バダフシャーン州
テンプレート:Infobox settlement バダフシャーン州(Badakhshān Velāyat、パシュトー語:د بدخشان ولايت、ダリー語表記:استان بدخشان)は、アフガニスタン北東部の州である。面積は4万4836平方キロメートル(34州中5位)[1]、総人口は約90万人(34州中10位)[1]、人口密度は20人/平方キロ(34州中28位)である[1]。州都はファイザーバード市。
目次
地理
ほとんどの地域はヒンドゥークシュ山脈とパミール高原の山地である。ヒンドゥークシュ山脈とアムダリヤ川に囲まれており、タジキスタン(ゴルノ・バダフシャン自治州)とアフガニスタンにまたがるバダフシャーン地域の一部を成している。バダフシャーン州は北側と東側でおもにタジキスタンと国境を接している。
南東はパキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州で、チトラールの北部に東西に伸びるワハーン回廊は、パミール高原を貫き、僅かながら中国と国境を接している。南はヌーリスターン州、西はタハール州。
歴史
青銅器時代・古代
古代のインダス文明はメソポアミア・ハラッパー路を通じて、金などの貴金属や木材をメソポタミア文明に輸出していた。ガンダーラの首都はパキスタンのタキシラにあり、ジャララバードからクナール川沿いの渓谷をチトラルまで登ってバダフシャーン州のコクチャ川に至り、川沿いの渓谷を下ってタハール州に入りパンジ川に達する古道は、ヒンドゥークシュ山脈を越えてアムダリヤ川に達する重要な街道の1つだった[3]。またこの街道沿いにはラピスラズリを産出するテンプレート:仮リンクがあり、メソポタミア文明に対する重要な輸出品の1つとなっていた。
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中世
13世紀後半、中国に向かう途中のマルコ・ポーロがバダフシャーン州を訪れた。その頃のバダフシャーンは巴達哈傷と呼ばれており、タジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州と合わせて4面12行程の広大な王国があったと言う。住民は独自の言語を持ち、獣皮の服を着て羊を飼っていた。王はアレクサンダー大王とダリウス王の娘の子孫であり、「ズルカーネイン」の称号を名乗って居たと言う。街は防御に適した高地にあり、寒さは厳しいものの頂上部の広大な台地には草木が生い茂り、水や魚や鳥が豊富で良質な小麦が採れ、良馬を産出し、かつてはブケパロスの子孫が居たという伝説もあった。その他に碧玉や群青、銀・銅・鉛なども産出し、特にバラス紅玉(Badakhshi Ruby)は国王が独占的に採掘していた。空気が綺麗で硫黄泉もあったので、マルコポーロは1年間滞在して病気を治したと言う[4]。
冷戦時代
1979年には、ムジャーヒディーンと侵攻したソ連軍の交戦の中心となった。1980年、ファイザーバードはソ連軍によって攻略され、以降ソ連の主要な防衛拠点となった。
冷戦終結後
バダフシャーン州はテンプレート:仮リンクの幹部のブルハーヌッディーン・ラッバーニーの出身地であり、アフマド・シャー・マスードの出身地にも隣接していた為、イスラム協会の拠点の1つだった。ラッバーニーは1993年にカーブルでアフガニスタン・イスラーム国の大統領に就任したが、すぐに内戦が始まった。1996年にターリバーンはカーブルを占領し[5]、1997年から1998年にかけて近隣のクンドゥーズ州やバルフ州、バグラーン州の州都を次々と占領した[6][7]。バダフシャーン州でもイスラム聖職者の反乱が起きたので、ラッバーニーはタジキスタンに亡命した[7]。1998年の2月と5月にはマグニチュード5.8とマグニチュード6.6の地震が発生し、バダフシャーン州やタハール州を中心に数千人の住民が死亡した[8]。バダフシャーン州ではその後も2002年から2011年までの約10年間で、3回の中規模地震と1回の大規模地震が発生している。無人の山中で地震が発生し被害が無い事も多いが[9]、2002年3月のアフガニスタン北部地震(Mw7.4)ではバダフシャーン州やタハール州で300戸の住宅が被害を被った[10]。
アメリカ同時多発テロ事件以降
2001年9月、アメリカ同時多発テロ事件が起き、10月にはアメリカ合衆国がアフガニスタンに侵攻した。アメリカや有志連合、北部同盟の軍隊は、11月中にアフガニスタン北部からターリバーンを追放した。2004年10月、第一回の大統領選挙が実施され、バダフシャーン州ではユーヌス・カーヌーニー(約40%)が最多得票を得た[11]。2007年、戦争は激しさを増しバダフシャーン州ではハレカテ・ヨロ作戦が行われた。一方、全国的には自爆テロや無差別爆撃によってISAFや民間人に多数の犠牲者が出た[12][13]。
第二回大統領選挙後
2009年8月、第二回の大統領選挙が実施され、バダフシャーン州ではアブドラ・アブドラ元外相が最多得票(約50%)を得た[14]。2010年、第二回の下院選挙と州議会選挙が行われたが、戦争は更に激しくなりISAFや民間人の死傷者が急増した[15][16]。バダフシャーン州では8月にNPOがKuran wa Munjan郡で襲撃され、10人が死亡する事件が起きた。2012年12月、ISAF軍はファイザバード市と7つの郡[17]の治安権限をアフガニスタン軍に移譲した[18]。
行政区分
バダフシャーンは、1市28郡を擁しており、郡の数はアフガニスタンで最も多い[1]。
- en:Arghanj Khwa District
- en:Argo District
- en:Baharak District, Badakhshan - en:Baharak, Afghanistan
- en:Darayim District
- en:Darwaz district
- en:Darwazi Bala District
- en:Fayzabad District, Badakhshan - ファイザーバード市
- en:Ishkashim District - en:Ishkashim, Afghanistan
- en:Jurm District
- en:Khash District
- en:Khwahan District - en:Khwahan, Afghanistan
- en:Kishim District
- en:Kohistan District, Badakhshan
- en:Kuf Ab District
- テンプレート:仮リンク(テンプレート:仮リンクがある)
- en:Ragh District - en:Ragh
- en:Shahri Buzurg District - en:Shahr-e Bozorg
- en:Shighnan District
- en:Shekay District
- en:Shuhada District
- en:Tagab District, Badakhshan
- en:Tishkan District
- テンプレート:仮リンク(ワハーン回廊が位置する)
- en:Wurduj District
- en:Yaftali Sufla District
- en:Yamgan District
- en:Yawan District
- en:Zebak District - en:Zebak, Afghanistan
主要都市
バダフシャーン州ではArgo郡やKishim郡(約8万人)、州都やDarayim郡(約6万人)、Shahri Buzurg郡やYaftali Sufla郡(約5万人)などファイザバード周辺の州西部に多くの住民が居る。人口1万人以上の都市はコクチャ川沿いにある州都ファイザバード(3万6100人)であり、その南にあるJurm(3500人)にも都市部がある[19]。ファイザーバードは北東アフガニスタンとパミール高原地帯の商業と行政の中心地で、稲作と製粉も行なわれている。冬期には深い雪によって孤立することがあるテンプレート:要出典。
産業
農業
種類 | 生産量 | 順位 |
---|---|---|
小麦 | 16万8000トン | 11位 |
大麦 | 1万8000トン | 9位 |
米 | 1万4634トン | 9位 |
とうもろこし | 2464トン | 26位 |
アーモンド | 225トン | 9位 |
りんご | 70トン | 18位 |
グレープフルーツ | 30トン | 25位 |
桃 | 25トン | 14位 |
ザクロ | 18トン | 18位 |
バダフシャーン州は大麦(34州中9位)や米(34州中9位)、アーモンド(34州中9位)の生産量が全国的に見て上位にあり、小麦(34州中11位)の生産量も平均的である[20]。 テンプレート:-
鉱業
バダフシャーン州では1960年代にソビエト連邦が金鉱脈を発見し、VekaDurやRishabなどの採鉱有望地を設定した。2011年から入札が行われ、2012年にトルコのTurkish-Afghan Mining Company(TAMC)が優先入札権を獲得した[21]。
住民
民族
バダフシャーン州で最も人口が多いのはタジク人であり、ウズベク人、パシュトゥーン人、トルクメン人、ヌーリスターン人が続く[22]。
言語
ダリー語が約8割(77%)を占め、ウズベク語(12%)、パシュトゥー語、トルクメン語、ヌーリスターン語が続く[22]。識字率は27%である[22]。
宗教
バダフシャーン州やタジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州などのパンジ川の上流部にはパミール人がおり、シーア派のイスマーイール派(ニザール派)を信仰している。
脚注
関連項目
参考文献
外部リンク
テンプレート:Navbox テンプレート:Geographic location
テンプレート:Afghan-stub- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「ira
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 「シルクロードの古代都市」P29の地図を参考に作成
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 7.0 7.1 テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ アフガニスタンの地震一覧
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ シャフレボゾルグ郡、ヤフタレソフラ郡、アルガンジ郡、バハラク郡、タシュカン郡、ケシェム郡、オルゴイ郡
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 20.0 20.1 テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 22.0 22.1 22.2 テンプレート:Cite web