にっぽん丸
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にっぽん丸は、日本の大手海運会社商船三井の外航客船部門担当会社商船三井客船(通称:MOPAS)が運航する、外航クルーズ客船である。
目次
にっぽん丸(初代)
- 1958年竣工
- 総トン数 10,770トン
- 全長 145m
- 定員 431人
- 商船三井客船保有のあるぜんちな丸(2代目)が1972年に南米航路から撤退したことを受け、貨物室を客室に改装して「にっぽん丸」と命名された。
- 1976年、老朽化に伴い、2代目にっぽん丸が導入され、引退した[1]。
- 1977年、解体。
にっぽん丸(2代目)
- 1962年、ユーゴスラビアにて竣工
- 総トン数 9,772トン
- 全長 150m
- 定員 534人
- ブラジルのフェリー、「Rosa da Fonseca」を商船三井客船が購入、「Seven Seas」として運航していたものが改名され、2代目にっぽん丸として運航を開始した。
- 1990年、3代目にっぽん丸の導入に伴い、引退した[1]。
- 引退後、インドネシアに売船され、「Athirah」として活躍した。
- 1998年、インドのアラングにて、解体された。
にっぽん丸(3代目)=現にっぽん丸
- 1990年9月27日竣工。
- 2代目にっぽん丸に代わる客船として、1990年に三菱重工業神戸造船所で建造された[1]。
- 1990年3月に三菱重工業神戸造船所で進水式が執り行われ、紀宮清子内親王による「にっぽん丸」命名と支綱切断が行われた[1]。
主要目
- 総トン数 - 22,472トン[2](2010年大改装まで21,903トン)
- 乗客定員 - 202室・524名(最大)(2010年大改装まで184室・532名(最大))
- 主機関 - ディーゼル 10,450ps×2基
- 巡航速力 - 18ノット
- 最高速力 - 21ノット
- 全長 - 166.65m
- 全幅 - 24.00m[2]
- 喫水 - 6.6m
- 船内電圧 - 100ボルト/60Hz
- 航行海域 - A1 A2 A3 国際遠洋
- 船籍 - 日本・東京
- 船舶番号 - 131992
- コールサイン - JNNU
- 海上移動業務識別番号 - 431302000
- 船舶識別番号 - IMO-8817631
- 船級 - 日本海事協会
- 船級番号 - 902258
- インマルサットC テレックスID - 443130210
船内設備(2010年大改装後)
- 1階
- クリニック(診療所)
- テンダーゲート
- スタンダードステートルーム(18室)
- 2階
- メインエントランス
- フロント
- クルーズサロン
- メインダイニングルーム「瑞穂」
- スーペリアステートルーム(8室)
- コンフォートステートルーム(17室)
- 3階
- デジタルラボ「ドルフィン」
- ツアーデスク
- グランドバス(大浴場)
- ボディケア
- 自動販売機
- セルフランドリー
- コンフォートステートルーム(80室)
- 4階
- プロムナードデッキ
- ビスタスポット
- ドルフィンホール
- ドルフィンバー
- スーペリアステートルーム(42室)
- スーペリアステートルーム(車椅子対応)(2室)
- 5階
- ネプチューンバー
- カードルーム
- Eカフェ&ライブラリー
- ブティック「アンカー」
- ショップ「ブイ」
- ドルフィンラウンジ
- カジノラウンジ「ビギナーズラック」
- コンファレンスルーム
- デラックスルーム・ベランダ(16室)
- デラックスルーム・ツイン(4室)
- デラックスルーム・シングル(4室)
- 6階
- ラウンジ「海」
- マーメードシアター
- ミッドシップバー
- オーシャンダイニング「春日」
- 寿司バー「潮彩」
- 操舵室
- 無線室
- グランドスイートルーム(2室)
- ビスタスイートルーム(4室)
- ジュニアスイートルーム(3室)
- 7階
- ホライズンラウンジ&ホライズンデッキ
- 茶室「吉野」
- スパ&サロン
- オアシススタジオ&ジム
- リドバー&グリル
- リドテラス
- プール(全天候天井開閉式)
- スポーツバー
- スポーツデッキ
- 8階
- サンデッキ(ウォ-キングトラック)
改装
- 2001年1月(第1回改装)
- ステートルームの内装を一新
- 2001年12月(第2回改装)
- スイートルーム・デラックスルームの内装を一新
- 2階エントランスホール、エレベーター内、及び各階エレベーターホールの内装を一新
- CSデジタル放送受信設備を新設
- 2003年2月(第3回改装)
- 6階ピアノラウンジをベランダと一体化してラウンジ「海」に改装
- 6階マーメイドサロンをカジノサロンに改装
- 2階ダイニングルーム「瑞穂」の内装を一新し、座席数を増加
- 5階ブティック「アンカー」の内装を一新
- 5階ショップ「ブイ」を、スポーツマッサージやネイルケアのためのリラクゼーションサロンに変更
- 2階のフィットネスセンターに替え、7階スカイベランダにフィットネスコーナーを設置
- スイートルーム・デラックスルームのトイレにウォッシュレットを設置
- 全客室・主要公室に水噴霧式消火装置を設置
- 2006年1月(小改装)
- ステートルームのトイレにウォッシュレットを設置
- 2階エントランススペースを分煙化、喫煙コーナーを設置
- 2009年11月~2010年2月(大改装)[1][3]
- 客室を18室増設、デラックス仕様へ変更
- 上級客室25室へのバルコニーの新設
- ステートルームAの内装を一新
- 非接触型ICカードキーシステム導入
- プレミアムダイニング、寿司コーナー、スパ(既存施設の統合)、ビスタラウンジ、ウッドデッキの新設
- バーの増設
- スポーツジムの拡充
- 新型テンダーボートの搭載、及びこれに伴う乗降口の新設
- 船体のカラーを白一色から、濃紺と白のツートンカラーに塗り替え
撮影
- ドラマ『富豪刑事デラックス』(朝日放送)(「プリンセス美和子号」の設定)
- ドラマ『喰いタン2』(日本テレビ)(主人公:高野聖也〈東山紀之〉がイタリアから横浜に帰国するときに乗ってきた。)
- 映画『名探偵コナン 水平線上の陰謀』(エンドロール部分)
- テレビCM『コナカ・ドナートヴィンチ編』(空撮)
テンダーボート
にっぽん丸に付属した初代のテンダーボートは、かつて独自の名前がつけられていた。右舷側が「あさなぎ」、左舷側が「ゆうなぎ」である。このテンダーボートは日本のクルーズ客船では珍しく、救命艇機能を有さないものであり、そのために漁船に近いフォルムであった。
大改装の際、上級客室へのベランダ設置のため、救命艇を大型化して数を減らすこととなり、この際両側各一艇がテンダーボートの役割を兼ねるため、両船ともにっぽん丸のテンダーボートとしての任務を離れた。救命艇はこの際廃船となったが、「あさなぎ」「ゆうなぎ」は売却されることとなった。
その後、「あさなぎ」は関東周辺を中心に沿海遊覧船事業を営む「ベルクルーズ」に買い取られた。同船は遊覧船「ゆ~みんアルファ2」に改装されて熱海での遊覧船事業に使用された。その後後継船「ゆ~みんジャック」の登場により大洗に移籍し、遊覧船「ゆ~みんパイレーツ」として引き続き使用されている。
一方の「ゆうなぎ」は築地川に留置されている。