ヒャン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒャン(Sinomicrurus japonicus)は、爬虫綱有鱗目コブラ科ワモンベニヘビ属(Hemibungarus属に分類する説もあり)に分類されるヘビ。ヒヤンとも。特定動物。3亜種が知られる。本項では、その亜種についても述べる。
亜種
- Sinomicrurus japonicus japonicus (Günther, 1869) ヒャン
- Sinomicrurus japonicus boettgeri (Fritze, 1894) ハイ
- Sinomicrurus japonicus takarai (Ota, Ito et Lin, 1999) クメジマハイ
分布
種小名japonicusは「日本の」の意。
- S. j. japonicus ヒャン
- 日本(奄美大島、請島、加計呂麻島、与路島)固有亜種
- S. j. boettgeri ハイ
- 日本(伊平屋島、沖縄島、渡嘉敷島、徳之島)固有亜種
- S. j. takarai クメジマハイ
- 日本(伊江島、久米島、座間味島、渡名喜島)固有亜種
形態
全長30-60cm。体色はオレンジで黒い縦縞が5本入る。尾は短く、先端が尖る。
- S. j. japonicus ヒャン
- 黒い縦縞が1、3本の個体がいる。太い横縞が入る。和名の由来は奄美地方の方言で「日照り」の意。
- S. j. boettgeri ハイ
- 白く縁取られた細い横縞が入る。ハイは沖縄方言で「日照り」を意味する。
- S. j. takarai クメジマハイ
- 横縞が入らない。
=== 毒 ===神経毒 毒性は強いが、性質が大人しく小型種の上に口も小型でさらに毒量が少ないため危険なヘビとはされていない。ただし毒性はハブの4~5倍の強さである。
生態
山地の常緑広葉樹林に生息し、地表で生活する。外敵に襲われると尾の先端で相手を突いて威嚇する。当然尾の先端には毒はない。
食性は動物食で主にメクラヘビ等の爬虫類を食べる。
繁殖形態は卵生で、4月に交尾を行い6月に1回に2-4個の卵を産む。
人間との関係
生息地では毒性が誇張されたり、尾を刺す習性から恐れられているが、実際に被害は知られておらず危険のないヘビと考えられている。
開発による生息地の破壊により生息数は減少している。
保全状況評価
- 亜種 ヒャン Sinomicrurus japonicus japonicus
- 準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)
- 亜種 ハイ Sinomicrurus japonicus boettgeri
- 準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)
- 亜種 クメジマハイ Sinomicrurus japonicus takarai
- 絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)
参考文献
- 『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、326頁。
- 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、129頁。
外部リンク
- 環境省 自然環境局 生物多様性センター
- 生物多様性情報システム: RDB種情報検索