江ノ島電鉄100形電車

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江ノ電100形107号(1980年12月26日撮影)

100形電車(100がたでんしゃ)は、江ノ島電鉄(江ノ電)が1929年昭和4年)から導入した電車である。

営業運転最終期からは、1両単位(単行)で使用されたために「タンコロ」として親しまれるようになった[1]。個別に「106形108号車」などと呼ぶ場合もあるが、本稿では全て100形として記述する。

概要

江ノ電初のボギー台車採用車として1929年に101形101~104号車が雨宮製作所で、1931年(昭和6年)に105形105号が川崎車輛(現・川崎重工業車両カンパニー)で、106形106~110号車が新潟鐵工所で製造された。

101~105号と106~110号では車体の長さが僅かに異なるほか、ドアの構造や高床から低床になるなどかなりの違いがあった。さらに105号のみメーカーが違うため101~104号とは僅かに差異が存在した。

機器類は直接制御、単純な直通ブレーキ、Z形パンタグラフなど統一されていたものが大半である。

また新造グループ以外にも、以下のグループが100形として存在する。

  • 111~112号:1934年(昭和9年)に西武新宿軌道線から譲渡された。1924年大正13年)に汽車製造(現・川崎重工業)で製造された高床式木造車。時に(普通車)と書かれることがあるが、これは納涼電車として特殊構造の車体のみ製造された111・112号車が存在し、夏期のみ普通車の111・112号車の台車を借用して運転されていたためであった。
  • 113~114号(初代):1937年(昭和12年)に目黒蒲田電鉄(現・東京急行電鉄デハ15、16を譲渡されたものである。
  • 113~114号(二代):初代が廃車になった後の1953年(昭和28年)に、王子電気軌道出身の都電154,155号の車体と都電杉並線261,262号(元・西武新宿軌道線の41,42)の台車を組み合わせて登場した。
  • 115号:1939年(昭和14年)に廃止になった京王電気軌道(現・京王電鉄)八王子線(旧・武蔵中央電鉄)の6号を譲り受けたもの。
  • 116~117号:1939年に東京横浜電鉄(現・東京急行電鉄)玉川線より車体更新によって余剰となった車体を、京浜電鉄(現・京浜急行電鉄)から台車をそれぞれ譲受し組み合わせた車両である。

遍歴

新造グループ

当時の江ノ電は各駅のホーム高さが低かったため、ドアにステップがついており路面電車然としたスタイルであったが、1955年(昭和30年)に各駅ホームの嵩上げが完了したため、ドアを改造してステップを撤去した。

輸送力増強と近代化のため、101~104の4両が1957年(昭和32年)に、106と109が1958年(昭和33年)に連接台車構造の300形へ改造され、単車で残ったのはわずか4両となった。

さらに105号は1970年(昭和45年)に600形が入線した際に、110号は1974年(昭和49年)の藤沢駅高架化に伴う600形出力増強の際にモーターを供出して休車とされ、どちらも1979年(昭和54年)に廃車された。最後まで単車運転で使用された107、108号も、スペース上ATSが搭載できないため1980年(昭和55年)に廃車された。

納涼電車111、112号車は、1949年(昭和24年)に窓の取り付けを行い200形(初代)の201,202へと改造された。その後の経歴は200形の項目を参照していただきたい。

譲渡グループ

  • 111号(普通車):1948年(昭和23年)に廃車。
  • 112号(普通車):1953年に譲受した都電150形の車体に乗せ代え。1956年(昭和31年)に連結車化改造され201(二代目)となる。
  • 113号(初代):1954年に北陸鉄道へ譲渡[2]
  • 113号(二代):1956年に連接車に改造(300形301編成)。
  • 114号(初代):1954年に北陸鉄道へ譲渡
  • 114号(二代):1956年に連接車に改造(300形301編成)。
  • 115号:1956年に廃車。車体幅の狭さをかわれてナローゲージの栃尾電鉄(後の越後交通栃尾線)に譲渡されホハ23となる。その後の詳細については越後交通栃尾線#客車を参照。
  • 116号:1958年に廃車。
  • 117号:1956年に廃車。

保存車

テンプレート:Double image aside 108号車は極楽寺駅近くの極楽寺検車区構内にある専用の保管庫に納められて動態保存されている。イベントなどで走行することもある。引退後の一時期は江ノ島駅構内に留置されていた。

また、107号も集電装置をポールに変更した上で、鎌倉市由比ヶ浜の公園で保存されており、昼間は車内に入ることができるが、公園は海岸に面しているが所有の鎌倉市が車体の整備等を行っていないため、金属部分に錆が生じているなど、状態はやや悪かった(一時期窓ガラスが割られるなどしたため車内へは入れなくなっていた)が、2009年に改修が行われ車体が綺麗になった。

108号はテレビ番組で江ノ電が取り上げられると登場するシーンも多く、かつて日本テレビ系「ザ!鉄腕!DASH!!」の企画「電池で電車は動くか?」の実験に使われ、乾電池だけで数メートル動いた。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:江ノ島電鉄の車両

  1. テンプレート:Cite book
  2. 湘南倶楽部編『江ノ電 懐かしの電車名鑑』JTB、2003年31-32頁