ズォーダー
ズォーダー(Zordar)は、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』及び『宇宙戦艦ヤマト2』の登場人物。声優は小林修。
概要
白色彗星帝国ガトランティスの大帝。自らを「全宇宙の絶対者、宇宙の法にして秩序」と語り、生命ある者はその血の一滴まで自分のものであると信じて疑わない尊大な人物。その一方で、ガミラスのデスラー総統に対しては武人としての実力と生への執念に敬意を払い、同盟を結び援助をする一面もある。『ヤマト2』では、ゲーニッツから「ズォーダー5世大帝(Zordar V of Gatlantis the Great)」と紹介されている。
太い眉毛と額から垂れた前髪が繋がる特徴的な容貌をしているが、元々このデザインはガトランチスという、ズォーダーに影武者のように付き従う人物のものであった。当初のデザインは禿頭に顎鬚を蓄えた容貌で、ローマ風の衣装を身にまとったものであったが、最終段階でガトランチスを老けさせたデザインに変更され、ズォーダーとしてデザインされたキャラクターはゴーランド提督として使用された。
さらば宇宙戦艦ヤマト
2201年、白色彗星の進路上にある星々を征服し、銀河系に侵略を進める。帝国の脅威となる反物質世界の住人テレサをテレザート星に幽閉。ゴーランド提督率いる帝国第一艦隊、ザバイバル将軍率いる突撃格闘兵団ヘルサーバーを配備するも、ヤマトにより撃退されてテレサを解放されてしまう。
ゲーニッツからヤマトとの戦闘でデスラーが戦死したとの報を聞き、デスラーが死に場所を得たことを悼みつつバルゼー提督に地球攻略作戦を命じるが、バルゼーは地球艦隊の反撃を受けて前衛艦隊を喪失。戦況を見ていたズォーダーはバルゼーを叱責し、白色彗星で地球艦隊を全滅させた。
地球に「無条件降伏か絶滅か」の二者択一を要求するが、その前にヤマトが立ちふさがる。ヤマトは波動砲の一点集中砲撃で白色高速中性子ガスを取り払うことに成功するが、眼前には都市帝国が出現する。「敵ながらここまでは良くやった」と語り、ズォーダーはヤマトに対し攻撃を命令する。
これに対し、ヤマトのクルーは決死の都市帝国内部突入作戦を決行して動力炉を破壊し、都市帝国の攻略に成功したかに見えた。しかし、崩壊する都市帝国の内部から超巨大戦艦が現れる。勝利を確信して大笑するズォーダーに対し、古代進は文字通り命を賭して戦うことを決意するとテレサと共にヤマトを特攻させ、超巨大戦艦と共に一筋の閃光を残して宇宙に消える。
宇宙戦艦ヤマト2
白色彗星の進路上にある星々を次々と征服し、2201年にはアンドロメダ星雲を征服。さらに銀河系に侵略を進め、次なる目標を地球に定める。ヤマトとの戦いに破れて宇宙を漂流するデスラーを救出して蘇生させた後、同盟を結ぶ。
『さらば』と基本プロットは同じであるが、コスチュームや、特に性格や物の考え方などが大きく変更され、傍若無人な態度だけではなく度量の大きさ、武人として優れている面も描かれている。デスラーを優秀な武人と認めて対等な軍事同盟を結び、敬語を使うなどの相違点がある[1]。
地球に対して極致に達した物質文明に言及したり、サーベラーら帝国大幹部がテレサを軽視する中で唯一、その力に相当の敬意と畏怖を覚えていた。
サーベラー達の陰謀で敵前逃亡の罪で逮捕・投獄されていたデスラーが都市帝国から逃亡した際、憤慨して追撃艦隊を送り出そうとするサーベラーに対しては「放っておけ」と一言で抑え、更に「デスラーの逃亡はサーベラー達の陰謀に起因する」と見抜き、「敵前逃亡するような者が命懸けで脱出し、部下が決死の覚悟で救出に出撃するはずがない」と語ってサーベラー達を厳しく叱責した。その際、本来ならばこの独断専行は処刑に値する行為だったが、地球への侵攻を本格化した段階であったことから釘を刺すにとどめた[2]。そして、逃亡はヤマトとの直接対決に臨むためと理解し、帝国内に残されていたデスラー艦を送り出している。
また、サーベラー達帝国幹部の怠慢で多くの兵士が命を落としたことに憤激し、脱出の際に置き去りにして粛清するという、兵士・国民を思いやる一面も見せている[3]など、人物像の描写にかなりの深みが与えられている。また、テレサの超能力によって最期を迎えるシーンも描写されたが、この時はそれまでの威厳はかなぐり捨てて無様にうろたえ、絶叫している。
ゲーム版
基本的な設定は『さらば』に準じている。相違点として、デスラーに対する態度が劇場版より和らいでいる。呼称は「お前」であるものの「ひとかどの武人」として敬意をはらい、深い信頼を寄せている。サーベラーがデスラーを敵前逃亡罪に陥れようと姦計をめぐらせた際、一言の弁明もしなかったデスラーに親衛艦を与えてサーベラーを強く叱責するなど、TV版より更に有能な支配者として描写されている。その反面、超巨大戦艦で地球報復攻撃を行う際にはわざと主砲の威力を低減し、砲撃で長く地球が苦しみ続けるように指示を下すなど、残忍な一面が強調されている。劇場版ルートでは、映画同様に直接的な死亡の描写は無い。
その他
『宇宙戦艦ヤマト2199』において、ガトランティスという国家が登場する。
ズォーダーの直接の登場は無いが、第21話でガトランティス人が叫んだ「大帝万歳!」という言葉は、ガトランティス語で「ヴラー!ズォーダー!」となっている[4][5]。
脚注
参考文献
- 「宇宙戦艦ヤマト発信!情報班資料室」(バンダイナムコゲームスNE事業本部(旧バンダイネットワークス)ウェブサイト)