ジュドー・アーシタ
テンプレート:Pathnav ジュドー・アーシタ(Judau Ashta, U.C.0074年10月10日 - ?)は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の人物。同作の主人公である。担当声優は矢尾一樹(次回予告ナレーションも兼任)。14歳。血液型はB型。公式設定は身長165cm[1]、体重56kg[2]。
劇中での活躍
宇宙世紀0088年初頭、ジュドー・アーシタはサイド1のスペースコロニー「シャングリラ」にて暮らしていた。同コロニーの福利厚生政策はお世辞にも充実していたとは言えず、また彼の両親は出稼ぎに出たまま不在の状態であった。このため、ジュドーは学校にはあまり通わず、生活費の捻出と妹のリィナ・アーシタを「山の手の学校」へと通わせるため、仲間達と共にジャンク屋稼業に精を出していた。
そんな折、グリプス戦役で疲弊したエゥーゴの巡洋艦アーガマが修理と補給のため、彼の住むシャングリラへと寄港する。ジュドーと仲間のビーチャ・オーレグらは、アーガマに所属するモビルスーツ (MS) Ζガンダムを盗み出し大儲けしようと画策する。彼らは、シャングリラに流れ着いたティターンズの敗残兵ヤザン・ゲーブルと共にアーガマに侵入するが、ジュドーは成り行きからΖガンダムに乗り込んでしまう。ヤザンのクルーに対する横暴に憤りを覚えたジュドーはΖガンダムで戦いを挑み、彼の乗り込むプチ・モビルスーツを撃退する。アーガマの艦長ブライト・ノアは、初めてとは思えぬ操縦でΖガンダムを操るジュドーを見て、彼の行動にアムロ・レイやカミーユ・ビダンといったかつてのガンダムのパイロット達の面影を重ねる(第2話)。
それと前後してシャングリラにアクシズの先遣隊・巡洋艦エンドラが入港、同艦を率いるマシュマー・セロは自ら新型MSに搭乗し、アーガマを襲撃する(第3話)。しかし、再びΖガンダムに乗り込んだジュドーがこれを退け、その後ブライトやファ・ユイリィらの懇願もあり、ジュドーと仲間達はアーガマの乗員となる。また、志願兵ルー・ルカも同時にアーガマへ合流している。ジュドーはブライトの期待に応え、その後幾度かの実戦を経てΖガンダムを乗りこなすようになる。また、彼はコロニー内を航行中の艦艇やMSに生身で取り付くなどの、生来の行動力と高い身体能力を持っていた。パイロット候補生となったジュドーは、攻め来るエンドラのMS部隊に対して臆することなく戦い、アーガマの窮地を救う。そして、エゥーゴの最新鋭機ΖΖガンダムのメインパイロットとなった彼はニュータイプとしての才能を徐々に開花させていきつつ、第一次ネオ・ジオン抗争に参加していく。
ジュドーは当初、アーガマの戦闘艦としての任務には然程積極的ではなかったが、彼の妹リィナは同艦の援助に熱心であった。そのため、彼女の身の安全を第一と考えるジュドーとしては、妹を護るためには戦闘に参加せざるを得なかった。しかし、そのリィナがネオ・ジオンに捕われの身となってからは積極的に戦闘に身を投じるようになり、独断による出撃や単身アクシズに投降(第18話と19話)、潜入を試みるなどの怪行を繰り返す場面も見られた。またエゥーゴの出資者ウォン・リーの「修正」を切り返し(第20話)、蹴りを入れるなど、ジュドーやその仲間達の奔放な振る舞いはブライトらアーガマクルーの頭痛の種でもあったという。その後、ジュドーはムーン姉妹やエルピー・プル、セシリア、その他多くの人物との出会いと彼らの死、そして人間の持つエゴイズムと直面していく中で成長していく。
ジュドーは、Ζガンダムのパイロットであったカミーユ・ビダンやネオ・ジオンのエルピー・プル、そしてハマーン・カーンら自分以外のニュータイプとの出会いを重ね、それらは彼に戦うことへの意義を見出させる契機となっていった。カミーユは自失状態でありながらも思念でジュドーに語りかけ、ジュドーはそれを感知した。プルはジュドーに惹かれエゥーゴに寝返り、ハマーンは彼の気配をかつての恋人シャア・アズナブルと錯覚している。
ハマーンはアクシズでジュドーと出会って以来、関心を寄せるようになり彼を同志とするべく幾度か誘いをかけたが(第22話)、ジュドーはそれを退け、ダカール迎賓館においてはリィナを負傷させたハマーンに対し怒りの念を爆発させる(第27話)。この時の激昂するジュドーの意思は強大な敵意となってハマーンに襲い掛かり、彼女を激しく怯えさせた。ニュータイプであるハマーンにとって、己に対して向けられたジュドーの意思はプレッシャーにも似た恐怖として感じられた様である。また、ダカール市外にて戦闘中であったジュドーの仲間達にとっても、異様な気配として察知されている。ハマーンはその後も幾度かジュドーにアプローチを行っているが、ジュドーは彼女を悪の元凶と捉え拒み続けた。
ジュドーは妹であるリィナを助けるという人間としてナチュラルな動機で戦闘に参加しており、特定の思想・観念に対し囚われを抱くことはなかった。戦闘の渦中においてリィナが消息不明となった際、ジュドーは激しい失意に沈む(第29話)。しかし、仲間の叱咤もあり、戦争を終結させるために決意を新たにしたジュドーは生来のバイタリティを取り戻す。そして、彼を慕うプルやラビアンローズのエマリー・オンス、ラサラ・ムーンといった仲間達の死を乗り越え、彼らの意思を背負い過酷な現実に立ち向かっていった。ジュドーは人間の可能性を信じ、彼の発した意思は遠く離れていたリィナにも届いている。
第一次ネオ・ジオン抗争の最終局面において、ジュドーはハマーンとの一騎打ちに臨む。ハマーンは決戦の舞台を、ジオン発祥の地であり彼女が初めてジュドーに出会ったコア3の宮殿前へと運ぶ。ジュドーはそれを単なるハマーンの感傷に過ぎないと一蹴した。途中、両者はモビルスーツを降り、生身の戦闘を展開する。この際にもハマーンはジュドーに己の許へと来るように最後の呼びかけを発するが、憎悪を拡大するハマーンにジュドーは怒り、憎しみを吐き出せと言い放つ。激戦の末、最終的にジュドーはハマーンのキュベレイを撃破する。己の信念を看破され、敗北を喫したハマーンではあったが、その貌は長年の宿業から解き放たれたかの様に安らかであった。致命傷を負ったハマーンは救助の手を差し伸べるジュドーの手を振り切り、大破した乗機を岩盤に激突させ自害する。その潔さを持ちながら、ハマーンが自身の能力を調停に活かさなかったことがジュドーには悔やまれた。しかし、彼の優しさは頑なであった彼女の精神を最期に救ったのである(第47話)。
戦争終結後、ジュドーは依然として変わらぬ連邦政府高官やエゥーゴ上層部の実態に愕然とし、激しい憤りを感じ涙する。しかし、それでも彼は人間に対する希望を失わず、ルーと共に木星船団ジュピトリスIIに志願する。月面フォン・ブラウン市にて仲間達に見送られる中、彼は消息不明となっていた最愛の妹リィナと再会、抱擁を交わす。一説によれば、彼らと共に戦い抜いたΖΖガンダムも同時にジュピトリスIIに搬入されたという[3]。宇宙世紀0089年3月、こうしてジュドーは木星圏を目指して旅立っていった。
その後のジュドー
ジュドーは『機動戦士ガンダムΖΖ』最終話で木星へと旅立って以降の消息に付いては公式には語られていない。ただし長谷川裕一などによる漫画など、ガンダムシリーズの「正史」には含まれていない非公式作品のいくつかには『機動戦士ガンダムΖΖ』以後のジュドーが登場する。
- 『GUNDAM EVOLVE../10』
- CGアニメ (OVA) 作品。
- 木星に向かうジュピトリスにネオ・ジオン残党からの亡命希望者とその追手のMS部隊が迫る。ジュドーは地球から持ち出していたΖΖ-GR(下半身を失っていたΖΖガンダムをジムIII等他機体のパーツで補修した機体)で出撃。これに対応する。
- 本作のジュドーは敵機より放たれるビームの火線を見切り、ビームサーベルによる斬撃でこれを相殺した他、ΖΖガンダムの複数の火器を同時にドライブし、別個の標的を捕捉し撃破するなど、ニュータイプ専用機並みの戦力を示した。
- 『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』
- 漫画。宇宙世紀0091年が舞台。
- 木星圏のオリュンポス・コロニーで暮らしていた(ルーとは離別したらしい)ジュドーのところにアムロ・レイが現れる。二人は協力してネオ・ジオンの残党が発掘した巨大機動兵器「巨神」の発動を阻止し、そのパイロットとして利用されていたミネバ・ラオ・ザビを救出する。
- 『機動戦士ガンダム 英雄伝説』
- 漫画。宇宙世紀0094年が舞台。
- 第二次ネオ・ジオン抗争時に消息を絶ったアムロ・レイを捜索するためシャングリラを訪れたカイ・シデン。彼に協力するガンダム・チームとヤザンやネオ・ジオン残党との間で武力騒動が発生したため、ΖΖに搭乗したジュドーが駆けつけ鎮圧した。
- 『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』
- 漫画。宇宙世紀0099年が舞台。
- ジュドーはルーと思われる人物と共に仕事を続けており、木星からヘリウム船団の一員として率いて地球へ帰還し、ビーチャと思われる人物と再会した描写がある。シャアの反乱など地球圏での騒動は知らない様だが、何らかの変化は感じ取っていた。
- 『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』、『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』、『機動戦士Vガンダム外伝』
- 漫画。『スカルハート』『鋼鉄の7人』は宇宙世紀0133年 - 0136年頃、『Vガンダム外伝』は0153年が舞台。
- これらの作品に、地球と木星を往復するヘリウム船団のリーダーで、自前のMSガンプのパイロットとしても優れた腕前を持つグレイ・ストーク[4]というニュータイプの男性が登場する。「木星じいさん」を自称するこの人物は、ジュドーが偽名を名乗っている可能性が示唆されている。どこか彼を彷彿とさせる風貌に加え、ガンプとは60年間付き合いがあり、様々な部品を寄せ集めて改造・偽装されたΖΖの意匠を持つMSであるなど、明言はされていないものの関連性を含ませたキャラクターである。
- 『スカルハート』ではエピソード「最終兵士」に登場。トビア・アロナクスにある依頼を持ち込み、ともに木星軍の残党と戦った。『鋼鉄の7人』ではトビアらから木星帝国の神の雷計画を知らされ怒る1コマのみ登場。
- 『Vガンダム外伝』では同志たちと共にスペースコロニー2基を連結して冬眠船ダンディ・ライオン(雑誌連載時の名称は「ステラ・バース」)を建造し、太陽系外(プロキシマ・ケンタウリ)へ旅立とうとする。
- なお、ゲーム作品ではストークとジュドーとの同一性の判断は分かれており、ゲーム『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』では、グレイ・ストークをジュドー役の矢尾一樹が演じているが、システム上は別のキャラクターとして扱われている[5]。一方で、トレーディングカードゲーム『ガンダムウォー』のグレイ・ストークのカードには「このカードは、「ジュドー・アーシタ」が場にいる場合、場に出せない」という一文が記載されている。
搭乗機
アニメ本編での搭乗機
その他の搭乗機
その他
- 名前の由来は山下泰裕(「柔道の山下」)から。またビートルズの『ヘイ・ジュード』にも由来している(脚本家の鈴木裕美子が放送当時、アニメ雑誌のΖΖ特集に寄せた文で明かしている)。愛用ノーマルスーツの色が白地に赤ラインという「日の丸カラー」なのも山下の影響かと勘ぐる声もあるが、これは先代主人公カミーユが白地に青ラインだったため、その対照色とされただけである。
- ジュドーを演じた矢尾は、ジュドー役と『超獣機神ダンクーガ』の藤原忍役で人気声優となる。しかし矢尾は、「当時駆け出しだった自分はジュドーと忍の演じ分けがちゃんと出来なかったため、苦い思い出でもある」と言う。また、矢尾はジュドーを暗い性格だと思いこんでおり、共演者たちから「それは違う」と指摘されたとのこと。カミーユ・ビダン役のオーディションで落選していたが、ジュドー役は最終的にはオーディションなしで決定したとの証言している。
- 『ΖΖ』のメイン脚本を担当した鈴木裕美子は、「ジュドーのニュータイプとしての能力はアムロやカミーユに劣るが、自然に力を身につけることができ、その大地に根ざした能力こそが、それまでのニュータイプが持っていなかった力。その力をハマーンは恐れた」と述べている[7]。
- ジュドーはガンダムシリーズで初めて女装した主人公でもあり、第40話でルーたちを救出するためにイーノ・アッバーブと共に潜入のため女装した。ちなみに女装の質はひどいものだったらしい。なお、同シリーズでは他にも女装したキャラクターは存在し、『∀ガンダム』のロラン・セアックや『機動戦士ガンダム00』のティエリア・アーデがいる。
- 『ZZ』では総監督として携わった富野由悠季は、本放送直後の「B-CLUB」に掲載されたインタビューで「ジュドーはもう1作主役を張れるほどバイタリティのあるキャラクター。是非もう1作、ジュドーを主人公にした作品を作りたい」という旨の発言をしている。
注釈
関連項目
テンプレート:宇宙世紀en:Judau Ashta- ↑ 『機動戦士ガンダムΖΖ PART2 完結編』学習研究社p91
- ↑ 『機動戦士ガンダムΖΖ PART2 完結編』学習研究社p91
- ↑ プラモデル「1/100 MG MSZ-010 ΖΖガンダム」組み立て説明書およびOVA『GUNDAM EVOLVE../10』などによる。
- ↑ 「グレイ・ストーク卿」と書かれることもある。なおこれは小説『ターザン』の父親の名前。
- ↑ ゲームでは「プレイヤー部隊でユニットとして使用できるようになった原作付キャラクターは、時代が違っても同一人物が登場する作品には出撃出来ない」ルールになっているが、ジュドーは『スカルハート』でも出撃可能。ただし『機動戦士ガンダム MS IGLOO』のステージにおいて、シャアの乗っているザクIIが登場するがプレイヤー部隊のシャアも出撃可能という例もある。
- ↑ アニメ本編での話の展開上等の都合で、コア・ファイター、コア・トップ、コア・ベース(3機の中でZZガンダムにドッキングしないときでもコア・ファイターが特に多い)等の戦闘機での出撃、戦闘が宇宙、地上問わず多い。
- ↑ ニュータイプ誌87年4月号