燕三条系ラーメン
燕三条系ラーメン(つばめさんじょうけいラーメン)とは、新潟県の県央地域(燕市・三条市)を中心に作られ食べられている背油濃しょうゆの極太ラーメンの総称。工業地域である県央地域の工場労働者たちの要望を汲んだ新潟ご当地ラーメンとしている。県央地域は、いわゆる背油チャッチャ系ラーメンの発祥の地であり、その元祖は「福来亭」であると歴史がハッキリしているものの、この命名自体はごく近年である。
概要
麺はうどんのような太麺とされる。煮干しなどの魚介類の出汁が効いた、やや醤油味の濃いスープに、丼から湯気が上がらないほどに大量の豚の背脂が掛けられるのが特徴。長ネギの代わりに玉ネギのみじん切りが薬味として使用される店も多い。(福来亭白山町店では別に追加用の玉ネギが用意されており、無料で提供されている。これによりネギ増しが可能。)また乗せられる背脂の量に応じて、「大油」・「中油」とメニューが区別されている店舗もある。テンプレート:要出典範囲
歴史
- 力仕事が多く、高温での作業環境が多い工場労働者向けに塩辛いスープで(やや醤油味が濃い)、
- 届けられた商品をすぐに食べることが出来ない不規則な労働時間であるため、時間が経っても伸びにくく(極太麺)、
- 冷めにくく、また単にしょっぱいだけではないまろやかなスープ(背脂で覆う)の、
ラーメンを作ったということが始まりとされている。やがてこのスタイルが冬場の積雪も多い同地区で広く受け入れられることとなり、定着していった。
近年では東京都など、県外に進出する店舗もあり、県内全域に渡り、このラーメンを新潟ご当地ラーメンとして、メニュー化する店も増えてきた。
「極太」「背油」「濃口しょうゆ」をメインメニューとする店舗
燕市
- 福来亭(本店):閉店
- 福来亭白山町店
- まつや食堂
- 大むら食堂
- 酒麺亭潤(らーめん処潤の本店)
- 大むら支店
- らーめん勝
- 三友軒:閉店
- 麺屋はる(旧三友軒の店舗。)
- くま屋
- 花岡食堂
- 分水中華亭
- 目黒食堂(2009・1/2閉店)
- ライオン食堂
- どさん娘(吉田店)
- 王風珍
- まつや支店
- 天家
- さとう食堂
- なるとや
三条市
- いこい食堂
- 侍ラーメン
- 龍華亭(福来亭三条店が移転改称)
- 中華亭
- 松本商店
- やすどん
- 麺道楽天狗屋(2008年3月19日開店)
- らーめん潤(三条店)
- バス長ラーメン
- どっぽ
- 佐助
- じろ吉
- 麺処一丁目(現在のバスラーメン入居テナント)
その他市外
※滋魂、松玉堂ともに潤グループ。
- 安福亭(長岡市千手)
- めんきち(長岡市蓮潟)
- らーめん三昇(長岡市坪根)
- 成龍(加茂市柳町)
- 燕人(佐渡市佐和田)
- らーめん 潤(潤グループ東京出店第一号)(東京都大田区蒲田)
- らーめん 潤(東京都江東区亀戸)
- 中華そば 児ノ木(ちごのき)(東京都新宿区上落合)
- ラーメン専門店 二葉(東京都杉並区上荻)
※通常はあっさり系醤油ラーメンのみだったが、別メニューの背脂煮干しラーメンとして提供。本家よりもさらに幅のある平打ちのきしめんのような麺を使用。
※曜日・時間帯により同じ店内で名称を変え、新潟市(旧・巻町)の濃厚味噌ラーメン(古潭)や長岡市の生姜醤油ラーメン(青島食堂)のインスパイア系のラーメンを提供しており、新潟のご当地ラーメンが総て味わえる。
- 麺や 丸め(東京都東久留米市)
- 麺や 丸め(分店)(東京都小金井市)
- 燕三条系煮干しらー麺 にぼ兄弟(埼玉県鴻巣市)
- にぼ次郎(埼玉県川口市)ラーメン二郎のインスパイアと燕三条系ラーメンのインスパイアを提供。
- 麺屋 八海山(大阪府高槻市)
- 煮干しらあめん 燕黒(つばくろ)(長野県松本市梓川倭)
- セアブラノ神(京都府京都市中京区壬生相合町)
- 麺場 力皇(奈良県天理市)元関取・プロレスラーの力皇が店主。潤 燕総本店で修行[4]。
即席麺商品
大手メーカーから数回燕三条系ラーメンをヒントにしたカップ麺が発売されている。
- 「新潟で見つけた煮干背脂系醤油ラーメン」(エースコック 2005年‐2007年)
- 「麺の街 新潟背脂しょうゆラーメン」(エースコック サークルKサンクス限定 2005年)
- 「明星 地域の名店シリーズ 一麺入魂 らーめん処 潤」(明星食品 セブンイレブン限定)
- 「日清 新潟ラーメン 燕三条しょうゆ」(日清食品 2009年)
- 「全国麺めぐり 新潟 燕三条系ラーメン」(寿がきや食品 2009年)
- 「日清 行列のできる店のラーメン 新潟 特濃トロ背脂しょうゆ」(日清食品 2009年)
- 「ニュータッチ 凄麺 新潟背脂醤油ラーメン」(ヤマダイ 2010年)
その他
- 対外的には定着しつつあるこの「燕三条系」との名称だが、自然発生的に出来上がった物ではあるとも、ラーメン王と呼ばれるライターの石神秀幸が便宜上命名した物であるとも言われる。石神秀幸による新潟四大ラーメンの分類では燕三条流背脂ラーメンである[5]。
- 地元では普通に「福来亭系」「杭州飯店系」「燕系」(燕市)、「大油」「中油」(三条市)などと呼ばれているケースが多い。 なお、福来亭・杭州飯店・いこい食堂等に代表される煮干だしの味よりも「醤油の風味」をきかせた旧派と、まつや食堂・大むら食堂・酒麺亭潤などの醤油の風味よりも煮干だしを強めにきかせた後期旧派、侍ラーメンなど醤油煮干だしのほかに、「桃」といった変わりだねをだしにきかせた新派がある。
- そもそも「燕三条」という名は隣接しあう燕市と三条市にまたがった上越新幹線の駅名であり、地元での意味合いは「燕三条駅の近く」である燕市井土巻、三条市須頃近辺を指す言葉となっており、両市のエリア全体を指してこの名が使われる事はほとんどない。
- 両市の間には歴史的な確執も存在し、両市民の中には「燕三条系」と一括りにされることに抵抗感を抱く人も多く存在する。尚、両市の関係についてはそれぞれのリンク先を参照。
- 「次にヒットするであろうご当地ラーメンの最有力候補」として雑誌にも頻繁に取り上げられるなど、マスコミ等に注目され始めてはいるが、見た目のインパクトの強さからこれまで永らく他地域からは受け入れられてこなかった事もあり、地元自治体などでの対外的広報への関心は今一歩の模様。大量に脂が乗り量も多めであることから近年消費者が求める低カロリー志向、健康志向にも(実際のカロリー等はともかく)見た目のイメージが反する事も原因の一つとして考えられる。
- 三条市には、燕三条系ラーメンとは別に「三条っ子ラーメン」(千切りの長ネギが大量に乗った味噌ラーメン)「三条カレーラーメン」(スタンダードなカレー味のスープのカレーラーメン)というメニューも存在し、市内では数十店舗が同ラーメンを提供している。