岩木山
岩木山(いわきさん)は青森県弘前市および西津軽郡鰺ヶ沢町に位置する火山である。標高は1,625 mで、青森県の最高峰である。日本百名山[1]及び新日本百名山[2]に選定されている。その山容から津軽富士とも呼ばれるほか、しばしば「お」をつけて「お岩木(山)」とも呼ばれる。
目次
概要
円錐形の成層火山(コニーデ型)で、津軽平野のどこからでも見ることができる独立峰である。山頂部は岩木山、鳥海山、厳鬼山(岩鬼山)の3つの峰で形成されており、岩木山の山頂には一等三角点が設置されている[3]。山域は1975年(昭和50年3月31日)に、津軽国定公園に指定され[4]、南麓に広がる2,587 haの高原は青森県の岩木高原県立自然公園に指定されている[5]。津軽富士とも呼ばれている郷土富士で、太宰治はその山容を「十二単を拡げたようで、透き通るくらいに嬋娟たる美女」と喩えている[6]。
比較的新しい火山のため、高山帯と広葉樹林帯の間に針葉樹林帯が見られず、ダケカンバがそのまま矮小化していく特異な光景が見られる。特産種であるミチノクコザクラ(ハクサンコザクラに近縁種で花がより大型である)と、本州では数少ないエゾノツガザクラなどの高山植物が自生している。
1600年以降は文書による噴火の記録が残されている[7]。テンプレート:要出典範囲1783(天明3)年3月12日の噴火では新火口を形成して周囲に火山灰を降らせ[8]、テンプレート:要出典範囲。1978年5月には赤倉沢で活発な噴気活動を観測している[8]。地質はテンプレート:要出典範囲。
山岳信仰
テンプレート:出典の明記 山岳信仰の対象とされていて、山頂には岩木山神社奥宮がある。岩木山神社で毎年旧暦8月1日に行なわれる例大祭「お山参詣」は津軽地方最大の農作祈願祭で、国の重要無形民俗文化財に指定されている。多くの人々が深夜に山頂登拝し御来光を拝み、参詣時に唱える言葉は、修験系のものである。山頂の岩木山神社奥宮では夏季になると職員が常駐し、お守りや登頂記念の手拭いを購入することができる。岩木山から遠い五所川原市市浦地区には、関東で見られる富士講のように、近隣の三角錐型の小さな山である靄山(標高152m)を岩木山に見立てて参詣する習俗があった。市浦地区の靄山には岩木山神社があり、別名「脇本岩木山」と呼ばれている。
岩木山の神は丹後国の人を忌み嫌うという言い伝えがあった。丹後国の郎党大江時廉の陰謀によって滅ぼされた岩城正氏の子、安寿と厨子王丸の安寿が岩木山に祀られているからであるという。丹後国の人が当地に入ると風雨がうち続く悪天候となり、船の出入りができないとして厳しい吟味が行なわれ、入り込んだ丹後国の人は追い出された。安政5年5月24日の布令には「頃日天気不正に付、御領分へ丹後者入込候哉も難計に付右体之者見当候者、早速送返候様、尚亦諸勧進等も吟味仕候様被仰付候間、御家中竝在町寺社共不洩候様、此段被申触候以上。御目付」と書かれた。
観光
独立峰である山頂からは360度の展望が得られる。4月中旬から11月上旬までは[9]、1966年に開業した有料道路、津軽岩木スカイラインにより、西側山腹の8号目まで自動車で行くことができ[10]、弘前バスターミナルからの乗り合いバスも運行されている[11]。有料道路の終点からは、9号目の鳥海山までリフトが運行されている[10]。
登山コース
登山道は、長平登山道、大石赤倉登山道、弥生登山道、百沢登山道、岳登山道があり[12]、テンプレート:要出典範囲。百沢登山道は岩木山神社を経るため、お山参詣ではテンプレート:独自研究範囲利用されている。沿道には岩木山の固有種であるサクラソウ属のミチノクコザクラ(陸奥小桜)のほか、ウコンウツギやハイマツ、ミヤマキンバイなどの高山植物が自生している[13]。鳳鳴避難小屋から百沢登山道に少し下ると種蒔苗代と呼ばれる小さな池があり、テンプレート:独自研究範囲。
1964年(昭和39年)1月に、秋田県大館鳳鳴高校の山岳部員5人が遭難し、4人が死亡する遭難事故が発生した[14]。当時は高校生だった登山家の根深誠が、この捜索活動に参加していた。
山頂や登山道の途中には3つの避難小屋があり、このうち鳳鳴ヒュッテは大館鳳鳴高校の遭難事故の翌年に建てられた[15]。
名称 | 所在地 | 標高 (m) |
岩木山からの 方角と距離 (km) |
収容 人数 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
岩木山頂避難小屋 | 山頂 | 1,625 | テンプレート:Direction 0 | 10 | 1987年設置 |
鳳鳴ヒュッテ | 岩木山頂西側の御倉石下部 | 1,490 | テンプレート:Direction南西 0.3 | 4 | 1965年設置 |
焼止りヒュッテ | 百沢コースの大沢出合手前 | 1,060 | テンプレート:Direction南南東 1.1 | 10 | 1977年設置 |
スキー場
北西山腹にはナクア白神スキーリゾート(旧・鯵ヶ沢スキー場)、南東山腹には岩木山百沢スキー場が建設されている。また、南西山腹の8合目までの斜面ではリフトなどの施設はないが、4月中旬頃から5月上旬の春スキーの期間だけ岩木山スカイラインスキー場が営業している[16]。
温泉
周辺の山
山容 | 名称 | 標高 (m) |
三角点等級 基準点名[3] |
岩木山からの 方角と距離 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
ファイル:Sirakami dake.JPG | 白神岳 | 1,231.9 | 一等「白神岳」 | テンプレート:Direction 235.7°, 29.2km | |
森吉山(ヒバクラ分岐付近から撮影) | 森吉山 | 1,454.2 | 一等「森吉山」 | テンプレート:Direction 164.7°, 78.1km | |
田代牧場方面から見た八甲田山 | 八甲田山 | 1,584 | 一等「八甲田山」 | テンプレート:Direction 89.5°, 48.5m | |
盛岡市の北上川から望む岩手山 | 岩手山 | 1,584 | 一等「岩手山」 | テンプレート:Direction 146.1°, 107.2m |
源流の河川
岩木川水系の支流である後長根川、大石川、大蜂川、山田川などのほか、中村川水系の支流である徳明川、白沢、赤沢など、鳴沢川水系の本流、鳴沢川が岩木山の山腹を源流としている。
岩木山の風景
- Iwakisan 02.jpg
春のりんご畑と岩木山(弘前市小沢付近より撮影)
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標高1625Mと書かれた標識と鐘
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岩木山神社奥宮と書かれた石碑
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岩木山神社奥宮
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鳥居から弘前市内を見下ろし
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岩木山神社
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巨木の森遊歩道
- 岩木山スカイライン ぶなの泉02.jpg
ぶなの泉
テレビ番組
- 『日本百名山 岩木山』 NHK衛星第2テレビジョン、1994年12月14日放送[17]
- 『趣味悠々 中高年のための登山学~日本百名山をめざすⅡ 最終回岩木山』 NHK教育テレビ、1998年11月30日放送[18]
- 『週刊 日本の名峰 岩木山』 NHKデジタル衛星ハイビジョン、2008年10月3日放送[19]
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
- 気象庁:岩木山
- 気象庁 火山カメラ画像
- 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 日本の第四紀火山:岩木山
- 岩木山観光協会
- 岩木山を考える会 トカゲ太郎のワンダーワールドによる岩木山を考える会の特集記事
テンプレート:日本百名山 テンプレート:一等三角点百名山 テンプレート:日本の活火山
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