カガリ・ユラ・アスハ
カガリ・ユラ・アスハ(Cagalli Yula Athha)は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の人物で、もう1人のヒロイン。旧名:カガリ・ヒビキ。声の出演は進藤尚美。
個人データ
- 人種:ナチュラル
- 生年月日:C.E.55年5月18日
- 星座:牡牛座
- 血液型:A型
- 年齢:16歳→18歳
- 身長:162cm→164cm
- 体重:54kg→48kg
- 髪:金色
- 瞳:金色[1]
- 趣味:体力づくり
遺伝子研究者のユーレン・ヒビキの娘として生まれる。幼い時に養母は死去[1]、養父であるオーブ連合首長国の代表首長ウズミ・ナラ・アスハによって一人娘として育てられた。 なお、五大氏族であるセイラン家の跡取り、ユウナ・ロマ・セイランとは親同士が決めた婚約者関係にあった。
相手が何者であろうと常に自然体で接する性格で、相手に媚びない強気な態度も多い。律義で曲がった事を嫌っている。 男っぽい口調で喋るが、一人称は「あたし(もしくは私)」である。
キラ・ヤマトとは、血を分けた双子同士である。姉か妹かははっきりしないものの、オーブ内では本人の意向もあり姉として扱われている。 なお、キラとは違いどういった経緯でウズミの養子になったかは一切不明である。
作中全体でも高い地位を持つが、本人がまだ未熟なことと敵味方含めて周りの人間に博識な人物が多いこともあり、それほど頭が良くない描写で描かれることが多い。特にゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」では顕著である。
詳細な理由は不明だが『SEED DESTINY』放映以降に発売されたゲーム作品では、登場するものの一切声があてられていなかった。なお、2012年に発売された『機動戦士ガンダムSEED BATTLE DESTINY』で久々の声をあてられている[2]。
経歴
機動戦士ガンダムSEED
中立コロニーヘリオポリスのモルゲンレーテ社工場内で地球連合軍が新型機動兵器を開発しているとの噂の真実を確かめるためヘリオポリスを訪れていた最中に、キラと出会う。ザフト軍クルーゼ隊襲撃時に、モルゲンレーテ社工場内で新型MSG兵器を目撃し、中立の旗を掲げながら地球連合軍のMS開発を黙認する父の行為を裏切りと捉える。戦闘でコロニーの崩壊が避けられない状況になり、キラに無理矢理シェルター内に避難させられる。
無事、オーブに帰国を果たすも、あくまで中立の立場を貫く父親に反発し、世界をその眼で見るため国を飛び出す。その後、護衛のオーブ陸軍第21特殊空挺部隊キサカと共に、彼の故郷である北アフリカに行き、そこでレジスタンス「明けの砂漠」に加わり、対ザフト軍抵抗活動を続ける中、ストライクとその母艦アークエンジェルが地球に降下し、キラと再会する。
アークエンジェルと共にバルトフェルドの北アフリカ駐留部隊を退けた後は、押しかけ同然でキサカと共にアークエンジェルに同乗する。数度、スカイグラスパーで戦闘に参加しキラと共に戦った。
出撃時に一度、被弾して無人島に漂着しており、そこでアスランと遭遇している。悪天候を逃れるため一夜を共に島で過ごすことになり、年頃の少女として、アスラン共々互いに異性を意識した。
その後、オーブ近海での戦闘中にアークエンジェルの危機を救うため自らの素性を告白し、満身創痍のアークエンジェルをオーブに秘密裏に入国させた。その後アークエンジェルが出向を迎えた際には、再び同行して尚も戦い続けようとウズミに反発するが、銃を手にする事だけが守る事では無いと教えられ、艦を降りる決意をする。
オーブ近海戦におけるキラとアスランの死闘の後、キラの安否を確認するため現地に飛ぶと、焼け爛れたストライクの残骸と意識不明のアスランを発見する。目覚めたアスランから、憎しみの連鎖を目の当たりにする。一度はキラの仇として憎んだはずのアスランに、自分の身に着けていたハウメア女神のお守りである首飾りを贈り、「もう誰にも死んでほしくない」と告げた。その後、アラスカ基地攻防戦を生き抜き、地球連合軍を離脱したアークエンジェルがオーブに再度秘密裏に入国した際、キラと再会し、その無事をその眼で確認し、涙した。
ザフト軍対地球連合軍の戦闘状況が膠着化する中、地球連合軍はオーブに同盟締結を強要する。ウズミは自国の一時の安全より世界平和への理念を選び、要求を拒否する。一度はキラのフリーダムやアスランのジャスティスの加勢もあって地球連合軍を退けるも、再度の連合軍の侵攻の際、ウズミはカガリ達をマスドライバー「カグヤ」で宇宙へと脱出させた後に施設を破壊し、オーブと最期を共にした。父との最後の別れの際、手渡された一枚の写真とウズミの言葉により自分とキラが双子の姉弟(兄妹)であったことを悟る。オーブの遺志を受け継ぐと、亡き父への想いを胸に戦艦クサナギの指揮に携わり、アスランとも心を通わせ恋仲となる。
最終決戦である第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では自らストライクルージュに搭乗し、キラやアスランと共に戦う。戦闘中、アサギ・コードウェル、ジュリ・ウー・ニェン、マユラ・ラバッツ達の死を目の当たりにし、SEEDに覚醒した。そして、ジェネシス中枢部でジャスティスの自爆装置を作動させ、自らもパトリック・ザラの息子である責任を負って死のうとしたアスランを説得してストライクルージュで救出し、共に脱出を果たしている。その後、トリィに導かれ、宇宙空間を漂っていたキラを救出した。
戦後、三隻同盟のクルーらと共にオーブ連合首長国に帰還をする。キラ、ラクス、アスランと共に夕食を共にし、マルキオ邸の子供達と遊ぶ姿が見られた。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
戦後は故国の復興のためオーブに戻り、ウズミの後継者としてオーブ連合首長国代表首長及びアスハ首長家当主となった。
C.E.73年に、再び地球・プラント両陣営で不穏な空気の漂い始める中、カガリは護衛としてアレックス・ディノ(アスラン)を伴い、プラント最高評議会議長デュランダルとの極秘会談の場に臨むため、L4に新設されたプラント「アーモリーワン」を訪れる。そこで地球連合軍ファントムペインの襲撃に巻き込まれてしまい、そのまま緊急避難としてザフト軍の新造艦ミネルバに乗艦する事になった。
ミネルバにおいて、2年前の地球連合軍によるオーブ解放作戦時に家族を失ったシンと出会い、オーブの理念を貫くことによって被災者が出ることを考慮したのかと叱責を受けるが、意見を主張する事が出来なかった。戦いの裏では多くの悲劇が起こっていた現実を知ってしまい、自室にて「お父様も悩んで決断されたのに」と涙しアスランに縋るなど、国家元首として幼い面を見せる。その後、ミネルバにてシンと顔を合わせる際には、伏し目がちな対応になっていた。その後、ユニウスセブン落下テロ事件をきっかけに再び開戦の気運が高まる中、カガリとアスランはミネルバによってオーブに送り届けられる。プラント本国に向かうアスランとの別れの際に彼から指輪を贈られ、以来、婚約者であるユウナの前でも常にそれを身に着けていた。
ファントムペインの襲撃、ユニウスセブン落下テロ事件での戦闘で多大な損害を被ったミネルバに、自身をオーブに送り届けてくれた事への厚意、また中立であるオーブの代表として補修及び補給を行うなど代表首長として務めた。しかし混迷深まる世界情勢の中、宰相ウナトなど首脳陣からオーブの取る姿勢の決断を迫られ、国土を守るために大西洋連邦との同盟を提案される。その同盟の締結はザフト艦であるミネルバを敵と見なすと同然であったために、それに反発するも、まだ若輩の上政治家として経験にも乏しく、感情や理想論が先走りがちなその性格のために、カガリは代表首長に相応しい政治判断を出来ず、実質的に政治を執り仕切っているウナトの言う通りに大西洋連邦との同盟を締結した。その不甲斐なさをタリアに詫びるが、シンからは国を守るために自分達の考えを押し付けるオーブ首脳陣と、自分の意見を押し通せないカガリ自身に対する辛辣な言葉を浴びせられている。
親同士が定めたウナトの息子ユウナとの結婚もそれが国のためになるならばとアスランへの想いを押し殺し認め式が催される。式の最中に突如出現したキラの搭乗するフリーダムによってアークエンジェルに連れ去られ、アークエンジェル内で説得を受け、以降はそのままアークエンジェルに乗艦する。ミネルバと地球連合・オーブ同盟軍の戦闘に、ストライクルージュに乗りキラ・AAと共に介入してオーブ軍に「オーブの理念」をもとに停戦を呼びかけるが、正式に承認されている同盟を前線で国家元首の一声で無効に出来るはずもなく、ユウナの機転により、偽物扱いされオーブ軍より攻撃される。その介入により、両陣営には多数の死傷者を出す結果となり、アスランとも一時的に決別する事になる。2度目の介入ではシンの怒りを爆発させる事になり、今度は連合・オーブ軍がインパルス単機に圧倒される形となり、遂にはオーブの理念を理解するトダカも空母タケミカズチと共に戦場で散る事になった。しかし、トダカの遺志を継いだアマギ達はアークエンジェルに合流した。
その後、地球連合軍によるベルリン侵攻の際にはストライクルージュで出撃し、市民を攻撃から守る。フリーダムがインパルスに撃墜された後にはパイロットであるキラを救出し、デュランダルの本性を目の当たりにしてザフト軍から脱走したアスランと再会し和解する。暫くして、ジブリールがオーブに匿われている事を知る。ザフト軍からの引き渡し要求に対して、オーブ政府は「そのような人物は存在しない」と回答する。結果、ザフト軍によるオーブ侵攻という事態を招き、再び戦火に焼かれんとするオーブを見て、アークエンジェルに配備されているスカイグラスパーで強引に出撃しようとするが、キサカとエリカ・シモンズの二人に制止され、ウズミの遺言を聞くと共に、MSアカツキを提供される。その後、カガリはアカツキでムラサメ隊と共に出撃する。回線で司令部に呼びかけ、ユウナを国家反逆罪で拘束。ジブリールを取り押さえることには失敗するも、オーブ全軍を指揮下に置き、劣勢を極めたオーブ国防軍を立て直す事に成功した。
戦闘終結後は、オーブ連合首長国内閣府内で全世界に向けてTV中継で演説を行い、事実上ロゴスと決別する。デュランダルとの戦いはアークエンジェルを擁するオーブ宇宙軍と旧クライン派の同盟軍に任せ、自らは情勢が不安定であるオーブ本国に残り、国家元首として国を纏める事を選ぶ。再びアスランとの別離を選択し、メイリンに「自分は一緒には行けないからアスランの事を頼む」と伝え残す。そしてアスランからもらった指輪を外し、人知れず涙を流した。それ以降の二人の関係性を明確に示す描写は最終話に至ってもなされていない。 戦闘中に行政府のシェルターが崩壊した事で多数の政府要人が生死不明となり、それによって行政機能が麻痺するという事態が起きたが、生き残った者達をまとめ、オーブ復興に尽力した。新しいオーブの中心人物として、他人の意見に従うばかりではなく、時には自分の意見を押し通していき、オーブの内情を大きく変化させた。デュランダルが「デスティニープラン」を提唱した際には、明確な反対をいち早く表明し、同じく反対の立場を取ったスカンジナビア王国の国王と会談を行った。これらの行動とアークエンジェルの攻撃により、デュランダルはレクイエムの照準をオーブに合わせ、カガリ個人どころか国の全てを滅ぼそうとする強硬手段をとるが、発射寸前でレクイエムは破壊され、オーブの危機は回避された。
デュランダルの死亡後、ザフト軍との停戦協議合意時に行われたプラント臨時評議会代表ルイーズ・ライトナーとの会見では、ウズミを彷彿とさせる強い意志と落ちつきが垣間見えるようになっている[1]。