日立柏サッカー場
テンプレート:スタジアム情報ボックス 日立柏サッカー場 (ひたちかしわサッカーじょう) は、千葉県柏市日立台の日立柏総合グラウンド内にあるサッカー専用の競技場である。一般には「柏サッカー場」、または所在地の「日立台」の愛称で呼ばれている。
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)加盟の柏レイソルのホームスタジアムとして知られるが、施設も同クラブを運営している株式会社日立柏レイソルが所有しており、Jリーグの試合が定期的に開催されるスタジアムの中でクラブ所有なのはヤマハスタジアムとここだけである。
経緯
日立製作所(日立本社)サッカー部が1985年に東京都小平市から現在の柏市に移転した際に、日立製作所がその試合会場として柏市日立台公園の敷地内にオープンした(当初の収容人員は約5000人だった)。
1993年にJリーグ規格に合わせて作り直したが、当初、千葉県立柏の葉公園総合競技場の建設が完成するまでのつなぎとしてオープンしたため、メインスタンド中央部以外は鉄骨製の簡易的なものとなっている(当初は全席とも鉄骨製だったが、1995年にJリーグ昇格を果たした際、メインとバックスタンドの配置を入れ替えて(それまではメインが南側、バックが北側だったのをメインを北側、バックを南側に変更)メインスタンドの中央部分をコンクリート製のスタンドにした)。
しかし、鉄骨製のスタンドゆえの老朽化も著しいことや、準本拠地である柏の葉のスタンド形態がサッカーの観戦に不向きであることなどから、改修を行うようサポーターが運動を起こしたが、予算などの都合もありなかなか着工のめどはなかなか立たなかったが、2011年後半~2012年初めごろ完成を目処に増築工事に取り掛かった(柏レイソル#本拠地問題も参照)。
ナイター照明設備はJリーグ規格に合わせて作り直した1993年に設置された。当初はメイン・バックスタンド側に中・小型の照明塔が数基設置されたが、1995年の改装工事実施の際は大型の鉄塔4基を各コーナー部分に設置している。これに伴い、従来の照明設備はホンダ都田サッカー場(浜松市・Honda FCの本拠地)に移設された。
2008年はリーグ戦の柏市内全試合を当サッカー場で開催したが、一方でJリーグカップ予選は柏の葉で全試合を行うため当サッカー場で試合は行われなかった。2009年以降は柏市での主催のJリーグ公式戦(天皇杯全日本サッカー選手権大会はこの限りではない)は全て当スタジアムで開催している。
2011年春に柏サッカー場は日立製作所から日立柏レイソルに現物出資という形で譲渡され、チーム自身が所有することとなった[1]。
アクセス
- JR常磐線・東武野田線 柏駅
- 東口・南口から、徒歩約20分。
- 東口バス1番のりばから東武バスイースト・名戸ヶ谷行に乗車し、「緑ヶ丘」または「日立柏サッカー場前」下車。
- 「常盤台」「千代田町」経由に乗車のこと。「新田原」経由はサッカー場を経由しないので注意。
- 試合日には上記バスのりばから直行の臨時バスが多数運行される。
- 東武野田線 新柏駅から徒歩約15分。
仕様
- 収容人員 : 15,349人(Jリーグ公式届出の実勢人員。2011年までは15,900人収容で届け出たが、座席12,000で、緩衝地域による立ち入り禁止地域を除いた実際の収容は13,000人程度しか入れなかった)
- ヨーロッパの小スタジアムのような雰囲気を持ち、ピッチと観客席の近さはさいたま市大宮公園サッカー場(NACK5スタジアム大宮)と並んで日本有数。
- 2009年にバックスタンドの一部改修(ベンチ席の個別化)を行い、黄色バックに「REYSOL」の紺色の文字が入るようになった。[2]
- 2012年に西側ゴール裏(2011年までアウェーサイド→2012年以後はホームサイド 以下同文)を増築し、二層式のスタンドに変更。これに合わせる形でホームとアウェーのゴール裏応援席の配置を入れ替えて、西側ゴール裏スタンドはホーム・レイソル側の応援席である「柏熱地帯(はくねつちたい)」となった。増築された2階席は着席、従来の1階席は立見席である。なお「柏熱地帯」というスタンド名は2009年から使われている。
- なお1993・1994年はメインスタンドとバックスタンドの方向が逆であり、西側ゴールウラがメインスタンドから向かって左側に当たるホーム側、東側が同じく右側に当たるアウェー側だった。
- また、ホームゴール裏応援席(西側スタンド)とメインスタンドの中間にあたるコーナー部分にクラブユニフォームサプライを担当するヨネックスと命名権を締結した「ヨネックスシート」が設置された。
- ピッチ : 105m×68m
- 照明 : 1,800ルクス(鉄塔式・4基)
- スコアボード : 東側ゴール裏(2011年までホームサイド→2012年からアウェーサイド)に大型映像装置がある。
- Jリーグ昇格を決めた1995年の開幕時に東側ゴール裏に簡易型の電光板(上部に「HITACHI」ロゴと簡易フリーボード(1行)あり)と出場選手の手書きパネルが設置された。その後2005年4月に西側ゴール裏に大型映像装置が設置された。これはJリーグのホームスタジアムとしてはJ1・J2を合せて(複数のスタジアムをホームとするクラブも含めて)17か所目の設置だが、日立製作所でイベント会場やスポーツ施設などに設置する大型映像装置を開発・製作していないため、オーロラビジョン(三菱電機製)を使用している。
- なお東側ゴール裏には出場選手を表示するための手書きパネル板が設置されていたが映像装置設置後は使う機会がなくなったため応援団の横断幕設置スペースとなっていたが、ゴール裏の応援席の入れ替えに伴い、2012年はクラブスポンサーの広告看板幕が設置されている。
- フェンスだけでなくスタンド部分もクラブスポンサーの広告で埋まっており、横断幕を貼り付ける場所はスタンドの広告看板の下などに制限されている。なお、広告看板はピッチとのスペースの関係で、長年ゴール裏(Jリーグ昇格初期のオフィシャルスポンサーの看板も)は横断幕形式で広告を取り付けていたが、2011年から脱着パネル式に変更された。
- また応援団大旗を振る場合、レイソルホームパーティの項に記載した2008年の鹿島アントラーズ応援団のトラブルがきっかけとなり、ピッチとの距離がないため試合運営に支障をきたさないようにするためにするため、ゴール裏(立見席)の最上段から中段付近のみ(アウェーは最上段のみ)しか振ることが出来ない。
- ※2006年から2008年途中まで、Jリーグの試合開催時には隣のテニスコートに「フードコート」と称したバラエティに富んだ屋台が出ていた。現在は東南側のテニスコートに移動している。
周辺施設
- サブグラウンド(天然芝、人工芝)
- 天然芝サブグラウンドはバックスタンド後方(南側の位置)。主にトップ・サテライト・ユース年代の選手が使用する。
- 人工芝グラウンドはバックスタンド南西側(日立柏体育館の後方)。ジュニアユース・ジュニア年代のほか、サッカーやフットサルを愛好する社会人向けのスクール(講習会)にも使用されている。
- テニスコート
- 体育館
- 日本バスケットボールリーグ「日立サンロッカーズ」の練習会場にも使用
- これらは「レイソルスポーツプラザ」として、一部が一般市民にも開放されている。
- サブグラウンドのうち天然芝のグラウンドはもともと軟式野球場(4面)として利用されていた。現在でも日立グループの福利厚生施設として日立グループ内の野球大会に供されることがある。そのため雑誌『週刊サッカーマガジン』のチーム情報ページでは、練習場を「柏野球場」として紹介している。
- ※レイソルの練習は、日によってあけぼの山農業公園芝生広場でも行われることもある。
柏レイソル主催試合の席割
- 2005年の途中までは相手サポーターの数に応じてアウェー側ゴール裏の広さを変動させるくらいで、とりわけホームもアウェーも分け隔たり無く行き来できたが、日本でも1、2を争うピッチとスタンドとの近さをもつ日立台や柏レイソルサポーターの特色もありサポーターによるトラブルが頻繁に起こっていた。
- 特に同シーズンに発生した名古屋グランパスサポーターに対する暴行事件をきっかけにホームとアウェーのあり方について考え直さなくてはならなくなった。次節の日立台の試合から原則アウェー側ゴール裏はメインスタンドより3分の2がアウェーサポーター席に、1ブロックの緩衝地帯をはさんで残りを柏レイソルサポーター席となった。(ただし、公式サイトでの席割図ではアウェー側ゴール裏全席がアウェーサポーター席の表記のままだった)
- また、スタジアム中央からホーム側へは相手クラブのグッズを身に付けた状態での入場を禁止した。しかし、相手クラブのグッズを外せば入れることやメインスタンド及びバックスタンドのアウェー寄り指定席についてはホームもアウェーもどちらも購入可能だったため柏サポーターと相手サポーターが混ざった状態だった事もありさほど厳しさを感じることはなかった。
- 2006年と2007年もこの形態を維持した後、2008年からはアウェーサポーターの来場者数増加を理由にアウェーゴール裏全席がアウェーサポーター席となる。その後、後述する鹿島アントラーズサポーターとのトラブルによりクラブはホームとアウェーの完全分離を検討する事となる。
- 2009年からは、明確にホーム、アウェーの区別の無いSS席を除いてホーム、アウェーを完全分離することとなり、柏ゴール裏である柏熱地帯、バックスタンド全席、ML指定席が柏レイソルサポーター専用席となり、ビジター自由席とMR席の名称を変更したビジター指定席がアウェーサポーター専用席となった。これらの境界線の行き来はもちろん不可であり加えて入場ゲートの段階から完璧に仕切る形となった。
- 更に2010年9月のカターレ富山戦からはビジター指定席をホーム側に変更(これでメインスタンド両サイドの指定席が柏の応援席となった)した後、VR指定席として新設、これによりアウェーサポーター席はゴール裏のビジター自由席のみとなった。ホームとアウェーを分離したことによってスタジアム内でのトラブルは無くなったが、ビジターエリアからはフードコート利用不可(ビジターエリアに出店している売店しか利用できない。逆に柏サポーターはビジターエリア限定の売店の利用はできない)、トイレは体育館と仮設を利用する、2010年途中からは、スクリーンが見えなく立見メインのゴール裏での観戦しか選択肢が無くなるなどの不自由が生じることとなった(メインスタンド中央のSS席は現在ホームもアウェーも区別は無く、このエリアで相手クラブのユニフォームを着て観戦するのは可能だが、ビジター専用入場口からはSS席には行けない為ホーム専用入場口から入ることになる。それ以外にも入退場時や東ゲート側エリア内の売店、トイレ、喫煙所を利用する場合は、ビジターグッズの着用は不可というルール上SS席で相手クラブの応援をする場合、席に着席するまでは相手クラブのユニフォームを着用しない、売店利用やトイレに行く場合は相手クラブのユニフォームを脱いでから席を立つといった事をしなければならない。またビジター側へは当然行けない為スタジアムへ入場したら退場するまでビジター席の味方とは離れ離れとなる)。[4][5]
- この措置は2010年シーズン終了までの暫定的な措置であり、2011年についてはVRホーム指定席をビジター指定席に戻し2010年途中までのシステムを採用する。国立開催については2試合(そのうち1試合は浦和レッズ戦)を開催する。柏の葉は従来どおり使用せず。なお、日刊スポーツ2010年11月30日(西日本版=大阪・名古屋・西部本社用)に「アウェー席(西側ゴール裏)を増築し、消防条例上の収容人員が18000人に拡張される」と紹介されているが、改修を実施するかどうかのクラブからの正式発表はまだこのときはなされていなかった。その後柏市の市議会も2012年3月の開幕までに完成することを目指し、座席3000人分の増築を検討してることを公表した。[6]さらに後日行われたサポーターズカンファレンスでの会合で完成予想グラフィック[7]が公開され、2011年シーズン後半~2012年初めごろの完成を目指し着手することになった(この際、ゴール裏のホーム・アウェーの配置を変更する)。この準備に絡んで老朽化した東側(ホーム)ゴール裏の簡易フリーボード付き得点ボードは撤去され、西側(アウェー側)にあった大型ビジョンを東側に移設する工事をした。
- 2012年、西側のレイソル新応援席「柏熱地帯(はくねつちたい)」の増築、並びに西側ゴール裏とメインスタンドの中間側をつなぐ箇所へ「ヨネックスシート」の設置工事完了。これと同時にその入り口のゲートに市民寄付による「柏シヴィックプライドゲート」が設置された。[8]
レイソルホームパーティ
ホームゲームの時に開催されるイベント。サッカー観戦はもちろんのこと、キックオフ前のひと時やハーフタイムの時などに試合以外でもサポーターに楽しんでもらえるためのイベントの総称。出店する売店やイベントのは毎回変わりどのようなことが行われるかは試合の数日前に柏の公式ウェブサイトで発表する。
元はアウェーチームのサポーターもフードコートやイベント会場に出入りする事は可能だった。ところが2008年9月20日の第25節鹿島アントラーズ戦において、鹿島サポーターが柏の選手がCKのためにスタンドに近づいたところを応援用の大旗で攻撃する事件が起こる。この日は試合前から、共用スペースのフードコートや入場ゲート(鹿島側自由席に隣接していた)が鹿島サポーターに封鎖されたり、試合中に鹿島サポーターが柏側自由席に入り込んでイザコザを起こしていた。
これを受けてレイソルは次の主催試合である10月25日の第30節横浜F・マリノス戦より、ホーム(レイソル)のサポーターと、アウェーチームのサポーターを完全隔離する方式を打ち出した。更にフードコートとイベント会場は、それまでと反対側のホーム側自由席裏にあるテニスコートに移動した。アウェー側自由席のチケットを持つ人はアウェー側自由席のスタンドと、その裏にあるフードコート跡地のテニスコートの北半分のみしか行く事が出来なくなり、フードコートとイベント会場に足を運ぶ事が不可能になった。そのため相手クラブのユニフォームを着て観戦する目的でかつホーム側のフードコートを利用したい場合は唯一ビジターグッズ着用が認められているSS席のチケットを購入するしかない。ただし、その場合でもフードコートエリア内は私服に着替えてから利用することとなる。
これは、2008年の日立柏サッカー場で行われる試合に適用される暫定措置であり、翌年以降の試合については未定となっていたが、2011年度もこの形態は維持されている。
周辺
柏市の住宅地(第一種低層住居専用地域)に囲まれている。元々は日立製作所の福利厚生施設である「日立柏総合グラウンド」の中にあり、同じ敷地内の西側には上記の「日立柏体育館」と溜め池があり(通常は空堀状態)、その溜め池を挟むように稲荷神社の社がある。この稲荷神社はレイソルサポーターからは「日立台稲荷」の愛称で親しまれ、よくサポーターからのお供え物(カップ酒が多い)が供えられている。柏市は戦時中の空襲による被害は受けていないが、当地が軍需工場の跡地に建てられたため、この神社は戦没者供養のためにも建っていると言われている。
反対側の東側にはレイソル関係者が使用する駐車場とレストラン「ピアノ」がある。
スタジアムから北西方向に柏駅及び柏の市街地へと通じる道路(「レイソルロード」と呼ばれる)が伸びていて、その道の手前には千葉県警の交番とレイソルのマスコット「レイくん」の銅像が立っている。
その他
1993年と1994年のJFLにおいて、富士通サッカー部と本田技研のホームゲームが各1試合ずつ開催されている。いずれも対戦相手は柏レイソルだったため、ホーム権譲渡試合ともいわれている。
サッカー漫画GIANT KILLINGで、主要な舞台である「イースト・トウキョウ・ユナイテッド(ETU)」の本拠地「隅田川サッカー場」が登場するが、このサッカー場は日立柏サッカー場をモチーフに描かれたという。そのことから2010年3月21日にあった柏レイソル対アビスパ福岡の試合前に、NHKデジタル衛星ハイビジョンなどでのテレビアニメ放送記念のコラボレーションイベントが行われた。(ETUのマスコット「パッカ」と、BS-1Jリーグタイム司会(当時)のタレント・山岸舞彩による始球式や、この作品に登場する食堂のカレーを再現するケータリングコーナーの特設など)
ギャラリー
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改装前のスタジアム
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バックスタンドからアウェイゴール裏を望む
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電光掲示板とアウェイサポーター席
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改装されたホームゴール裏入口。通称「柏熱地帯」
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「柏熱地帯」からバックスタンドとアウェイゴール裏を望む
脚注
- ↑ 「柏革命 J1初制覇」(下) - 2011年12月6日付日本経済新聞朝刊
- ↑ 柏レイソル公式サイトのリリース
- ↑ 日立台後方日記・募金活動を通して(2011年3月30日)
- ↑ 日立柏サッカー場の隔離
- ↑ 入退場方法など
- ↑ 2010年12月10日・朝日新聞
- ↑ その映像
- ↑ 日立柏サッカー場入場ゲート建設プロジェクト・デザイン&ネーミングが決定!参照