税関職員
税関職員(ぜいかんしょくいん)は、税関に所属する職員の総称。日本においては、税関は財務省の地方支分部局であり、その職員は国家公務員である。
目次
任務
税関職員は、
を主な任務とする。
具体的には、密輸の疑いのある船舶(対象船舶)等に対する張り込みや臨船尋問、船内巡回を行いう。その他職員は船と陸地(関税線といい、関税法上の国境である。)等を交通する者に対して、質問を行うことができる(職務質問)。質問自体は、任意であるが、拒否すると罰則がある。(関税法第114条の2第10号)
税関職員の階級
税関職員服制(昭和44年9月22日大蔵省令第50号)により制服・制帽・階級章が規定されているが、税関職員の階級呼称自体は定められていない。税関職員は、それぞれの役職や俸給に応じて貸与される階級章を佩用する。税関職員の階級章は、税関長に貸与されるものを最高位として9種類が定められている。
序列 | 貸与される職員 |
---|---|
1 | 税関長 |
2 | 部長 |
3 | 部次長及び同相当職 |
4 | 本関課長及び同相当職(統括専門官) |
5 | 本関課長補佐及び同相当職(上席専門官) |
6 | 本関係長及び同相当職(専門官) |
7 | 一般職員(特に高度の知識又は経験を必要とする業務を行う一般職員) |
8 | 一般職員(相当高度の知識又は経験を必要とする業務を行う一般職員) |
9 | 一般職員(一般的な業務を行う一般職員) |
国家公務員法等における位置付け
不正薬物や拳銃等の密輸防止など治安に関わる職であること、制服・制帽の着用や階級章の佩用、小型武器(拳銃)の携帯・使用権などから、公安職的な色合いの強い公務員との印象が持たれるが、実際は行政職の国家公務員である。国家公務員法に規定する警察職員ではなく[1]、刑事訴訟法に規定する司法警察職員でもない。従って、給与に関しては一般職の職員の給与に関する法律に規定する俸給表のうち公安職俸給表や税務職俸給表ではなく、行政職俸給表の適用を受ける。また、「税関職員」は総称であって、辞令での表記に用いられる「官職」ではない。官職としては財務省の他の職員と同様に「財務事務官」・「財務技官」などの辞令を受けることとなる。
武器の携帯と使用
関税法第104条により小型の武器(拳銃)の携帯と使用が認められているが、現在は実際に拳銃を携帯して職務を行うことはない[2][3][4]。
人事
採用
主に、人事院が実施する国家公務員採用II種試験・同III種試験の合格者のうちから、各税関での採用試験を経て採用される。採用後は財務省税関研修所において、II種試験合格者は約2か月間の、III種試験合格者は約6か月間の採用職員研修を受け、それぞれの職場に配属される。なお、国家公務員採用 I 種試験の合格者についても、税関において税関職員として採用される者が少数ある。
他機関への出向等
主な出向先を列挙する。
入国管理局・同職員との混同
日本では人の出入国管理(パスポート写真の確認、出入国審査の許否など)は法務省の地方支分部局である地方入国管理局(入管)が担当しており、税関・入管両機関の法的根拠・位置づけ・職権・体制等は大幅に異なる。しかし港湾や国際空港の旅客ターミナル等において近接した場所で近似したデザインの制服等で職務を行うことが多いこと、また、組織の歴史と社会的認知度において税関が事実上優位にあるため、入国管理局(入国審査官・入国警備官)を指して税関(職員)であると誤認・呼称する人は少なくない。
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:財務省- ↑ このため、労働基本権のうち団結権と団体交渉権が認められており、税関職員による労働組合が結成されている。
- ↑ 平成18年10月11日開催の関税・外国為替等審議会関税分科会企画部会犯則調査・罰則等のあり方に関するワーキンググループ議事録増田義一・財務省関税局調査課長の説明
- ↑ http://trickybarracks.web.fc2.com/special/custom.html
- ↑ 関税法第130条に「税関職員は、臨検、捜索又は差押をするに際し必要がある時は、警察官又は海上保安官の援助を求めることができる」という規程があり、危険が予測される場合には警察官または海上保安官の同行を要請することができるので実務上は問題ないと考えられる