マインスイーパ
マインスイーパ(Minesweeper)は1980年代に発明された、一人用のコンピュータゲームである。ゲームの目的は地雷原から地雷を取り除くことである。
このゲームは多数のコンピュータプラットフォーム向けに書き直されており、Microsoft Windowsをはじめ、LinuxのGNOMEやKDEなどのシステムに同梱されているものもある。
目次
概要
ゲーム画面は正方形のマスが敷き詰められた長方形のフィールドから構成されている。それぞれのマスは開けることができるが、地雷の置かれているマスを開けると負けとなる。地雷の置かれていないマスを開けたときは、隣接する8マスのいずれかに地雷がある場合はその個数が表示され、隣接するマスに地雷が置かれていないときは、それらが自動的に開けられる。地雷の置かれていないマスをすべて開ければ勝ちとなる。
プレイヤーは、地雷が置かれていると思われるマスに旗を立てることができる。一部のプラットフォームでは、表示された個数と同じだけの旗を立てたマスで中ボタンをクリック(または左右のボタンを同時に押下)すると、隣接する開けられていないマスを一気に開けることができる。このとき開けられたマスに地雷が置かれていれば、ゲーム終了となる。また一部のプラットフォームではプレイヤーが地雷にマークしたあと右ボタンを押下したまま移動することを許している。これによってプレイヤーは短い時間で大きな区域を開けるために、マウスの右ボタンをドラッグしながらいくつかの数字のマスを左クリックすることができる。
ほとんどのプラットフォームでは、最初にクリックしたマスに決して地雷が配置されないようにして、プレイヤーが不利にならないようにしている。また、一部のプラットフォームでは、論理的な推論が全く成り立たず、運任せになってしまうような地雷配列パターンを避けるように設定されている。
歴史
RLogic
既に1985年には、「Relentless Logic」(略称「RLogic」)と呼ばれていたゲームがコンウェイ、ホング、スミスによってMS-DOSで開発されていたが、あまり知られていない。RLogicでは、プレイヤーはアメリカ海兵隊員となり、米軍司令部に重要なメッセージを届ける。RLogicとマインスイーパはコンセプトが似通っているが、多くの相違点がある。以下はRLogicの特徴である。
- プレイヤーは左上から右下(司令部)まで地雷原を通り抜けていかなければならない。
- すべての地雷を見つける必要はない。したがって、地雷に印を付けたり地雷の数を示したりする機能はない。
- 左上から右下までの歩数がカウントされる。ハイスコアの機能は付いていないが、プレイヤーは地雷の数ごとの自分の最高点を超えようとしていた。
- マインスイーパと異なり、地雷原の大きさは固定されているが、地雷の個数を変えることができる。
地雷原を通り抜けるゲームのため、ときにクリア不可能になることがあった。すなわち、すべての通り道が地雷で止められていたのである。
RLogicとドナーのマインスイーパとの間の関連は不明である。RLogicが先に出たことは否定できないが、コンセプトが単純なため、両者が偶然似通った可能性も十分に考えられる。マインスイーパが広く知られ続けているのに対して、RLogicは事実上無名になっている。
RLogicは更に古いゲームであることが明らかになっている。1981年頃のTektronix 4051に搭載されていたものがあったが、「games tape」に収録されている古い版は1973年まで遡ることができる[1]。このテープにはマインスイーパの三次元バージョンが含まれている。このゲームの作者デービット・アールは、コンピュータゲームの歴史の中で重要な人物である。
Microsoft Windows用
Microsoft Windows 用マインスイーパは、Oberon Games が開発し、1990年、Windows 3.0 用の拡張パック Microsoft Entertainment Pack のコンポーネントとして Microsoft Game Studios より発売された。1992年の Windows 3.1 からはOSに標準で付属するようになった。
ゲームの分析
盤面の難易度の測定
マインスイーパの盤面の難易度は、しばしば3BVの値によって判定される。
実装
Windows
最も有名なMicrosoft Windowsのものでは、3つのサイズがある。
- 初級:9×9のマスに10個の地雷(Windows Meまでのバージョンは8×8)
- 中級:16×16のマスに40個の地雷
- 上級:30×16のマスに99個の地雷
- 盤面の変更:9×9(Windows Meまでは8×8)から30×24まで(ただしWindows 3.1では画面解像度が640×400 (PC-98) や640×350 (EGA) の場合は30×16まで)のマスに10から668個(XPまでは667個)までの地雷(ただし設定できる地雷の最大数は、A×Bの盤面ならば(A-1)×(B-1)までである)
新しいバージョン(Windows 2000以降)では、初級の画面が8×8から9×9に変更されている(地雷の数は同じ)。これは恐らく以前の大きさでは、初級と中級が地雷をクリックする確率が同じだったからであろう(初級: 8×8=64, 10/64=0.15625 中級: 16×16=256, 40/256=0.15625)。
実際のところ、最初に開けた1マスは必ず地雷ではないとした場合、古い初級のゲームは中級と比べランダムな1つの動きで地雷に当たってしまう確率がほんの少し多くなってしまっていた。しかしながら地雷に当たる確率は総合的にあまりなく、一か八かの選択状態になる確率もごく小さいため、初級のゲームはなお易しかった。
新しいWindowsのバージョンではコントロールも改良されたため、9つのマスの幅がタイトルや得点のバーと同じになるように変更できるようになったのである。
あるいは、今の9×9の初級の画面では開けられたマスと開けられていないマスの境界が、数字の入ったマスだけで1列並ぶように現れた場合、開けられていない側の境界の1列は一か八かで開けなくても解けるようになるためであるとも考えられる。
サウンド機能はWindows Meまで正式には実装されていなかったが、winmine.iniというiniファイルにsound=3(Windows 95以降ではsound=10でも可)と書くことで、音によってゲームオーバーやゲームクリアを表現できた。これはビープ音だったため音源を搭載していないPC環境でも可能だった反面、音量調節やミュートが効かなかった。Windows 2000以降からは通常のPCM音源が使われている。
Windows Vistaでは今までグレーだった盤面がカラフルなものとなり、地雷を踏むとサウンドとともに周囲に次々誘爆する仕組みになっている。失敗すると同じ地雷の配列で再プレイも可能になった(その場合、最初の1クリックで地雷を踏むこともある)。また、地雷でなく花に変えることが可能となっている。 また、Windows Vista版では最初にクリックしたマスが必ず空白のマスになる(つまり、最初のクリックで複数のマスが開けられる)仕様になった。
また、Windows8からは、スタート画面から起動するスタイルへと変わった。シェアなどインターネットを使うことで便利なツールも搭載された。(シェアするにはMicrosoft アカウントが必要)
そして、Windows Vistaにおいては3D化を果たした。ただし、ウィンドウリセットボタンが消滅している。このため新規にゲームを始める場合は、メニューから選ぶかショートカットキー(F2)を用いる。
このゲームの三次元バージョンもあり、「マインスイーパ3D」とよばれている。また別のレイアウトを持った二次元のマインスイーパもある。例えばX11の「XBomb」は三角形または六角形のマスを持ち、Windowsの「Professional Minesweeper」はこれらやその他たくさんの種類のレイアウトを持っている。
2003年、マイクロソフトはMSN Messenger(バージョン6以降)で「Minesweeper Flags(マインスイーパフラグ)」という新しいゲームを提供した。このゲームは対戦式で、目的は地雷の周囲ではなく、地雷の位置をクリックして地雷を見つけることである。先に26個の地雷を発見したほうが勝ちとなる。
イースターエッグ
テンプレート:Seealso 特定のコマンドを入力することでプレイを有利に進められる。
- Windows3.1
- ウィンドウ上部中央のフェイスマークをクリック後、X,Y,Z,Z,Yとタイプした後に左Shiftキーを押しながらEnterを押すことで、地雷のあるマスをマウスカーソルでポイントすると、画面の左上の1ピクセルが白く変化した。
- Windows95/98/Me/2000
- マス目の上で左右同時クリックし、タイマーが動き出したら再び左右同時クリックしたままEscキーを押すことでタイマーを止められる。
- WindowsXP
- マインスイーパのウィンドウがアクティブの時に、「xyzzy」とタイプして、Shiftキーを押しながらEnterキーを押し、カーソルでマスの上をポイントするとデスクトップの左上の端にあるピクセルが「地雷がないマス」の場合は白になり、「地雷があるマス」の場合は黒になる。
KDE
公式にリリースされたものとしてkdegamesに含まれるKMinesがある。
GNOME
公式にリリースされたものとしてMinesがある。
家庭用ゲーム
日本では『マインスウィーパー 掃海艇』というタイトルでパック・イン・ビデオより発売された。
- ゲームボーイ
- 1991年12月13日に3500円で発売。
最高記録
Windowsのバージョンの上級において、Windows2000での85秒未満(Windows3.1での80秒未満)は素晴らしいタイムだと考えられている。中級の公式記録は9秒(非公式には8秒も記録されている)であり、8×8の初級では1秒である。上級の公式記録は33秒である(最初の1クリックをしたらタイマーは1秒後ではなく、即座に1秒になる。)。多くの人が自分のハイスコアの画像や動画を発表している。
初級(9×9の盤面)を1クリックでクリアする確率は次のとおり。連続して127,800,681回角をクリックしてゲームをし、1度にすべてのマスが開くかどうかを調べると、1,519回最初の1クリックでクリアできる。このことから、角をクリックすると、即座にクリアできる確率は約0.0019%であることが分かる。真ん中をクリックすると、6,713,134回のうち39回1クリックでクリアすることができ、即座にクリアできる確率は約0.00058%でしかない。端の列の真ん中をクリックすると、10,839,687回のうち103回1クリックでクリアすることができ、即座にクリアできる確率は約0.00095%である。これは統計ではなく、組合せ論を使うことでより正確に計算することができる。
中級の世界記録は9秒(非公式で8秒)、上級の世界記録は33秒ということになっているが、ネット上にアップされている記録動画を閲覧する限り、このゲームを行うのに必要となるマウスの使用速度が人間の操作能力の常識と限界を超えている(恰も、地雷の場所がはじめから全て判っているかのようにマウスの操作が正確すぎる)ことから、特殊な攻略ソフト等を使用してクリアした可能性があるのではないかと一部で指摘されている。
批判
2001年にイタリアで"ウィンドウス マインスイーパを禁止する国際キャンペーン"が開かれた。キャンペーンは、マインスイーパは地雷の被害者や地雷除去のために生命を危険にさらしている人々に対する侮辱であると主張し、強い懸念を表明した。彼らはマインスイーパのかわりに、彼らが独自に制作した"ウィンドウズ フラワー"をWindows 98に搭載するよう、Microsoftに働きかけた。この批判をうけてMicrosoftは、Windows VIsta以降のバージョンのマインスイーパに地雷の代わりに花を表示する機能を搭載している。