フレーザー島
フレーザー島(Fraser Island)はオーストラリア・クイーンズランド州にある島で、世界でもっとも大きな砂島である。1992年、ユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。島はブリスベンから北に約300kmの所にあり、南北123km、幅25km、島の最高高度は240mである[1][2]。島のほぼ全域がグレート・サンディ国立公園として国立公園に指定されている。
概要
「フレーザー島」の名前は、キャプテン・ジェームス・フレーザーの妻でエリザ・フレーザー(Eliza Fraser)が乗船していたスターリング・キャッスル号が難破しこの島へ流れ着いたのが由来であるとされる。しかし、この話には様々なバージョンがあり、どれが正確な情報であるか分かっていない。
島の元の名前は原住民(アボリジニ)バッチュラ族による「クガリ」(K'gari)である[2]。クガリはパラダイスを意味する。かつて島内にはバッチュラ族を始めとする600~1000人のアボリジニが住んでいたとされるが、入植者である西洋人がアボリジニを退けたため、20世紀初頭にこのアボリジニ集団は消滅した。現在では観光従事者など100人余りが島内に定住している。
フレーザー島の浜辺には難破船マヘノ号(Maheno)の残骸が打ち上げられている。マヘノは1905年にオーストラリア-ニュージーランド間を航行する客船として建造され、第一次世界大戦中にはイギリス海峡で病院船としても利用された。1935年にスクラップ処分のためメルボルンから日本へ曳航される際に強いサイクロンに遭って打ち上げられ、現在は観光スポットの一つとなっている。
フレーザー島の淡水湖は世界で最も透明度の高い湖のひとつである。有名な湖としてマッケンジー湖が上げられる。この湖も観光客のレジャースポットとなっている。砂が石英であり、かつ水は酸性を示すため、髪、歯、宝石などの洗浄に適し、また人の肌を剥離させる効果がある。石鹸やサン・オイルの使用はもとより、ここでの排尿は湖の透明度を下げるので慎むべきである。
島にあるエリー川は非常に良いレジャースポットであり、ハイキングの他、水泳を楽しむことも出来る。
観光
島全域が一般にも公開されており、観光客は海辺でのキャンプを楽しんだり、ザトウクジラやイルカの出現を見たりすることが出来る。特にハービー湾は、繁殖と子育てのために訪れるザトウクジラの観察スポットとして有名である。
ハービー・ベイやヌーサなどの近郊の街からはもとより、ブリスベンやゴールドコーストからも多数のツアーが実施されているほか、個人で訪れる観光客も多い。
島内ではキャンプ、ブッシュウォーキング、釣り、水泳などの活動が楽しめる。
交通
航路
カーフェリーで島に渡れる場所は以下の3地点である。なお、島内を走れる車は4WDのみであり、また許可が必要である。
- ハービー・ベイから島の西側のムーン岬へ
- ハービー・ベイ南側のリバーヘッドからキングフィッシャー湾とワンガグールバ川へ
- レインボー・ビーチの北のインスキップ岬から島の南端のフック岬へ
空路
ハービー・ベイ空港とマルチドール空港より飛行機で行くことが出来る。
動物相
野鳥は350種以上確認されており、特に渡り鳥の中継地点として重要な地点でもある。また絶滅が危惧されるキジインコ(Ground Parrot)の生息地でもある[2]。 哺乳類は47種確認されている。特に、フレーザー島は純血のディンゴの生息地としても知られ、島内には120から150頭が生息するとされている[2]。ディンゴとの交雑を避けるためにも人間に飼われている犬の島への持ち込みは禁止されているほか、島内の動物を守るためにもペットの持ち込みは禁止されている。
一方で、2001年に男の子がディンゴに襲われて死亡する事故が起きたほか、増加した観光客との偶発的な事故がたびたび起きており、ディンゴの保護管理計画も策定されている[3]。
登録基準
この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。テンプレート:世界遺産基準/coreテンプレート:世界遺産基準/core
脚注
外部リンク
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