菜の花
菜の花(なのはな、英語:rapeseed blossom)は、アブラナまたはセイヨウアブラナの別名のほか、アブラナ科アブラナ属の花を指す。食用、観賞用、修景用に用いられる。季語、晩春。
アブラナ属以外のアブラナ科の植物には白や紫の花を咲かせるものがあるが、これを指して「白い菜の花」「ダイコンの菜の花」ということもある。
利用
食用
菜とは食用の意味であり、菜の花とは食用の花の意味である。 在来種アブラナや、セイヨウアブラナの花序や若芽が利用され、最近はコウタイサイなど中国野菜由来の新品種も登場している。食用生産が多いのは香川県、高知県、千葉県、三重県など。 大別して、蕾の目立つ頭頂部をまとめたタイプと、掻き取った脇芽(蕾が無い)を袋詰めにしたタイプが主流となっており、前者は在来種アブラナ系、後者がセイヨウアブラナ系とされる。セイヨウアブラナは固く筋っぽくなりやすい反面、在来種より苦みが少なく甘みが強い特徴がある。
野菜としては足が早いほうなので、保存する場合は加熱してから冷蔵するのが望ましい。 ビタミンCやミネラルが豊富な緑黄色野菜であり、アク(シュウ酸)はホウレンソウの20分の1以下なので、調理にあたっては茹ですぎないことがポイント。
2~3月だけ出回る旬を残す野菜だったが、近年は予冷技術により出荷時期が延びてきている。また、寒咲花菜のように初冬から出荷されるものもある。
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市販の菜の花(頭頂部)
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市販の菜の花(脇芽)
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菜の花の胡麻和え
鑑賞用
春、一面に広がる菜の花畑は壮観で、代表的な春の風物詩でもある。現代の日本では、菜種油採取用のアブラナ畑はあまり見られなくなったが、その他のアブラナ属の野菜も黄色い「菜の花」を咲かせるため、その種子採取用の畑が菜の花畑として親しまれている。
このため、栽培されている作物はまちまちで、千葉県では早春のアブラナのほかに野菜類(カブやハクサイ)が、青森県横浜町では油用のセイヨウアブラナ、信州の菜の花畑はノザワナがそれぞれ5月に開花する。
主産地の広大な菜の花畑は観光資源となっていて、例えば飯山市では連休中に見ごろとなるよう、ノザワナの播種日を調整している。
切り花用として利用されるものは、チリメンハクサイや改良品種で、葉が白っぽく縮れている。ただしこれは食用にも利用されるため、栽培時期や方法の違いによって出荷先が変わるだけともいえる。
修景用
セイヨウカラシナは、丈夫で川原や荒れた土地にも繁茂するため、河川敷や堤防、空き地に播種し、菜の花畑を作るケースがある。 なお、建設省が堤防強度の低下予防を理由に、除草剤で駆除していた時期がある。
文化
菜の花は身近な春の光景として親しまれてきたため、文学や言葉に登場することも多い。 文学作品などに登場する菜の花は、明治以降は栽培が拡大したセイヨウアブラナが主体と見られる。
- 菜種梅雨
- 春雨前線が停滞する頃の雨の多い時期、ないしその雨を指す言葉。気象庁がその時期を明確に定めているわけではないが、主に3月半ばから4月前半にかけてのぐずついた天気を言う。この時期には、関東南部から九州にかけてアブラナが開花している事から名付けられた。ただし、いわゆる6月下旬から7月中旬の梅雨で起こるような激しい豪雨になる事は比較的少ない。
- 辛島美登里の曲。やまとなでしこ(東芝EMI TOCT-24943)に収録されている。NHKみんなのうたでもおなじみの曲である。
- 菜種月
- 春先によくみられる、かすみの掛かった月、おぼろ月
- 俳句(春の季語)
- 与謝蕪村(1716-1783年)は、菜の花(堀田満によれば、在来種アブラナ)をいくつもの歌に詠みこんでいる
- 詩
- 山村暮鳥は1915年の作品「風景 純銀もざいく」で、「いちめんのなのはな」という言葉を淡々と連ねるという、平易ながら斬新な手法で風景を表している。
- 唱歌
- 高野辰之の作詞による「おぼろ月夜」(岡野貞一作曲)では、「菜の花畑に入り日うすれ…」と歌いだされる。時代から見てセイヨウアブラナまたは、着想を得たとされる飯山市で栽培されている野沢菜とみられる。
- 料理
- 炒り玉子を菜の花にみたてた「菜種あえ」、「菜種焼き」など
- 県花
- 千葉県
- 切手
- 1980年(昭和55年)10月1日発売 40円普通切手 菜の花とモンシロチョウ
- 1990年(平成2年)4月27日発売 62円 ふるさと切手 花・千葉・ナノハナ
- 2009年(平成21年)12月1日発売 50円と80円 ふるさと切手 ふるさとの花シリーズ第5集
ギャラリー
アブラナ属
- Rape blossoms field and shiodome skyscrapers.JPG
アブラナの花壇(汐留)
- Hohenfelde.JPG
セイヨウアブラナ(ドイツ)
- Turnip rape field in Parikkala.JPG
カブ(フィンランド)
- Brassica juncea wild mustard.JPG
ワイルドマスタード
- Brassica rapa plant.jpg
ラパ原種(オランダ)
- Broccoli bloemen.jpg
ブロッコリー
- Brassica oleracea Boerenkool bloei (1).jpg
ケール(オランダ)
- Brassica oleracea var. acephala4207945ハボタン.jpg
ハボタン
- Brassica nigra Sturm38.jpg
クロカラシ(図譜)
- Bloemkool doorwas (Brassica oleracea).jpg
カリフラワーは例外
カラシナ(インド)[1]
その他の属
- Raphanus sativus2.jpg
ダイコン
- Hamadaikon 01.jpg
ハマダイコン
関連項目
外部リンク
- 相馬博士の作物百科 アブラナ、菜種、なばな、菜の花、油菜
- 道明寺天満宮・菜種御供大祭
- 菜の花きいろ 作詞&作曲&歌&ウクレレ:蜂谷清香