理学
理学(りがく)とは
- 中国の宋から明にかけて興隆した性理学のこと[1]。
- 陰陽師が方位や星の動きを見て吉凶を決めること[1]。
- 自然科学の基礎研究の諸分野の総称[1]。窮理学[1]。
- 明治初期の日本で用いられた、西洋の学問名に対応する翻訳語、和訳。
- physicsの訳語(明治時代にしばしば用いられ、今日でも用いられることがある)
- philosophyの訳語(現在では「理学」と訳されることはほぼ無い)。哲学
- 「science サイエンス」のおおまかな訳語。
宋~明
中国で宋時代から宇宙の本体とその現象を理気の概念で説いた哲学が興隆し[2]、「理」を追求したので「理学」と呼ばれた。また「性即理」と説いたので「性理学」とも呼ばれる。
明治時代以降
明治時代、日本に諸外国の学問が流入するようになると、それらの学問の呼称を日本語でどう表記・呼称するか工夫、試行錯誤が行われた。
philosophyの訳語として「理学」が用いられた。
またphysicsの訳語として「理学」が用いられた。これに関しては、前に「物」を加えて「物理学」と訳すことが一般的になった。ただし、今日でも用いられることがあり、また医療・リハビリの分野の「理学療法」(physicalな療法のこと)など、同様の用法が用いられている。
また明治時代、自然科学の基礎研究諸分野をまとめて「窮理学」と呼ぶことも行われた。
- 自然科学の基礎研究諸分野
明治時代から、自然の原理を追求する学問の基礎の諸分野の総称として「窮理学」が用いられるようになった。「窮理学」と呼ぶ用法が一般的であったが、やがて「窮」の字を略した「理学」が頻繁に用いられるようになった。こちらのほうは現在の大学の「理学部」の制度や呼称に残っている。
今日、この意味の「理学」は自然の原理を追求する諸分野であり、別の言い方をするならば(自然の何かが)「どうなっているのか」を追求する諸分野である。よって「どのように実現するか」を追求し、実用や適用を目的とする広義の「工学」と対比される。また「理学」という用語・概念は「基礎科学」という用語・概念と重なるところも多いので、「応用科学」に分類されることのある工学、農学、医学などと対比されることもある。
- 理学の範囲
「理学」に分類されることのあるのは、一般的に、物理学、化学、生物学、地学、天文学などである。
- 大学の理学部における理学教育
何を理学部で教えるかについては大学ごとに若干扱いが異なっている。一般に自然科学の基礎となる数学※、物理学、化学、生物学、地学、天文学などが含まれる。
- ※数学は自然を探求対象としてるわけではないので自然科学そのものではないが、自然科学(という学問群)を支える基礎(あるいは重要な道具)と見なされているので[注 1]理学部で教育されている。計算機科学も数学系の学問と見なされ理学部で教育されていることがある。
大学によっては、地理学や人類学など※も理学部で取り扱っているところもある。
- ※ただし、これらの学問は学際的であり、「理学」的領域と「人文学」的領域を併せ持つので、その学問全体をどの学部にふくめるかは大学ごとの判断による。文学部で扱うこともある。あるいは、その学問をさらに細分化したうえで、理学部・文学部などに分散する形で分属させていることもある。
- 自然科学の基礎研究の関連項目
脚注
- 注
- ↑ ただし、数学の重要度や必要度は、各人が実際に探求することになる自然科学の各分野によって異なっている。特に物理学は、ガリレオやニュートン以降、数による表現(数学的記述)を用いることで成立・発展してきているので数学的知識が必要不可欠である、と考えられている。それに対して、生物学のほうは通常の言語による記述を主とすることで成立しており、数学的知識は(物理学に比べて)あまり重要ではなく、それとは異なった知識・能力のほうが主に要求される。
- 出典