マクワウリ
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テンプレート:生物分類表 マクワウリ(真桑瓜、英名: Oriental Melon)はメロンの一変種。また、その果実のこと。ウリ科キュウリ属で学名はCucumis melo var. makuwa。
概要
種としてのメロン (Cucumis melo) は北アフリカや中近東地方の原産であり、紀元前2000年頃に栽培が始まった。そのうち、特に西方に伝わった品種群をメロンと呼び、東方に伝わった品種群を瓜(ウリ)と呼ぶ。マクワウリも瓜の一つである。古くから日本で食用にされてきたため、アジウリ(味瓜)、ボンテンウリ(梵天瓜)、ミヤコウリ(都瓜)、アマウリ(甘瓜)、カンロ(甘露)、テンカ(甜瓜)、カラウリ(唐瓜)、ナシウリ(梨瓜)といった様々な名称で呼ばれてきた。さまざまな品種があり、黄金色に熟するマクワウリは、金瓜・黄金マクワウリとも呼ばれる。
歴史
12世紀頃から美濃国(岐阜県南部)真桑村(のちの真正町、現:本巣市)にてよく作られていたため、マクワウリの名前がつけられた。この系統のウリが日本列島に渡来したのは古く、縄文時代早期の遺跡(唐古・鍵遺跡)から種子が発見されている。
利用
放射状に切って先割れスプーンなどですくったり、そのままかぶりついたりして食べるが、メロンほどの甘味は無い。お盆のお供えとしてよく使われる。
韓国では、現在もブドウやスイカと並ぶ夏場のポピュラーな果物の一つで、各地で盛んに栽培され、郊外や農村には直売所が設けられている。
特徴
果皮
品種が多く、果実も様々な色や形のものがある。代表的なものはアメリカンフットボール状の形態で、果皮の色については以下の3色系統が存在する。
品種
- 緑色系
- 味瓜(アジウリ)
- 果皮が緑色で甘味が強い。果皮は緑色、果肉は淡緑白色。マスクメロンのような香りがある。
- 落瓜(オチウリ)
- 愛知県が原産。果皮は深緑色、緑色の縦縞。
- 甘露甜瓜(カンロマクワウリ・カンロマクワ)
- 果皮は緑色、深緑色の縦縞。果肉は淡緑白色。マスクメロンのような香りがある。
- 北海甘露(ホッカイカンロ)
- 白色系
- 梵天瓜(ボンテンウリ)
- 奈良県が原産。果皮は白色。
- 梨瓜(ナシウリ)
- 石川県が原産「中奥梨瓜」「加賀梨瓜」としても流通。果皮は白色、果肉は白色。
- 北海甘味瓜(ホッカイアマアジウリ)
- 北海道の改良品種。萩澤育種研究場(恵庭交配)にて開発された。果皮は灰色、深緑の縦縞。果肉は緑色。マスクメロンのような香りがある。
- 黄色系
- 金瓜(キンウリ)
- 果皮は黄色。
- 金真桑瓜(キンマクワウリ)
- 果皮は黄色、果肉は白色。
- 金俵甜瓜(キンピョウマクワウリ・マクワ)
- 愛知県が原産。果皮は黄色。
- 銀泉(ギンセン)
- 果皮は黄色、白色の縦縞。果肉は白色。
- 銀泉甜瓜(ギンセンマクワウリ・マクワ)
- 果皮は黄色、白色の縦縞。果肉は白色。
- 谷川瓜(タニガワウリ)
- 京都府で生産。果皮は赤みを帯びた黄色。深緑の斑がある。
- 南部金甜瓜(ナンブキンマクワウリ)
地方名
- 味瓜(アジウリ):北海道・東北・中国地方での呼称。
- あじゅうり:秋田県での呼称。果肉は黄緑色のもの味瓜を指す。
- 甘瓜(アマウリ):富山県での呼称。果皮が黄色、果肉は白色のものを指す。
- 甘露(カンロ):北海道地方での呼称。
- 甘露甜瓜(カンロマクワウリ・カンロマクワ・カンロメロン)
- 甜瓜(テンカ・マクワウリ・マクワ):東北地方以南での呼称。
- 真桑瓜(マクワウリ・マクワ):正式名、学名にも由来。岐阜県真桑村より命名。
- マッカ瓜(マッカウリ・マッカ・金マッカ):関西地方での呼称。果皮が黄色のものを指す。
- メロンウリ:マスクメロンのような香りがあるものを指す。
交配品種
- プリンスメロン
- 網干メロン(アボシメロン)
- マクワウリの一種と西洋メロンの交配品種。1921年より栽培、1927年に命名。兵庫県立蔬菜採種場で改良。主に兵庫県姫路市周辺で栽培。
- 妻鹿メロン(メガメロン)
- 古来、ペッチンウリとして栽培、1930年に「妻鹿メロン」と命名。
- タイガーメロン
- マクワウリの一種と西洋メロンの交配品種。果皮が緑・黄色の縦縞、果肉は白色。株式会社タカヤマシード(高農交配)が開発。
- キンショウメロン、キンショーメロン
- マクワウリの黄色種とスペイン系メロンとの交配品種。