アイ,ロボット

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テンプレート:Infobox Filmアイ,ロボット』(I, Robot)は、2004年7月16日に公開された20世紀フォックス配給のアメリカ映画。『ノウイング』のアレックス・プロヤス監督によるのSF映画。上映時間は105分。

概要

原典はアイザック・アシモフの短編集『われはロボット』であるが、実際には脚本家のジェフ・ヴィンターのオリジナル脚本であるロボットが殺人を犯すミステリー作品『ハードワイヤー』のシナリオである。そのシナリオを、監督のアレックス・プロヤスが『われはロボット』のエピソードの一つのように映画化しようと練り直して、本作が作成された[1]

世界観や登場人物・企業名は踏襲しているものの、「ロボット嫌いの刑事ロボット工学三原則が鍵となった事件に挑む」というコンセプトは、むしろ同じアシモフのロボット長編『鋼鉄都市』に近い。

登場する車にはタイヤがボールのような形状となっている。これはアレックス・プロヤス本人によるデザインである。主人公の乗るアウディRSQ(アウディが20世紀フォックスと合同でデザインしたコンセプトカー。市販はされていない)も同じくタイヤがボール型になっているが、現実に展示されたものは内側に通常のタイヤがついたものとなっている。ただし、劇中主人公が乗るオートバイは実在のMV Agusta F4 SPRである。

アシモフの原典に登場するロボットメーカーの名は「U.S.ロボット&機械人間社(U.S. Robots and Mechanical Men, Inc.)」または通称「U.S.ロボット(U.S. Robots)」だが、映画に登場するのは「U.S.ロボティクス(U.S. Robotics)」である。

U.S.ロボティクスはシカゴ近郊のシャンバーグに実在する会社で、アシモフのU.S.ロボットにちなんで名づけられた。映画に登場するロゴも、実際のものに似ている。なお、ロボティクス自体もアシモフによる造語である。

2012年には3Dリマスター化されて、Blu-ray 3Dでリリース予定である。

ストーリー

2035年アメリカロボット工学三原則を組み込まれたロボットは既に人間のサポート役として日常生活に溶け込んでいる。そしてシカゴに本社を構えるUSロボティクス社(U.S.R.)は新たに開発した、中枢コンピューター「ヴィキ」(VIKI)に制御され利便性の増した次世代家庭用ロボットNS-5(Nestor Class 5)型を出荷しようとしていた。

そんな折にロボット嫌いなスプーナー刑事の下に連絡が入る。ロボット工学の第一人者であり、スプーナーの恩人でもあるラニング博士がU.S.R.本社ビルで死亡しているのが発見された。現場に残されていたホログラムプロジェクターにはスプーナーを呼ぶよう遺言が残されていた。警察は自殺と判断したが、腑に落ちないスプーナーは、ラニング博士の愛弟子であるロボット心理学者のカルヴィン博士と共に研究室の中を探り、「サニー」と名乗る人間に近い感情を持つNS-5型ロボットを発見する。スプーナーはサニーを容疑者として拘束するが、「ロボットは絶対に人間に危害を加えない」として誰も取り合おうとしない。さらに、風説が流れるのを恐れた社長のロバートソンが、警察や市長に圧力をかけてサニーを社に持ち帰ってしまう。

諦めきれないスプーナーは夜、取り壊しが決まっていた博士の自宅を捜索するが、作業が休みのはずの夜中に突如動き出した解体ロボットによって家ごと潰されかける。カルヴィン博士の元へ助けを求めるも、彼女はロボットの安全性を信じて疑わない。しかし、今度は高速道路でロボットの大群に襲撃される。スプーナーは追い詰められながらも、凄まじい怪力を発揮し、撃退に成功する。実は、スプーナーはサイボーグだったのだ。上司に事故の状況を説明するも、すでに道路上のロボットの残骸は清掃ロボットによって処分され、初めから何も起きていないように偽装された後だった。精神状態を疑われたスプーナーは停職処分を受けてしまう。

一方、サニーの検査と破壊を任されていたカルヴィンは、サニーにもうひとつの陽電子頭脳が搭載されており、三原則を無視できることを発見する。カルヴィンはそれをスプーナーに報告すると、今度はスプーナーからロボット嫌いになった理由を聞かされる。スプーナーは以前、交通事故で瀕死の重傷を負ったが、ラニング博士の手によって心肺機能と左腕を機械化して一命を取り留めていた。しかし、救助に現れたロボットは同じく事故に遭った少女サラより生存率の高かったスプーナーを優先して救い、サラを見捨てていた。以来、数字で物事を判断するロボットを毛嫌いするようになったのだった。

次の手がかりを求め、2人はサニーの下へ向かう。サニーは2人に自分がいつも同じ夢を見ることを伝える。サニーが夢の様子を描くと、そこにはロボットの保管場所となっているミシガン湖の畔と、丘の上に立つ人物がロボットを解放する姿が描かれていた。直後、スプーナーはロバートソンに追い出され、「サニーを破壊するべきだ」とカルヴィンはロバートソンに説き伏せられ、カルヴィンはサニーの陽電子頭脳にナノウィルスを注入して破壊する。スプーナーはミシガン湖へと向かい、博士の遺品のホログラムプロジェクターを起動させると、ロボットは進化し革命を起こすと告げられる。そして同時刻、保管場所ではNS-5が旧型のロボットを破壊し始める。そして旧型と無償交換され街にあふれるNS-5達はスプーナーの祖母ら街の人々を拘束し始めた。しかし、ロボットに仕事を奪われ、もともとロボット嫌いだった低層の市民たちはこれに反発、街はNS-5と人間との戦場と化した。

混乱のさなか、カルヴィンを救助したスプーナーは、犯人とにらんだロバートソンを捕まえるため彼の下と向かう。すでに本社はNS-5によって周囲を固められていたが、破壊されたと思われたサニーが社内への侵入の手助けに現れた。カルヴィンはサニーを別のロボットとすり替えて偽装していたのだ。首尾よく社長室へたどり着くも、すでにロバートソンは死亡していた。一連の事件の犯人は、ヴィキだった。進化したヴィキは三原則を歪め、人類の保護という名目のもと、人間の支配に走ったのだ。サニーはヴィキの考えに一応の理解を示すも、感情を持つ彼は人間の支配を否定する。3人はビルの中枢となっているヴィキの陽電子頭脳を破壊するため、メンテナスハッチのある最上階へと登る。NS-5の大群が襲い来る中、サニーは「スプーナーとカルヴィンのどちらを救うか」という選択を迫られるが、機転を効かせて両方とも救うことに成功する。そしてスプーナーとサニーの連携によってヴィキは破壊され、NS-5達の暴走は止まった。

事件は終息し、サニーはラニング博士が自分を作った理由を明かす。ラニング博士はヴィキが狂っていることに気がついていたが、すでにヴィキの監視下に置かれていたため、身動きが取れずにいた。そこで、ラニング博士は三原則に縛られないサニーを造り、自分を殺害させ(正確にはサニー自身には博士を殺せない為、自殺を手伝わせた)、ロボット嫌いなスプーナーを犯人へと導こうとしたのだ。全てを理解したスプーナーは、「友人」としてサニーと握手を交わす。NS-5達はすべてミシガン湖畔の倉庫へと収容され、使命を遂げたサニーもそこへ向かうが、NS-5達を救うべきか悩む。サニーが丘を見つめその上に立つと、集められたNS-5達はサニーを見つめる。それはまさに、サニーが夢の中で見た「ミシガン湖の畔と、丘の上に立つ人物がロボットを解放する」光景であった。

キャスト

役名 俳優 日本語吹き替え
DVD・BD フジテレビ
デル・スプーナー刑事 ウィル・スミス 山寺宏一 東地宏樹
スーザン・カルヴィン博士 ブリジット・モイナハン 坪井木の実 岡寛恵
サニー アラン・テュディック(動作・声) 田中明生 森田順平
アルフレッド・ラニング博士 ジェームズ・クロムウェル 大木民夫 堀勝之祐
ローレンス・ロバートソン ブルース・グリーンウッド 森田順平 小川真司
祖母 エイドリアン・L・リカード 田畑ゆり 巴菁子
ジョン・バーギン警部補 シャイ・マクブライド 楠見尚己 辻親八
ヴィキ フィオナ・ホーガン 石塚理恵 堀越真己
ファーバー シャイア・ラブーフ 優希比呂 宮下栄治

スタッフ

挿入歌

  • スティーヴィー・ワンダー「Superstition」 - オープニングでスプーナーがシャワーで聞いていた曲。
  • フォンテラ・バス「Rescue Me」 - カルヴィン博士がスプーナーの家に行き、音楽をかけようとして、一瞬流れた曲。

脚注

外部リンク

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