アイネ・クライネ・ナハトムジーク
テンプレート:Portal クラシック音楽 『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』(Eine kleine Nachtmusik)ト長調 K.525は、モーツァルトが作曲したセレナードのひとつである。
概説
本作はモーツァルトの楽曲の中でも非常に有名な曲の一つである。1787年8月10日にウィーンで作曲が完了された。この期日はオペラ・ブッファ『ドン・ジョヴァンニ』の作曲中の時期にあたる。ただし何らかの機会のために作曲されたと考えられるが、初演に関する史料は残されていない。父の死(1787年5月28日死去)の2ヶ月あまり後に作曲。
アルフレート・アインシュタインは、モーツァルトは同年の『音楽の冗談』(1787年6月14日に作曲完了)によって失われた音楽の秩序を回復するために作曲したと推測している。
なお旧全集の楽譜に通し番号の13番が充てられたため「セレナード第13番」と表記されることもある[1]。
題名
ドイツ語でEineは女性形の不定冠詞、kleineは「小さな」の意の形容詞kleinの女性形、Nachtmusikは、Nacht(夜)+Musik(音楽)の合成名詞で、「小さな夜の曲」という意味である。かつて日本語では「小夜曲」と訳されていたが、この邦訳はほとんど使われなくなっている。この題名はモーツァルト自身が自作の目録に書き付けたものである。
楽章
モーツァルトの自作の目録には第2楽章のメヌエットとトリオを含む5楽章として記載しており、元来5楽章からなっていたと考えられる。しかし、いかなる理由からか第2楽章は散逸しており、下記のような4楽章形式で演奏される。ただし、他のメヌエットを第2楽章に充てて5楽章形式で演奏される例もある。
- 第1楽章:アレグロ、 ソナタ形式 ト長調 4/4拍子
- 第2楽章:ロマンツェ(アンダンテ) 三部形式 ハ長調 2/2拍子
- 第3楽章:メヌエットとトリオ(アレグレット) ト長調 3/4拍子
- 第4楽章:ロンド(アレグロ) ロンド形式 ト長調 2/2拍子
演奏
弦楽合奏、あるいは弦楽四重奏にコントラバスを加えた弦楽五重奏で演奏される。通常演奏時間は17~8分であるが、楽譜の指示どおり全部繰り返しを行うと20分程度になる。
アイネ・クライネ・ナハトムジークを原曲としたポップスなど
- スーパーカリフラジスティックエクスピアリドーシャス(BOØWY)
- 絶対!Part2(早坂好恵)
- 『思い出を置く、君を置く』 太田裕美の同名アルバムに収録。第二楽章の主題にサトウハチローの詩をあてはめたもの。
- 『国民的行事』(KREVA)
- アイネ・クライネ・ニヒト・ムジーク:P. D. Q. バッハ
- 『SERENADE K.V.525-1』西司がアカペラでクラシックの譜面に忠実に歌っている。ミニアルバム「四季ORiORi」に収録。
- テレビ東京「タモリの音楽は世界だ!」のテーマ曲に使用され、番組専属バンドが毎回演奏していた。
- 福岡ソフトバンクホークスの藤岡好明投手の登場曲にも使われる。
- テレビゲーム「マリオブラザーズ」「Saints Row: The Third」、アーケードゲーム「みんなで鍛える全脳トレーニング」にもこの曲の冒頭部分が使用されている。
- 1980年代に日本ヴィックスから発売されていたのど薬「ヴィックス コプドロップ」(現在は「ヴィックス メディケイテッド ドロップ」の名で大正製薬から発売)でのテレビCMで使われていた。その時、「バーカバーカエヘン虫」という歌詞が付けられ、代表的な替え歌として有名になった。
- NHK-FM放送の番組みんなのコーラスでは、第1楽章と第4楽章の冒頭部分をアレンジした曲がオープニングに使われている。
- 1980年代後半にNHKテレビで放映された「加山雄三ショー」で、宮川泰がゲストの回にイントロ・サビが第1楽章で中身が「ドリフのズンドコ節」、という宮川のアレンジによる曲が演奏されたことがある。
- 日本テレビの情報番組「THE・サンデー」では、プロ野球投手の三沢興一が読売ジャイアンツ在籍時に存在したコーナー「前略、三沢興一です」(ナレーション:小野田英一)で、第1楽章のオカリナバージョンがコーナーのBGMとして流されていた。
- ニッポンレンタカー企業CM・イメージキャラクターの皆藤愛子が第一楽章にのせてサービス内容を歌う。(2011年~)
- 『トップランディング』1988年にタイトーが発売したアーケード用フライトシミュレーションゲーム。全面クリアのエンディングにアレンジ曲を使用。
サンプル
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参考文献
- アルフレート・アインシュタイン『モーツァルト - その人間と作品』浅井真男訳、白水社、1961年
- 『作曲家別名曲解説ライブラリー13 モーツァルトI』音楽之友社、1993年
脚注
- ↑ ベートーヴェン以降とは異なり、モーツァルトの時代には絶対音楽をジャンル別に分類し、通し番号を与えるという発想(たとえば交響曲第○番とかピアノ・ソナタ第○番といったナンバリングの習慣)は無かった。