシネ/日本語版監修:石山彰・マール社

関連項目