森伊蔵
森伊蔵(もりいぞう)は、日本の鹿児島県垂水市に本拠を置く酒造メーカー・森伊蔵酒造より発売されている芋焼酎のブランドである。
特徴
鹿児島産の有機栽培のサツマイモを原料とし、手間の掛かる伝統的なかめつぼ仕込みにより生産している。イモ臭さを除去したまろやかな味を特徴としている。「幻の焼酎」として知られる。「魔王」「村尾」と合わせて「3M」と呼ばれる。
フランスの元大統領・ジャック・シラクは森伊蔵が大好物であるとされている。当時のトヨタ自動車社長・張富士夫がレジオンドヌール勲章を受けた返礼として12本を持参したところ、叙勲式で「これ以上うれしいことはない。よくぞこれだけの本数をそろえていただいた。私のことをアルコール中毒と思わないでくださいね」と語って周囲を笑わせたという[1]。
日本航空では、国内線および国際線ファーストクラスで通年提供しており、当該クラスの乗客は無料で味わうことが出来る。なお同様のサービスを提供しているのは世界の航空会社では日本航空のみである[2][3]。
森伊蔵の由来
「森伊蔵」の裏ラベルに「かめ壺焼酎森伊蔵は、初代より受け継いだ技で、契約栽培のさつまいもを昔ながらのかめ壺でじっくりと熟成発酵させた焼酎です。甘味のあるまろやかな味わいは、蔵元として自慢の焼酎です。 五代当主」とある。森伊蔵酒造の4代目の名前が由来である。焼酎の銘柄で、人名をブランド名にするはしりでもあった。かつての銘柄は「錦江」。このラベルもいくつかの変遷を経ている。最初は「契約栽培」ではなく「有機栽培」だった。
販売方法
公式の店頭販売価格は1.8 リットル入り1本2,225円で、日本全国65店の特約店での販売のほかに毎月15日に電話で申し込みを受け付けて抽選により販売が行われている。かつては垂水市の生産元で直接販売もしていたが、発売日に日本全国から人が集まるようになり、警察が出動するなどの騒ぎになったことから電話受付となった。電話受付になってからも、2時間に100万本を超える電話が殺到してNTTの交換機がハングアップする事態を引き起こしたため、1999年からは電話で受け付けた中から抽選で販売するようになっている[4]。この電話による抽選は、確率約0.2 パーセントとされている[5]。
また、毎年3月から5月の期間限定で日本航空の国際線F/Cクラスで機内販売が実施される(ヨーロッパやアメリカ、ホノルル各路線、原則として1人1本)。
市場に出回った森伊蔵は、オークションやブローカーなどを通じて転売されて1本3万円を超える値段になることもある[5]。銀座の高級クラブなどでは、1本15万円で出すこともある[5]。1983年頃は知名度に乏しく、量販焼酎並みの価格で売られていた。ただし、その頃も店頭販売はほとんどなく米屋等を介して飲食店等へ販売されていた。
森伊蔵の種類
- 森伊蔵 1800ml
- 森伊蔵 720ml(いわゆる金ラベル)
- 森伊蔵(日本航空国際線機内販売限定)720ml 国際線(欧米、ホノルル路線)の全クラスで3月から5月までの期間限定で購入できる。1本3,000円。
- 極上森伊蔵 720ml 熟成3年(かつては「極上の一滴」としていた)
- 楽酔喜酒 森伊蔵 600ml 長期熟成 - 2006年11月に高島屋、山形屋(鹿児島県)、日本航空のシカゴ線で3,000本限定発売された。
終売銘柄
- 森伊蔵 (JALUX) 720ml 約1年間JALUXで抽選販売していた。
- 杜氏森伊蔵 1800ml(いわゆるグリーンラベル)
- 隆盛翁 720ml
- あ〜玉杯の同期720ml
- 同期の桜720ml
- 錦江 1800ml
偽装事件
希少な焼酎であることから、インターネットオークションで偽造品が出回る問題が発生したことがある。森伊蔵のラベルを偽造し、他社の焼酎を入れた瓶に貼り付けてオークションに出品したもので、約160本を販売して代金約400万円を騙し取ったとして大阪府の飲食店経営者が逮捕され、詐欺罪により懲役2年6か月の実刑判決を受けている[6]。
商標問題
福岡県大牟田市の会社によって、中国で無断で商標登録申請が行われていたことが、2010年2月に発覚した。問題の会社は、連絡が取れなくなっているという[7]。
エピソード
元プロ野球選手の木村一喜(広島→楽天)は、広島所属時代の2005年の春季キャンプで、山本浩二監督が愛飲していた焼酎・森伊蔵を盗み飲みしたのがバレて、罰としてヘルメットと背中に野村謙二郎が書いた「森伊蔵を飲んだのは私です」の張り紙を張られたことがあった[8]。後日、森伊蔵を製造する森伊蔵酒造から森伊蔵1本をプレゼントされたという。そのお返しに木村が広島グッズをプレゼントしたと言う逸話がある。
脚注
外部リンク
- 森伊蔵酒造ホームページ
- 日本航空「森伊蔵とJALファーストクラスのコラボレーション」五代目当主森覚志のインタビュー