ニュー・ウェーブ (SF)
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SFにおけるニュー・ウェーブ運動は、1960年代後半に世界的に広がっていた反体制運動に強く影響されている。その主張は「SFは外宇宙より内宇宙をめざすべきだ」というもので、その直接の影響下に書かれた作品には、「結晶世界」(J・G・バラード)や「虚像のエコー」、「リスの檻」(共にトマス・M・ディッシュ)、「地球の長い午後」(ブライアン・オールディス)といったものがある。
イギリスで始まったニュー・ウェーブ運動は、その後アメリカ合衆国へと舞台が移った。
日本では山野浩一が専門誌『季刊NW-SF』を主宰して、自らも作品を執筆。日本のニュー・ウェーブ運動の先導役を務めた。この他にも筒井康隆、荒巻義雄、野阿梓、飛浩隆などが意欲的な作品を発表した。
1970年代に入ってニュー・ウェーブ運動そのものは急速に沈静化していったが、SFを縛っていた様々な制約(例えば性的な描写をしないなど)を打破し、沈滞していたSF界に再び自由と活気をもたらした。またSFにおける文章表現の洗練にも貢献した。