ディキシーランド・ジャズ
ディキシーランド・ジャズ(英語:Dixieland Jazz)は、クラシック・ジャズに分類される一分野。「ジャズの最初の形態」と認識されることが多い。
ディキシーランド・ジャズは、時としてホット・ジャズまたはニューオーリンズ・ジャズとも言われ、20世紀初頭にニューオーリンズで発達したジャズのスタイルで、ニューオーリンズのバンドが1910年代にシカゴやニューヨークに移動して広まった。ディキシーランド・ジャズは、ブラスバンドの行進曲、フランスのカドリーユ、ラグタイム、そしてブルースが集まり結びついてできた音楽で、ピアノ、ギターまたはバンジョー、ドラムス、コントラバスまたはテューバといったリズム・セクションを従えて、トランペット(またはコルネット)、トロンボーン、クラリネットが、ポリフォニックな即興演奏を行う。
『ベイズン・ストリート・ブルース』や『聖者の行進』といった、ディキシーランド時代からよく知られたジャズのスタンダード・ソングは、ジャズ・ファンでない人にも知られている。
ディキシーランドとは、アメリカ南部の諸州を指す通称や俗称。この名称の由来は諸説あるが、ルイジアナ州などは一時期、フランス領だった地域で、その間の流通紙幣に10を表す「DIX」という文字が印字されており、その地方(LAND)という事から生まれたという説や、測量技師ディクソンの名によるとの説もある。ディクソンは相方のメーソンと共に、南部と北部を分ける線(メーソン=ディクソン・ライン)を引いた人物である。
概要
もともと、ディキシーランド・ジャズという呼称は、白人が演奏するニューオーリンズ・ジャズを意味する言葉であった。その後、時代が下るにつれて、白人も黒人も入り混じりジャズを演奏することが多くなったため、いよいよ定義が曖昧になってきた。
1917年にニューヨークに進出した、ニューオーリンズ出身のオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド(ODJB)によって、「ジャズ」は多くに知れ渡り、メジャーなスタイルになったともいわれている。ODJBが進出する前は「ジャズ」は初期は"jass"と綴られており、ODJBも当初はそう綴られていたが、デビューした後に"jazz"に綴りを変えている。"jass"とは、体育競技のスピードとエネルギーを示すスラングであり、性的な意味にも使われていた。更に以前には"jasm"や"gism"と綴られていた。
音楽理論的側面
上記の通り、何をもってディキシーランド・ジャズとし、何をもってニューオーリンズ・ジャズであるかといった定義が、ほかのスタイルのジャズよりもあいまいであり、一般的に通じる定義はないといってもよい。音楽理論的側面においてはこの2つのスタイルを分ける要素はない。