パシフィック・ミュージック・フェスティバル
テンプレート:基礎情報 非営利団体 パシフィック・ミュージック・フェスティバル（Pacific Music Festival 略称：PMF、ピー・エム・エフ）は、1990年にレナード・バーンスタインの提唱で始まった日本のクラシック音楽の国際教育音楽祭。
概要
毎年7月に札幌市を中心に開催され、「タングルウッド音楽祭」「シュレスヴィヒ＝ホルシュタイン音楽祭」とともに、世界三大教育音楽祭とされる[1][2]。公益財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会が主催する。
「PMFアカデミー」が音楽祭の中核をなし、オーディションで選ばれた若手音楽家（アカデミー生）が指揮者・演奏家らの指導を受ける[3]。
PMFアカデミーは、世界一流の指揮者や、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団など、ヨーロッパや北米のメジャー・オーケストラのメンバーから指導を受ける[3]。
オーケストラのリハーサルやゲネプロの一部は有料で公開される。また、音楽祭の期間中、学校や美術館などの公共施設でアカデミー生、教授陣による室内楽の企画も行われ、市民が音楽に親しむ機会を提供している[3]。
創設の経緯と存続
バーンスタインは、環太平洋地域の若手音楽家を集めたアジアでの教育音楽祭を企画していた。彼は長年故郷に近いボストンの「タングルウッド音楽祭」で若手演奏家の指導に尽力してきたが、それをアジアにも拡大したいと願った。最初の構想では開催地は北京であったが、1989年6月の天安門事件の発生により、当地での開催を断念する。札幌を選んだ理由は「梅雨がないから」だったという[4][5]。第1回の音楽祭では、オーディションで約120人の若手演奏家がアカデミー生（オーケストラの楽員）に選ばれ、バーンスタインは彼らにシューマンの交響曲第2番を教えた。
バーンスタインは第1回の開催後、肺癌により急逝したため、この時の公演が日本における最後の指揮となった。彼の死後、札幌市が以後の開催と協力を宣言した。
第2回以降はさまざまな指揮者を招聘して、音楽祭のプロデュースを委託している。2013年6月時点での修了生は、のべ約2,900人を数える[6]。
レジデント・コンポーザー
1992年から2009年まで、レジデント・コンポーザーとして作曲家を1名招聘し、作品を紹介した。2002年以降は「コンポジション・コース」が設けられ、レジデント・コンポーザーがアカデミー生への指導も行った[7]。
主な参加音楽家
- 指揮者
- レナード・バーンスタイン（1990年芸術監督）
- マイケル・ティルソン・トーマス（1990年-2000年芸術監督）
- クリストフ・エッシェンバッハ（1991年、1993年-1998年芸術監督）
- シャルル・デュトワ（2000年-2002年芸術監督）
- ベルナルト・ハイティンク（2003年首席指揮者）
- エド・デ・ワールト（2003年客演指揮者）
- ヴァレリー・ゲルギエフ（2004年、2006年首席指揮者）
- ネルロ・サンティ（2005年首席指揮者）
- 準・メルクル（2005年、2008年客演指揮者、2013年首席指揮者）
- リッカルド・ムーティ（2007年首席指揮者）
- ファビオ・ルイージ（2004年客演指揮者、2008年首席指揮者、2010年-2012年芸術監督）
- アレクサンドル・ヴェデルニコフ（2013年客演指揮者）
- オスモ・ヴァンスカ（2014年客演指揮者）
- 演奏家（ソリスト）
- 五嶋みどり（1990年）
- トーマス・ハンプソン（1990、2011年）
- 五嶋龍（1995年）
- アンドレ・ワッツ（1997、2009年）
- マルタ・アルゲリッチ（2002年）
- 林英哲（2004年）
- ボリス・ベレゾフスキー（2007年）
- アン・アキコ・マイヤース（2008年）
- ピエール＝ローラン・エマール（2008年）
- 原田節（2008年）
- エリック・シューマン（2009年）
- ヴェロニカ・エーベルレ（2013年）
- ラデク・バボラーク（2013年）
- ワディム・レーピン（2013年）
- 演奏家（PMF教授陣、所属楽団は参加当時）
- ヴェルナー・ヒンク（ウィーン・フィル）
- ライナー・キュッヒル（ウィーン・フィル）
- フーベルト・クロイザマー（ウィーン・フィル）
- エックハルト・ザイフェルト（ウィーン・フィル）
- ゾルタン・アルマジ（ベルリン・フィル）
- アンドレアス・ノイフェルド（ベルリン・フィル）
- デイヴィッド・チャン（メトロポリタン歌劇場管弦楽団）
- スティーヴン・ローズ（クリーヴランド管弦楽団）
- ハインリッヒ・コル（ウィーン・フィル）
- ハンス・ペーター・オクセンフォーファー（ウィーン・フィル）
- ウルリッヒ・クネルツァー（ベルリン・フィル）
- ダニエル・フォスター（ワシントン・ナショナル交響楽団）
- ゲルハルト・イーベラー（ウィーン・フィル）
- フリッツ・ドレシャル（ウィーン・フィル）
- マルティン・メンキンク（ベルリン・フィル）
- ミラン・サガート（ウィーン・フィル）
- クラウス・シュトール（ベルリン・フィル）
- ハロルド・ロビンソン（フィラデルフィア管）
- ヴォルフガング・シュルツ（ウィーン・フィル）
- アンドレアス・ブラウ（ベルリン・フィル）
- ジェフリー・ケイナー（フィラデルフィア管）
- マルティン・ガブリエル（ウィーン・フィル）
- セリーヌ・モネ（ドレスデン国立歌劇場管弦楽団）
- ユージン・イゾトフ（シカゴ交響楽団）
- ペーター・シュミードル（ウィーン・フィル）
- ミヒャエル・ヴェルバ（ウィーン・フィル）
- シュテファン・トゥルノフスキー（ウィーン・フィル）
- シュテファン・シュヴァイゲルト（ベルリン・フィル）
- ダニエル・マツカワ（フィラデルフィア管）
- ギュンター・ヘーグナー（ウィーン・フィル）
- シュテファン・ドゥ・ルヴァル・イェジエルスキ（ベルリン・フィル）
- ハンス・ペーター・シュー（ウィーン・フィル）
- タマシュ・ヴァレンツァイ（ベルリン・フィル）
- イアン・バウスフィールド（ウィーン・フィル）
- ローラント・アルトマン（ウィーン・フィル）
- アントン・ミッテルマイヤー（ウィーン・フィル）
- ライナー・ゼーガース（ベルリン・フィル）
- グザヴィエ・ドゥ・メストレ（ウィーン・フィル）
- 早川りさこ（NHK交響楽団）
- 安楽真理子（メトロポリタン歌劇場管弦楽団）
- オーケストラ
- 札幌交響楽団
- NHK交響楽団（1999年～2002年、2005年、2006年）
- ロンドン交響楽団（1990年、1994年、1997年）
- サンタチェチーリア国立アカデミー管弦楽団（1993年、1998年）
- ヒューストン交響楽団（1991年、1995年）
- バイエルン放送交響楽団（1992年）
- 弦楽四重奏団
- 作曲家
- ルー・ハリソン（1993年）
- 武満徹(1994年）
- 高橋悠治（1997年）
- ジョン・コリリアーノ（2002年）
- クシシュトフ・ペンデレツキ（2003年）
- 一柳慧（2004年）
- 細川俊夫（2006、2008年）
- レーラ・アウエルバッハ（2009年）
参考文献
- 木之下晃（写真・文）、財団法人PMF組織委員会（編）『青春の音楽 PMF-Sapporo』北海道新聞社、2009年。 - 「主な参加音楽家」への資料として
- 『PMF-20 Years』財団法人パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織員会、2009年。 - 「主な参加音楽家」への資料として
脚注
- ↑ NHK「受け継がれる情熱の響き ～札幌・若者たちの国際音楽祭～」2006年11月3日
- ↑ 「音楽の友」2009年9月号、音楽之友社、18ページ。
- ↑ 3.0 3.1 3.2 公式サイト「PMFとは」
- ↑ PMF2004公式プログラム、他
- ↑ 佐野光徳（株式会社クリスタル･アーツ社長）インタビュー、2009年5月19日閲覧。
- ↑ 平成25 年度第5 回定例市長記者会見資料(PDF)
- ↑ 公式サイト「アーカイブ」
