スーパーヅガン
テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『スーパーヅガン』は竹書房の漫画雑誌『近代麻雀オリジナル』1981年6月号から1989年9月号まで連載された、片山まさゆき作の麻雀漫画である。同時期に連載されていた『ぎゅわんぶらあ自己中心派』と共に、片山の二大出世作かつ代表作となった。
概要
タイトルの意味は「つかん」=「ツキ(運)がない」を大げさにした表現。作品内でも運のなさの深刻さにつれて「つかん」「ヅガン」「スーパーヅガン」などの表現が頻出する。物語後半では負けが込むと主人公の周囲に「ツカンポの花」が咲くようになる。主人公がとことんツキがなく、麻雀に負け続ける様を描くという作風は、過去現在を問わず麻雀漫画においては異色中の異色である。
この作品のコンセプトはあくまで麻雀を主体とした日常世界であり、そこにギャグタッチを強く採り入れている。また、他の片山作品と比べてラブコメ色も強い。一方で、『ぎゅわんぶらあ自己中心派』で見せたようなパロディ世界などほとんど見られない。麻雀の描写はそれなりに本格的であるが、麻雀理論や闘牌シーンを忠実に描いた『ノーマーク爆牌党』とも視点が異なっている。
最初は『ジャンシリーズ』(サブタイトルの最後が「~ジャン」で終わる)が5回連載された(単行本1巻巻末に収録)。絵はまだかなり下手だが、豊臣ら4人のキャラ設定と麻雀シーンの正確さは変わらなかった。その後『スーパーヅガン』のタイトルに直して連載、安定した人気を誇り、アニメ化も果たしている。全9巻(大判)。また後に続編『スーパーヅガンアダルト』が連載された。
なお同じキャラクターが登場する作品として『片山まさゆきの麻雀教室』が存在するが、これは「フレッシュマガジン」に発表された作品の為、詳細は『ぎゅわんぶらあ自己中心派』側を参照。
片山まさゆき曰く、「作中の不条理な豊臣の打ち込みについては、役満の三家和などの明らかに嘘っぽいものは別として、私自身が実際に体験したものである」と、最終巻のあとがきにて語っている。
あらすじ
主人公、豊臣はかつて常に学力No.1を誇るエリート高校生だったが、織田率いる不良グループに絡まれ、麻雀ですってんてんにされてから、全てのツキを奪われてしまう。そんな中、彼のことを密かに思っていたヒロイン、早見明菜は自分の想いを告白、豊臣に麻雀をやめるように懇願する。
しかし彼は腐れ縁の連中と麻雀を断ち切ることができず、痺れを切らした早見は素人ながら麻雀を覚え、彼の仇を取ろうとする。しかし早見自身が驚異的なツキの持ち主であったために、今度は彼女もすっかり麻雀の虜になってしまうのだった。
その後は主人公豊臣とヒロイン早見、そして不良グループの織田、明智、徳川などを中心に、色んなゲストキャラを巻き込み、面白おかしい麻雀シーンが描かれていく。
主な登場人物
- 豊臣秀幸(とよとみひでゆき)
- 声優:山口勝平(最終回のエンディングクレジットのみツカンポ勝平)
- ネーミングは豊臣秀吉。本編の主人公で、驚異的なツキの無さを持つ。特に相手への放銃(振り込み)が多い。打ち方そのものは麻雀理論のセオリーにのっとった模範的な打ち方であるが、そのツキのなさゆえに、まったくもって活かされていない。自分がツイてないときには「つかん」「づがん」「づがーん」「づぎゃん」「つかんぽ」などと叫び、一種のツキの無さの度合いを表すバロメーターにもなっている。また、箱テンになると、箱を頭に被るのが特徴。身長は平均男性より少し低い程度だが、状況に応じて二頭身になったりする。元々は優等生で、学年一の成績保持者であったが、下北沢大学(明治大学学生だった作者が、下北沢駅近くに住んでいたのが発祥)では豊臣だけ留年、雀荘でアルバイトをしながら生活している。また学生の弟と社会人の兄がおり、同様につかんぽ。豊臣兄弟三人がメンツとして揃っている卓に入った一名は「和了れないトライアングル」という生き地獄に陥り、たとえ3副露したとしてもテンパイすら困難となる。
- 早見明菜(はやみあきな)
- 声優:大坪純子
- ネーミングは早見優と中森明菜から(この頃片山は女性キャラにアイドルの名をよく使っていた)。1巻後半から参加した本編のヒロインで、驚異的なツキを持つ。役満を連発するだけでなく、時に八連荘や天和などを上がることも。しかし、基本は素人なので満貫未満の得点計算ができない。学業の成績も優秀で運動神経も抜群。豊臣が好きで、どんな事があっても放っておけない存在。大学卒業後は大手証券会社、野々村証券(元ネタは野村證券)に勤務。顔が『自己中心派』のヒロイン、律見江ミエと区別が付かないと『片山まさゆきの麻雀教室』で読者からの指摘を受けた事がある。
- 織田信太郎(おだしんたろう)
- 声優:山寺宏一
- ネーミングは織田信長。不良グループの一人。通称「セオリー無視の一発屋」。サングラスとリーゼント、銜えタバコが特徴。とにかく押しが強く、リーチで「とおし」ばかり狙う。コネを使ってブジテレビ(フジテレビジョンのもじり)に入社したが、アシスタントディレクターという過酷で悲惨な仕事の為、さぼってすぐに退社。最終回では長距離トラックの運転手となる。
- 明智光一(あけちこういち)
- 声優:難波圭一
- ネーミングは明智光秀。不良グループの一人。理論派で麻雀の知識に明るい。根っからのプレイボーイで、町でしょっちゅうナンパしている。卒業後は不正を犯して(親が試験問題を盗んできた)医師免許を取得してしまったが、上下関係があって大変な為、最終回では寒村で開業医を営む。
- 徳川康兵衞(とくがわやすべえ)
- 声優:龍田直樹
- ネーミングは徳川家康。不良グループの一人。角刈りが特徴で背は低い。房総弁丸出しで「あんだ~?」が口癖。ツキの良さは早見に次ぐレベルだが、理論よりドラや役満にしか目が行かない。欲しい牌は片っ端から鳴いていく。メグミという彼女がいる。卒業後に、土地を売った見返りでコピーライターに斡旋してもらえたが(この時の上司は『自己中心派』でコピーライター麻雀をやっていたキャラのゲスト出演)、成果は全く出せず(但し、ごく短い期間のみヒットを飛ばしていたようで、豪邸を建てた描写もある)にクビに。最終回では実家の電気屋を継いで、故郷に電気を灯す?と語る。三人の中で一番出演頻度が高く、織田と明智が出ないのにヤスだけ出てきたり、『自己中心派』にゲスト出演した事も。『自己中心派』で非現実な麻雀劇画に憧れる無法松は、彼のキャラデザインのもじりである。モデルは片山の友人。
- ケンジン
- 声優:吉岡辰児(最終回のエンディングクレジットのみけんじん)
- 大阪出身の青年で、留年後の豊臣に何故か憧れ、豊臣のアパートに勝手に居候している。勝手に豊臣を師匠呼ばわりしているが、豊臣にとっては傍迷惑なだけである。麻雀の実力はチーポンしてテンパイを焦るなど波が激しいものの、プロテストの麻雀大会で優勝したりしている。だが、筆記テストで惨憺たる成績だったため不合格に。ヤスと同様、モデルは片山の友人。
- 渡辺(アニメには未登場)
- 豊臣の後輩で、豊臣が留年しても先輩扱いしてくれ、雀荘で一緒にバイトをする。モデルは大学の後輩漫画家、渡辺健一自身で、『自己中心派』にも「盲牌の渡辺」など雑用キャラとして何度か登場。『ヅガン』において片山と渡辺が競作した事もある。また五十嵐浩一の代表作『ペリカンロード』の主人公、渡辺健一も同一キャラで(よく見ると顔のデフォルメ基準が同じである)五十嵐もまた『ヅガン』『自己中心派』に「とっつぁん顔の五十嵐くん」として登場している。
- ユカ
- 声優:勝生真沙子
- 雀荘を経営するママさん。クエスチョンユカの異名を取り、クイズで相手を眩惑させて勝負に勝つ。実力はなかなかのもの。
- ババプロ
- 声優:玄田哲章
- タラコ唇と丸底眼鏡が特徴の男。実在モデルはプロ雀士の馬場裕一。プロ雀士の割に麻雀の実力は案外揮わず、よく例の三人組の餌食となっている。モデルのバビィ同様、メンチンを得意とし、「くちびるヅモ」や「くちびるリーチ」を多用する。
- オザワ竹書坊
- 声優:青野武
- 豊臣が師匠とあがめる老翁。現役プロの雀士で、秘技「ムカフーン打法」の使い手。振り込みの怒りを乗り越え、欲を捨てた無我の境地に浸りながらツキでアガリまくるというもの。豊臣にその技を伝授したことから師弟関係ができあがった。その際に亡くなったと思われたが、普通に生きて再登場したりする侮れない人。この役の他、青野は当アニメでナレーターを兼任した。
- 桜田門外
- 声優:田中秀幸
- 新宿で20年間無敗をほこった元プロの代打ち。たびたび豊臣に麻雀のアドバイスをするが、あまり役には立っていない。時々天然ボケのキャラを見せる。早見明菜に負けた事を根に持って、大学で行われた麻雀大会に出場するが、そこでも明菜に負けている。実在モデルは桜井章一。
ゲーム
片山漫画のテレビゲーム化は『自己中心派』が大変有名だが、実はX1による『ヅガン』の方が先である。内容は基本的に『自己中心派』と同じ「麻雀のゲーム化だが、打ち手を務める各キャラクターが漫画に忠実に再現されている」もの。だが発売が中国地方の中小ソフトハウスだった為、その後の知名度は高くなかった。
後年他に、スーパーファミコンで2作品が発売されている。
- スーパーヅガン -ハコテン城からの招待状-
- スーパーヅガン2 ツカンポファイター明菜コレクション
またメガドライブでゲームアーツから発売された『ぎゅわんぶらあ自己中心派』シリーズにもヅガン作品のキャラクターが登場しており、豊臣はストーリーモードの主人公として登場している。
アニメ
1992年10月~1993年3月まで、当時としてはまだ珍しい深夜アニメとして、フジテレビ系列にて放映。全42話(総放送回数21回)。制作はキティ・フィルム。アニメ制作はスタジオディーン。平均視聴率は2.7%[1]。
エンディングテーマは三波春夫が歌う『ジャン・ナイト・じゃん』(作詞:三波春夫、作曲・編曲:CHOKKAKU)。オープニングテーマはなく、パトカーのサイレン音をバックに刑法186条の条文(当時の刑法は文語体)が表示されるのみであった。ABパート間のアイキャッチには馬場プロ製作の「何を切る?」を採用、毎回異なる問題が出題され、CMをはさんで解答が表示される趣向となっていた。
月刊連載をアニメ化する場合、作品量が少ないためアニメ版オリジナルエピソードが作られることもあるが、当作は既に連載終了していたため全てのエピソードが原作から採用された。 原作では全員が高校・大学・社会人と成長していったが、アニメ版においては主要キャラは全員20歳で固定となっている。
この番組を最後に、1981年10月スタートの『うる星やつら』以来11年半続いた、フジテレビとキティフィルム共同制作のアニメ番組シリーズは廃枠となった。また、フジテレビにおけるスタジオディーン作品の放映は、1995年4月開始の『クマのプー太郎』(水曜19:30-20:00)まで2年間のブランクが生じることになる。
2000年代にはCS放送局MONDO21にて放送された(再放送ではあるが、初放送扱い)。
スタッフ
- 製作:伊地智啓
- 企画:清水賢治(フジテレビ)
- プロデューサー:金田耕司(フジテレビ)、中川順平(キティ・フィルム)、豊住政弘(ディーン)
- 監督:西村純二
- キャラクターデザイン・作画監督:中嶋敦子
- 美術設定・美術監督:三浦智
- 録音監督:若林和弘
- 撮影監督:吉田光伸
- エンディングアニメーション:古橋一浩 他
- 編集:森田編集室
- 音楽:小滝みつる(エクスタシー・ボーイズ)、大森俊之
- 音響効果:依田安文(わいわいサウンド)
- プロデューサー補:有留もと子
- 広報担当:川崎悦子(フジテレビ)
- アニメーション制作:スタジオディーン
- 制作:フジテレビ・キティフィルム
- 著作:片山まさゆき / 竹書房・キティ・フジテレビ