ねこぢる
テンプレート:Redirect テンプレート:出典の明記 テンプレート:Sidebar with collapsible lists ねこぢる(本名:橋口 千代美、(旧姓は中山)1967年1月19日 - 1998年5月10日)は、日本の女性漫画家である。埼玉県北足立郡鳩ヶ谷町(現:川口市)出身。血液型B型 1990年、『月刊漫画ガロ』誌6月号掲載の『ねこぢるうどん』でデビューした。1998年5月10日、東京都町田市の自宅で自殺(縊死)。テンプレート:没年齢。
作品
ねこぢる作品の多くは、猫を主人公とする一話完結型もしくは4コマ漫画である。作者自身を主人公とした『ぢるぢる旅行記』や『ぢるぢる日記』などのエッセイ漫画でも、作者が猫の姿で描かれている。唯一の例外として、短編『つなみ』はヒトが主人公である。ねこぢるの作品には、猫のほかにも動物の姿をしたキャラクターが多く登場するが、話の舞台は人間世界であることが多い。
猫の「にゃーこ」と「にゃっ太」を主人公とした連作は評価が高い。死後公開されている『ねこぢるうどん 3』に収録された「夢のメモ」からもわかるようにねこぢる自身の夢の中の体験を基にした奇想天外な内容の作品が多数ある。マジックマッシュルームやLSDといった違法な薬物も作品中にたびたび登場する。
ねこぢるの夫である山野一は、「ねこぢるy」のペンネームで、ねこぢるワールドを引き継いで創作を続けている。なお、公式サイトにて漫画を二話無料で読むことができる。
ねこぢるの漫画は、テレビ朝日系のテレビ番組『爆笑問題のボスキャラ王』の1コーナーとして短編アニメ化されのちに『ねこぢる劇場』というタイトルのビデオとDVDで発売された。また、OVA『ねこぢる草』が製作されている。同タイトルのサントラも発売されている。
「にゃーこ」と「にゃっ太」
ねこぢる作品の多くは猫であるにゃーことにゃっ太が主人公として描かれた。にゃーことにゃっ太は子供であり、姉弟である。主婦の母と、工場勤務でアルコール使用障害の父を持つ。にゃーこは喋れるが、にゃっ太は猫の鳴き声でしか喋れないという設定。唯一の例外として、「かぶとむしの巻き」という作品では、にゃっ太が普通に喋るのが見られる。なお、この作品は2008年3月現在、ねこぢるyの公式サイト「ねこぢるライス」にて閲覧することができる。
山野一はエッセイ『インドぢる』において、このキャラクターの出生について言及している。それによると、ねこぢるが暇をもてあまし落書きをしていた時に、書いていたイラストがにゃーことにゃっ太の原型になっているとのこと。
【ねこ神さま】
ページ完結型で4コマ漫画に近い雰囲気の作品群。その作風は、にゃーこ・にゃっ太などが登場する幻想的な作品群とは若干異なっており、現実の社会や人間そのものについての鋭い風刺を多く含んでいる。うさんくさいが本物の「神様」である老人と、その弟子である「ねこ神」1号・2号が、さまざまな珍騒動を繰り広げる。
- ねこ神
- 主人公格のキャラクターで、神様の弟子。1号と2号がいる。前者は言葉を話すが、後者は猫の鳴き声でのみ発言する。1号は明るい性格だが気弱でおっちょこちょい。2号はおとなしく控えめな性格。魔法(?)によって、個人の望みを叶えることができる。が、しばしばろくでもない人間に加担してしまったり、トンチンカンな悩み解決をしたりして、騒動を巻き起こす。
- 神様
- 長い白ひげを生やした老人。世界の創造主であるらしいが、たいへんにダルい性格。テレビゲームやギャンブルは大好きだが、弟子たちに人助けを促されてもやる気を示さない。神様を名乗って変人扱いされたことに腹を立てたり、弟子たちの言動(いきなり核爆弾を持ち出すなど)に魔王からもあきれられたり、「なぜ宇宙にはなんにもないか」の「理由」を明かすなど、この神様にまつわるギャグ・エピソードも多い。
- 魔王
- 神様と対を成す存在で、世界を悪と汚濁で満たそうともくろんでいる。が、本来弱気な性格らしく、ひじょうにスケールの小さい悪(野グソ、コロッケそば食い逃げ等)ばかり行っている。
- 犬神
- 魔王の弟子。1号と2号がいる。真面目で道徳心が高い。ねこ神たちと同様に望みを叶える能力をもっており、ねこ神に対抗心を燃やしている。が、ねこ神たちだけでなく、師匠の魔王にも度々振り回されて、あたふたしている。
- 直子と啓一
- 準レギュラー格のキャラクター。一見平凡なカップルに見えるが、じつはかなり変わり者な二人。毎度、直子のトンチンカンな望みをねこ神が叶えてしまい、事態が悪化する。そのため啓一は、ねこ神を、「あいつらが来るとロクなことにならん」と避けている。
【デンキくん】
1997年4月、ねこぢるによる東京電力の宣伝キャラクター【デンキくん】がTVCMに登場し、翌年5月、作者の自殺を受けて打ち切られた。 デンキくんはTVCM放送中、TEPCO銀座館だけで展示され、作者自殺後も撤去されることなく展示されたが、大幅な改装リニューアル工事のため2002年3月31日で展示終了となった。
作品リスト
- ねこぢるうどん (3冊)「文藝春秋」
- ねこ神さま 「文藝春秋」
- ねこぢるまんじゅう 「文藝春秋」
- ねこぢるだんご 「朝日ソノラマ」
- ねこぢる食堂 「白泉社」
- ねこぢるせんべい 「集英社」
- ぢるぢる旅行記インド編・総集編
- ぢるぢる日記 「二見書房」
その他挿絵、イラスト、キャラクターデザインなどの仕事がある。
自殺
ねこぢるの自殺に関して、夫の山野一は以下のようにコメントしている。
「故人の遺志により、その動機、いきさつについては一切お伝えすることができません。 一部マスコミで“某ミュージシャンの後追い”との憶測報道がなされましたが、そのような事実はありません。ねこぢるはテクノやゴア・トランスに傾倒しており、お通夜に流した音は、彼女が“天才”と敬愛して止まなかったAphex Twin(Richard D.James)の『SELECTED AMBIENT WORKS VOLUME II』で、本人の強い希望により、柩に納められたのは、彼女が持っていたAphex TwinのすべてのCDとビデオでした。(文/山野一)」
上記の某ミュージシャンとは、この数日前に他界した、X JAPANのギタリストhideである。また、山野一は「(hideの曲に関して)彼女は多分一秒も聞いたことはない」とも述べている。
参考文献
- ねこぢるy 『インドぢる』 文春ネスコ、2003年。