ユニットバス
ユニットバスとは、工場などで予め防水性の高い素材を用いて天井・浴槽・床・壁などを成型しておき、現場に搬入した後にそれらを組み立てる浴室のことである[1][2][3]。間取図などで用いられる記号はUB[2][3]。なおこの言葉を、「風呂とトイレが一緒の物件」という意味で使っている人がいるが、誤用である。
タイルを1枚1枚貼って造る在来工法の浴室と比べ、短時間での施工が可能な上に階下への水漏れのリスクが少ない事から、戸建住宅からマンション、ホテル、アパート、病院等に至るまで、様々な建築物に用いられている。最近では、サイズや機器のオプションが自由に選べるものが増えている事から、「システムバス」と呼ばれる事も多い。ホテルや集合住宅など、トイレや洗面台と浴室を独立して設置できるようなスペースが無い物件向けに、トイレ及び洗面台を浴室内に設置できるタイプのユニットバスもあり、これを3点ユニットという。
類似のものとして、バックミンスター・フラーが金属製の浴室ユニット『ダイマキシオンバスユニット』を1938年に特許出願したが、アメリカ合衆国ではほとんど普及しなかった。
現在に繋がるFRP製のユニットバスは、日本で開発された。1964年、東京オリンピックを控え、急ピッチで建設が進められていたホテルニューオータニで、内装工事を出来る限り省力化するために考案された[4][5]。主に開発に携わったのは日立化成工業(現:ハウステック)・東洋陶器(現:TOTO)の2社である。それまではバス・トイレの施工は1部屋につき職人数人と1ヶ月を要していたものが、運び込んで設置するだけで良いユニットバスを採用したことでわずか数時間に短縮されたという。
「ユニットバス」、「システムバス」ともに和製英語。英語ではbath moduleという。
サイズ
住宅向けのユニットバスはそのサイズがほぼ規格化されている。縦方向と横方向のサイズを10cm単位の数字で表す「1216」、「1317」、「1416」、「1418」、「1616」、「1818」、「1620」などがある。
米国での事情
アメリカ合衆国では労働組合の力が強く、建物建築時に浴室工事を行うアスファルト防水、押さえモルタル、配管、シンダーコンクリート打設、タイル張り、窓と天井の大工作業、などのそれぞれの職人・作業者の職場を確保するためにユニットバスの使用は制限されている[4]。
製造メーカー
- TOTO 前身の「東洋陶器」時代に、ニューオータニの開業に間に合わせるため日本で初めて開発した。現在は倉庫になっている部屋に当時の機種が現存する事が2014年7月に判明。
- LIXIL
- 永大産業
- ノーキン(高級)
- ノーリツ
- ウッドワン
- クリナップ
- ナスラック(ノーリツのOEM)
- 日ポリ化工(オーダーメイド可能)
- 長府製作所
- 和光製作所(スピリチュアルモード)
- パナソニック
- ハウステック
- ブリヂストン
- サンワカンパニー
- 積水ホームテクノ
- タカラスタンダード
- トクラス
- ナカヤマ(プライベートブランド)
- プロコンビニ(プライベートブランド)
- 小笠原(オーダーメイド可能)
- 日比野化学工業(オーダーメイド可能)
- PUDA(オーダーメイド+輸入品)
- KOHLER(オーダーメイド+輸入品)
- カドガン(オーダーメイドのみ)
- アステック(オーダーメイドのみ)
- ダイワ化成(オーダーメイドのみ)
- 有田ユニテム(オーダーメイドのみ)
- フリーバス企画(オーダーメイドのみ)
- テクノクリエート(オーダーメイドのみ)
- 東京バススタイル(オーダーメイドのみ)
- カナッツコミュニティ(オーダーメイドのみ)
- エングレードコーポレーション(オーダーメイドのみ)
出典
- ↑ 用語辞典 リプロス
- ↑ 2.0 2.1 賃貸用語辞典 フラットエージェンシー
- ↑ 3.0 3.1 不動産用語辞典 ビッグ
- ↑ 4.0 4.1 高層建築研究会編 『建物の科学』 日刊工業新聞社 2007年2月28日初版1刷発行 ISBN 9784526058257
- ↑ テンプレート:PDFlink