TeX

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テンプレート:WikipediaPage テンプレート:Infobox テンプレート:TeX（読み方については、以下の節「読み方」を参照）は数学者・計算機科学者であるドナルド・クヌース (Donald E. Knuth) により1978年にリリースされた組版処理ソフトウェアである。

名称について

製作者であるクヌースによって以下のように要請されている。

表記

正しくは “テンプレート:TeX” (\TeX) と表記する。それができない場合には “TeX” と表記する（“TEX” と表記するのは誤り）。

読み方

テンプレート:TeX はギリシア文字の Τ-Ε-Χ（タウ・イプシロン・カイ）であるから、発音は英語アルファベット「X」のように読むのではなくギリシャ語風に無声軟口蓋摩擦音（ドイツ語のch）で発音するのが正しい。テンプレート:TeXbookでは、正しく発音するとコンピュータの端末（のCRTモニタ）が、呼気でちょっと曇る、と冗談が書かれている。しかしそのような発音は難しいので、クヌースは古代ギリシャ語風に［tekh］（hは有気音）と読んでも構わないと言っている。日本ではどれもカタカナで表現するのが難しいため「テック」ないし「テフ」と書かれる。ドイツ語のchをハ行で表現することもあるので間違いとは言い切れないものの、ローマ字で書くなら「hu」であり、日本語の「ファ行のフ」である無声両唇摩擦音（ローマ字で「fu」）ではない。

機能

テンプレート:TeX はマークアップ言語処理系であり、チューリング完全性を備えた関数型言語でもある。文章そのものと文章の構造を指定する命令が記述されたテキストファイルを読み込み、そこに書かれた命令に従って文章を組版し、組版結果を DVI 形式のファイルに書き出す。DVI 形式とは、装置に依存しない (device-independent) 中間形式のことである。

DVIファイルには紙面のどの位置にどの文字を配置するかといった情報が書き込まれている。実際に紙に印刷したりディスプレイ上に表示したりするためには、DVI ファイルを解釈する別のソフトウェアが用いられる。DVI ファイルを扱うソフトウェアとして、各種のビューワや PostScript など他のページ記述言語へのトランスレータ、プリンタドライバなどが利用されている。

組版処理については、行分割およびページ分割位置の判別、ハイフネーション、リガチャ、およびカーニングなどを自動で処理でき、その自動処理の内容も種々のパラメータを変更することによりカスタマイズできる。数式組版についても、多くの機能が盛り込まれている。テンプレート:TeX が文字などを配置する精度は 25.4 / (72.27 × 216) mm（約 5.363 nm、4,736,286.72 dpi）である。

テンプレート:TeX の扱う命令文の中には、組版に直接係わる命令文の他に、新しい命令文を定義するための命令文もある。テンプレート:TeX のこの機能を使って使用者が独自に作った命令文はマクロと呼ばれ、こうした独自の改良をマクロパッケージと呼ばれる形で配布できる。

比較的よく知られている テンプレート:TeX 上のマクロパッケージには、クヌース自身による plain テンプレート:TeX、一般的な文書記述に優れた [[LaTeX|テンプレート:LaTeX]] (LaTeX)、数学的文書用の [[AmS-TeX|テンプレート:AmS-TeX]] などがある。一般の使用者は、テンプレート:TeX を直接使うよりも、テンプレート:TeX に何らかのマクロパッケージを読み込ませたものを使うことの方が多い。そのため、これらのマクロパッケージのことも “テンプレート:TeX” と呼ぶ場合があるが、本来は誤用である。

テンプレート:TeX のマクロパッケージには、他にも次のようなものなどがある。

テンプレート:TeX とそれに関連するプログラム、および テンプレート:TeX のマクロパッケージなどは CTAN（Comprehensive TeX Archive Network、包括 テンプレート:TeX アーカイブネットワーク）[8]からダウンロードできる。

数式の表示例

たとえば 

-b\pm \sqrt{b^2 -4ac} \over 2a

は以下のように表示される。

<math>-b\pm \sqrt{b^2 -4ac} \over 2a</math>

また、 

f(a,b)=\int_a^b \frac{1+x}{a+x^2 +x^3} dx

は以下のように表示される。

<math>f(a,b)=\int_a^b\frac{1+x}{a+ x^2 + x^3}dx</math>

生い立ち

テンプレート:TeX は、クヌースが自身の著書 The Art of Computer Programming を書いたときに、組版の汚なさに憤慨し、自分自身で心行くまで組版を制御するために作成したとされている。開発にあたって、伝統的な組版およびその関連技術に対する広範囲にわたる調査を行った。その調査結果を取り入れることで、テンプレート:TeX は商業品質の組版ができる柔軟で強力な組版システムになった。

テンプレート:TeX はフリーソフトウェアであり、ソースコードも公開されていて、誰でも改良を加えることができる。その改良版の配布も、テンプレート:TeX と区別できるような別名を付けさえすれば許される。また、テンプレート:TeX は非常にバグが少ないソフトウェアとしても有名で、ジョーク好きのクヌースが、バグ発見者に対しては前回のバグ発見者の2倍の懸賞金を掛けるほどである。この賞金は小切手で払われるのだが、貰った人は記念に取っておく人ばかりなので、結局クヌースの出費はほとんど無いという。

クヌースは テンプレート:TeX のバージョン 3 を開発した際に、これ以上の機能拡張はしないことを宣言した。その後は不具合の修正のみがなされ、バージョン番号は 3.14、3.141、3.1415、... というように付けられている。これは更新のたびに数字が円周率に近づいていくようになっていて、クヌースの死の時点をもってバージョン テンプレート:Π として、バージョンアップを打ち切るとのことである[9]。

クヌースは テンプレート:TeX の開発と同時に、テンプレート:TeX で利用するフォントを作成するためのシステムである METAFONT も開発した。こちらのバージョン番号は 2.71、2.718、2.7182、... というように、更新のたびに数字がネイピア数に近づいていくようになっている[10]。さらにクヌースは METAFONT を使って、テンプレート:TeX の初期設定欧文フォントである Computer Modern のデザインも行った。

テンプレート:TeX および METAFONT は、これもクヌース自身によって提唱されている文芸的プログラミング (Literate Programming) を実現する WEB というシステムで Pascal へトランスレートされることを前提に記述されている。しかし実際には WEB2C で C言語に変換してコンパイルされ実行形式を得ることが多い。

テンプレート:TeX の日本語化

日本語組版処理のできる日本語版の テンプレート:TeX および テンプレート:LaTeX には、アスキー・メディアワークスによる [[Publishing TeX|テンプレート:PTeX]] (pTeX) および pテンプレート:LaTeX (pLaTeX) と、NTT の斉藤康己による [[NTT JTeX|NTT テンプレート:JTeX]] (NTT JTeX)[11]および NTT テンプレート:JLaTeX (NTT JLaTeX) などがある。

テンプレート:TeX の日本語対応において技術的に最も大きな課題は、複数バイト文字コードへの対応である。テンプレート:PTeX（および前身の日本語 テンプレート:TeX）は、JIS X 0208 を文字集合とした文字コード（ISO-2022-JP、EUC-JP、および Shift_JIS）を直接扱う。DVI フォーマットは元々16ビット以上の文字コードを格納できる仕様が含まれていた。しかしオリジナルの英語版では使われていなかったため、既存プログラムの多くは テンプレート:PTeX が出力する DVI ファイルを処理できない。またフォントに関係するファイルフォーマットが拡張されている。これに対して NTT テンプレート:JTeX は、複数の1バイト文字セットに分割することで対応している。たとえば、ひらがなとカタカナは内部的には別々の1バイト文字セットとして扱われる。このためにオリジナルの英語版からの変更が小さく、移植も比較的容易である。ファイルフォーマットが同じなので英語版のプログラムで DVI ファイル等を処理することもできる。しかし後述するフォントのマッピングの問題があるため、実際には多くの使用者が NTT テンプレート:JTeX 用に拡張されたプログラムを使っている。

使用する日本語用フォントについては テンプレート:PTeX が写研フォントの使用を、NTT テンプレート:JTeX が大日本印刷フォントの使用を前提としており、それぞれフォントメトリック情報（フォントの文字寸法の情報）をバンドルして配布している。しかし有償であるこれらのフォントのグリフ情報を持っていなくても、画面表示や印刷の際に使用者が利用できる他の日本語用フォントで代用することができる。つまり写研フォントや大日本印刷フォントのフォントメトリック情報を用いて文字の位置を固定し、画面表示や印刷には他の日本語用フォントを用いていることが可能である。このため日本語化された テンプレート:TeX 関係プログラムのほとんどは、画面表示や印刷で実際に使うフォントを選択できるように、フォントのマッピング（対応付け）を定義する機能を持っている。

歴史的には、アスキーが日本語 テンプレート:TeX の PC-9800 シリーズ対応版を販売したために個人の使用者を中心に普及した。一方、NTT テンプレート:JTeX は元の英語版プログラムからの変更が比較的小さいという利点を受けて、Unix系OS を使う大学や研究機関の関係者を中心に普及した。

しかし現在では次に挙げる理由から、日本語対応 テンプレート:TeX として テンプレート:PTeX が使われていることが多い。

テンプレート:TeX による組版の作業工程

テンプレート:TeX を利用して組版を行うには、通常次のような作業工程を取る。

  1. テキストエディタなどを用いて、文章に組版用命令文を織り込んだソースファイルを作成する。
  2. OS のコマンドラインから “tex FileName.tex” などと入力して テンプレート:TeX を起動し、DVI ファイルを生成させる。
  3. DVI ウェアとよばれる DVI 命令文を解するソフトウェアを用いて組版結果を表示し、確認する。

この間、作業工程が変わるたびにそれぞれのプログラムを切り替えたり、扱う文書が大きいと章ごとにソースファイルを分割して管理したりと、比較的煩雑な作業を伴う。そのため、この工程に係わる各種のプログラムやソースファイルの管理を一元的に行う テンプレート:TeX 用の統合環境がいくつか作成されている。

GUI 環境と テンプレート:TeX

GUI は PC の普及に一役買ったが、同時に GUI しか触ったことのないPC利用者が増加した。そのような利用者が、コマンドラインでの操作を余儀なくされる テンプレート:TeX を非常に扱いづらく感じてしまうのは否めないことである。このため、GUI に特化した テンプレート:TeX 用統合環境もいくつか作成されている[19]。

関連ソフトウェア

参考文献

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for slides, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  2. ↑ AMS-LaTeX — American Mathematical Society
  3. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for amslatex, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  4. ↑ XyMTeX 化学構造式描画システム
  5. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for XyMTeX, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  6. ↑ Werner Icking Music Archive: MusiXテンプレート:TeX Files
  7. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for MusiXテンプレート:TeX, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  8. ↑ the Comprehensive テンプレート:TeX Archive Network
  9. ↑ 2014年1月26日現在のバージョンは 3.14159265。
  10. ↑ 2014年1月26日現在のバージョンは 2.7182818。
  11. ↑ NTT テンプレート:JTeX は千葉大学の櫻井貴文によって UNIX システムに移植され、メンテナンスされている。現在、「Software by Takafumi Sakurai」で公開されている。
  12. ↑ ptexlive Wiki
  13. ↑ ptetex—teテンプレート:TeX 用日本語パッチ集
  14. ↑ ptetex Wiki
  15. ↑ W32テンプレート:TeX (Japanese page)
  16. ↑ dviout/dviprt 開発室 — Oshima Laboratory
  17. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for dviout, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  18. ↑ 各 DVI ウェアの間には DVI ファイルの解釈・表示について互換性がない場合がある。特に、ある DVI ウェアに依存したパッケージをソースファイルに用いるなどして、その DVI ウェア用の専用命令文 (special) を埋め込んで作成した DVI ファイルは、当然ながらその専用命令文を解釈可能な DVI ウェアでなければ画面表示・印刷などが正しくできない。
  19. ↑ 代表的なアプリケーションにLyXなどがある
  20. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for MakeIndex, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  21. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for etex, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  22. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for Omega, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  23. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for aleph, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  24. ↑ TeXShop — Richard Koch
  25. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for TeXShop, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  26. ↑ テンプレート:TeX 入門 #EasyTeX — 中川 仁
  27. ↑ Welcome to GNU TeXmacs (FSF GNU project)
  28. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for TeXmacs, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  29. ↑ テンプレート:TeX Live — テンプレート:TeX Users Group
  30. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for texlive, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  31. ↑ The teテンプレート:TeX Homepage
  32. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for teテンプレート:TeX, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  33. ↑ mimeTeX quickstart
  34. ↑ The テンプレート:TeX Catalogue OnLine, Entry for mimeTeX, Ctan Edition（Ring Server によるミラーリング）
  35. ↑ Textext — Pauli Virtanen
  36. ↑ Inkscape de テンプレート:LaTeX

関連項目

テンプレート:Sister テンプレート:MediaWiki テンプレート:MediaWiki

外部リンク

テンプレート:TeX関連 テンプレート:Free and open source typography

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