トゥルク
トゥルク (Turku) は、フィンランド南西部の町であり、バルト海に面す。南西スオミ県の県庁所在地である。トゥルク郡に属する。フィンランド最古の町として、また旧首都として知られ、かつては主要なハンザ同盟都市であった。スウェーデン語名は、Åbo(オーボ)。
1229年にローマ教皇がこの地に司教座をおいたことから町が築かれたといわれる。1640年にスウェーデンのクリスティーナ女王によって、オーボ王立アカデミー(ヘルシンキ大学の前身)が建設された。以来1812年にヘルシンキが首都となるまでフィンランドの中心都市として栄えた。
概要
フィンランドの南西部に位置する港湾都市。町の中心にアウラ川が流れ、港近くのトゥルク城や少し上流のトゥルク大聖堂がシンボル。中心にマーケット広場 (kauppatori) があり、夏はアウラ川沿いにカフェテラスがあり、またクラシックからポップスまで様々なジャンルの音楽が集結したトゥルク音楽祭も開かれる。12月から1月にかけては美しいクリスマスイルミネーションに彩られる。
バルト海に面した港湾都市として歴史的にスウェーデンとのつながりが強く、現在でも人口の5%程度はスウェーデン語を母語とする。スウェーデン語名Åbo(オーボ)は、歴史的にスウェーデン語話者が集住していたアウラ川左岸の地区名に由来する。
過去に何度も大火に見舞われた上、第二次世界大戦の激しい空襲も経験しており、古くからの街並みはほとんど残っていない。今でも工事中に不発弾が発見されることもある。
ヘルシンキからは、フィンランド国鉄VRの特急ペンドリーノを使えば2時間弱。フィンランドでは都市間を結ぶ長距離バスのネットワークが発達しているので、これを利用してもよい。トゥルク市郊外にはトゥルク空港があり、飛行機の利用も可能。
国際的な交通としては、スウェーデンの首都ストックホルムと結ぶヴァイキング・ライン、シリヤラインのバルト海クルーズが有名である。
トゥルク市内の一番土地の高い場所テンプレート:要出典、市内を一望できる小丘(Kakolanmäki カコランマキ)にはトゥルク刑務所があったが、2007年秋に移転した。トゥルクは、カコランマキを含む7つの丘を擁する町として知られている。
日本との関連
トゥルクには、ポート・アーサー(旅順)という地区がある。Port Arthur のフィンランド語での読み方は "ポルト・アルトゥル" に近い("ポート・アーサー" は英語読み)。地元では略して Portsa"ポルツァ" と呼ばれている。20世紀初頭に労働者向けの住宅地として開発されたのが、この地区の始まりであった。現在では、クラシックな木造家屋が立ち並ぶ高級住宅街となっている。
Port Arthurという地区名が旅順に由来するが、これは、特に日露戦争における旅順での日本の勝利を祝って命名された、といった性格のものではない。地区名の由来として、Portsa ry(この地区で活動する住民組織) のウェブサイト[1]に紹介されているのは、次のようなエピソードである。
1900年代の初め、開発中のこの地区で作業をしていた石工が、少年たちに度々「なにを作っているの」と尋ねられ、あるとき「新しい Port Arthur 要塞」と答えた。当時、日露戦争でロシアが旅順(=Port Arthur)要塞を失ったことは、大きな話題になっていた。この石工の答えから、新しい地区が Port Arthur と呼ばれるようになったという。
トゥルクを中心とした日刊紙であるTurun Sanomat(トゥルン・サノマット)紙のインターネット版[2]にも、同様のエピソードを紹介した記事が掲載されている。
日露戦争当時、フィンランドはロシアの自治領であり独立の気運が高まっていた。また、日本はフィンランドの独立活動家などへ武器の輸出を行っていた。 日本がフィンランド独立のために武器援助を行った大砲が今でもトゥルク市のトゥルク城に展示されている。
名所・旧跡
- トゥルク城 (Turun linna)
- トゥルク大聖堂 (Turun tuomiokirkko)
- ヴァイノ・アールトネン美術館 (Wäinö Aaltosen museo)
- ルオスタリンマキ手工芸博物館 (Luostarinmäen Käsityöläismuseo)
- シベリウス博物館 (Sibeliuksen museo)
トゥルク出身の人物
- アクセル・アイロ:軍人
- ヨハン・ガドリン:化学者、鉱物学者
- マルコ・キッティ:作家
- ペンッティ・キルスティラ:作家
- マウノ・コイヴィスト:政治家、元フィンランド首相、元フィンランド大統領
- ヤーノ・サーリネン:元オートバイレーサー
- パーヴォ・ヌルミ:陸上競技オリンピック金メダリスト
- ニクラス・モイサンデル:サッカー選手、同フィンランド代表
- サンパ・ラユネン:ノルディック複合オリンピック金メダリスト
- ハリ・ラルバ:陸上競技オリンピック金メダリスト
- タル・リンネ:元オートバイレーサー
- アンダース・レクセル:天文学者
- アルト・ノラス:チェリスト
姉妹都市
- テンプレート:Flagicon ベルゲン、ノルウェー
- テンプレート:Flagicon サンクトペテルブルク、ロシア
- テンプレート:Flagicon セゲド、ハンガリー
- テンプレート:Flagicon グダニスク、ポーランド
- テンプレート:Flagicon フィレンツェ、イタリア
- テンプレート:Flagicon イェーテボリ、スウェーデン
- テンプレート:Flagicon オーフス、デンマーク
- テンプレート:Flagicon ロストック、ドイツ
- テンプレート:Flagicon ケルン、ドイツ
- テンプレート:Flagicon ヴァルナ、ブルガリア
- テンプレート:Flagicon ブラチスラヴァ、スロヴァキア
- テンプレート:Flagicon コンスタンツァ、ルーマニア
- テンプレート:Flagicon 天津、中国
関連項目
- フィンランド / ヘルシンキ
- スウェーデン
- バルト海クルーズ / バルト海
- トゥルク (小惑星)
- FCインテル・トゥルク(トゥルクに本拠地を置くサッカークラブチーム)
- TPS(トゥルクに本拠地を置くサッカークラブチーム)
外部リンク
- トゥルク情報 (日本語)
- フィンランド政府 (英語、フィンランド語、スウェーデン語)
- Visit Finland(旧フィンランド政府観光局) (日本語)
- 在東京フィンランド大使館 (日本語)
脚注
- ↑ 外部リンクPortsa ry
- ↑ 外部リンクTurun Sanomat紙2007年5月12日付記事