トライアングル
トライアングル (triangle) は、体鳴楽器に分類される打楽器の一つである。形状は三角形に曲げられた金属(一般には鋼鉄)の棒である。「トライアングル」とは英語で三角形のことで、その形状からこの名がついている。
現代のトライアングルは通常、3つの角のうちの1つが、閉じられず、切れた状態である。ゆえに、トライアングルは2ヶ所の曲部を持った1本の棒であるといえる。一定の音律(ピッチ)を持たない。 テンプレート:Side box
演奏法
自由に振動できるように、開いていない角に紐あるいは金具を付けて吊し、金属の棒のばち(ビーター、トライアングルビーター)で打つ。専用スタンドに取り付けて演奏できるようにした製品もある。
特に軽音楽の分野では、指で楽器の一部に触れて振動を阻害し、音色を変化させることが行われる。また、打つ位置によっても、変化させることができる。
一見すると簡単に扱えるように見えるが、クラシック音楽で使用される楽器の中では非常に熟練を要する楽器である。音量をコントロールすることは困難であり、演奏が困難な複雑なリズムも要求される。
非常に小さな音を出すときには、通常より軽いビーターが使われる。編み針、その他木製のビーターを作曲家が要求することもある。
歴史
中世の絵画にすでにトライアングルが現れている。天使がトライアングルを演奏している絵画があり、トライアングルが礼拝に使用されたと見られている。古いトライアングルには、一般に底辺に輪を通してあった。また、三角形の一角が開いていない、完全な三角形のものもあった。また現在のトライアングルは正三角形をしているが、初期のものは二等辺三角形であった。
西洋のクラシック音楽のオーケストラに使われるようになるのは、18世紀中頃である。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ヨーゼフ・ハイドン、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンに使用例がある。通常トルコ軍楽隊の模倣として、トルコ行進曲の部分でバスドラムやシンバルとともに使用した。
フランツ・リストのピアノ協奏曲第1番の第三楽章では、トライアングルの独奏が見られるため、音楽評論家のハンスリックに『トライアングル協奏曲』などと揶揄された。