スケルトン (スポーツ)
スケルトン(Skeleton)とは、きわめて簡易な構造の小さなソリで滑走し、全長1300から1500mのコースの速さを競う競技。滑走2回または4回の合計タイムで争う。ウィンタースポーツのひとつ。
概要
足を進行方向に向けて仰向けの状態でそりに乗るリュージュとは異なり、頭を進行方向に向けうつ伏せの状態でそりに乗るのが特徴である。最高時速は120〜140㎞/h(87.5mph)にもなる。現在冬季オリンピックの正式競技種目となっており、種目はリュージュやボブスレーとは異なり、複数人で行うものはなく、男女別の1人乗りのみである。
「スケルトン」という語源は、使われる金属そりがまるで骸骨のように骨組みだけのものだったことから、スケルトンと呼ばれるようになったという説と ノルウェー語の意味から来ているとの説がある。
歴史
スキーより以前に、ヨーロッパや北アメリカの山間地ではソリ競技は人気のある競技であった。
1885年にサンモリッツ・トボガンそりクラブが作られ、スイスのサンモリッツ~チェレリーナ村近くまで凍結した道を降りる競走が行われていた。当時は現在のような頭を下にするスタイルではなかったが、あるイギリス人が頭を下にして滑るスタイルで滑ったところ非常に速かったことから主流となり、今のスタイルが採用され公式スポーツになった。
1923年に国際ボブスレー・トボガニング連盟 (FIBT) が創設され、1926年にFIBTパリ議会にて、国際オリンピック委員会(IOC)はスケルトンのオリンピックスポーツ化へ申告。
1928年の第2回の冬季オリンピックであるサンモリッツオリンピックでは正式競技となり、1948年の第5回のサンモリッツオリンピックまで正式競技として採用されている。
その後、冬季オリンピックでは危険であるという理由からスケルトンはオリンピックの正式競技種目から除外され、競技は行われなくなった。スケルトンはその特性上、ウィンタースポーツの中ではアルペンスキー、リュージュ、ボブスレーと肩を並べる非常に危険な競技であることでも知られ、現在ではスケルトンを行なう際にはヘルメットやプロテクターの着用が義務化されているが、当時はそのような決まりはなかった。そのため当時の選手はヘルメットをつけることによって風の抵抗やヘルメット(その当時はほとんどが鉄製)やプロテクターの重みによってタイムが落ちるのではないかと心配し、固い氷のコースでほとんどの選手がヘルメットをつけることなく、頭部も体も全く無防備の状態で競技を実行し、事故が多発した。
1992年に20ヶ国がワールドカップシリーズに参加し、1994年には25ヶ国まで増加。IOCにより2002年のソルトレイクシティオリンピックの正式競技種目として再び導入された。正式種目に採用されたのは54年ぶりのことであった。
日本の主な選手
関連項目
- 全日本スケルトン選手権大会
- 越和宏 - 日本におけるスケルトンの第一人者
- 日本ボブスレー・リュージュ連盟
- クイズ日本人の質問 - NHK総合テレビジョン製作のクイズ番組。スケルトンが正式競技から外されていた時期に問題として出題され、「幻の冬季オリンピック種目」として紹介された。
- 探偵!ナイトスクープ - 朝日放送制作のバラエティ番組。1994年、「競技人口の少ないオリンピック競技」としてスケルトンが紹介された。越も「第一人者」として出演。当時の日本における競技人口は3人と放送されている。