「サントリーニ島」の版間の差分

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2014年4月30日 (水) 17:30時点における最新版

テンプレート:Infobox Greek Isles サントリーニ島Σαντορίνη / Santoriniもしくは ティーラ島Θήρα / Thira)は、エーゲ海キクラデス諸島南部に位置するギリシャ領の火山島。かつて大爆発を起こした火山が形成したカルデラ地形で、本島を含めた5つの島々の総称としても用いられる。

カルデラ湾を望む断崖の上に白壁の家々が密集する景観でも知られており、エーゲ海の著名な観光地の一つである。一方で、サントリーニ・カルデラ内では現在も活発な火山活動がある。

名称

この島は、古くは「もっとも美しいもの」を意味する「カリステー」(Καλλίστη / Kallístē)や、「円形のもの」を意味するストロンギレー(Στρογγύλη / Strongýlē、あるいは「ストロンギリ」)、または「テーラ」(Θήρα / Thēra)と呼ばれていた。「サントリーニ」(Σαντορίνη / Santorini)の名は、13世紀にラテン帝国のもとでつけられた名で、ペリサの集落にある聖イレーナに献じられた教会から採られている。オスマン帝国の時代にも、これに由来する SanturinSantoron と呼ばれた。「ティーラ」(Θήρα / Thira)の名は、19世紀に島と中心集落の公式名称として再び用いられることになった(島の中心地フィラは、「ティーラ」の別発音である)。しかし、現在も日常的には Santorini の名が使われている。

Santorini のカナ転記としては「サントリーニ」が良く使われているが[1]、ギリシャ語の発音 テンプレート:IPA-el に従えば「サンドリニ」 が原音に近い。なお、この島の日本語表記には「サントリーニ」「サンドリニ」のほか「サントリニ」「サンドリーニ」「サントリン」[2]、「ティーラ」のほかに「ティラ」「テラ」[2]などの表記ゆれがある。

地理

ファイル:Santorini Landsat.jpg
サントリーニ島の衛星写真
ファイル:Santorini topo.jpg
サントリーニ島の地図

位置と広がり

サントリーニ島はエーゲ海南部のキクラデス諸島最南端にあたり、ギリシャ本土からは東南へ約200km離れている。

「サントリーニ」は、サントリーニ島(本島)のほかに付近の島を合わせた群島(サントリーニ諸島)の総称としても用いられる。サントリーニ諸島は以下の島から構成される。

群島で最大の島は、カルデラ東側で三日月形に広がるサントリーニ島本島であり、フィラやイアなど主要な集落はこの島に位置する。次いで大きいのは、カルデラ西北に位置するティラシア島であり、群島で人が定住する島はこの二つである。

主要な集落

人口1000人以上の集落は以下の通り(人口は2001年国勢調査時点)。

島の中心集落は、カルデラ東側中央の断崖上に位置するフィラ。フィラの北にはフィロステファニΦηροστεφάνι、行政上はフィラの一部だが、しばしばフィラと区別して考えられる)、フィロステファニの北にはイメロヴィグリΗμεροβίγλι)の集落があり、カルデラに面した奇観で知られている。カルデラ北側にはイアΟία)の集落がある。人口約760人のイアは、島北部のイア地区(旧イア村)の中心集落で、「ブルードーム」と通称される教会や風車で知られる。

カルデラ側とは反対側、島の東南部には、ビーチリゾートとして知られるカマリペリサΠερίσσα)の集落があり、カマリの北方の平野に空港が設けられている。島の南部にはエンボリオの集落が広がっている。島の西南部にはアクロティリΑκρωτήρι)の集落がある。 テンプレート:Gallery

歴史

地質学歴史学の分野において、これらの群島が、かつては一つの大きな島であったと証明されている。紀元前1628年頃、海底火山の爆発的噴火(ミノア噴火)により、地中のマグマが噴き出してできた空洞状の陸地が陥没してカルデラを形成し[3]、現在のような形状になった。 この爆発的噴火は、エーゲ海一帯に惨禍をもたらし[4]プラトンの著作『ティマイオス』に端を発する、大西洋、すくなくとも「ヘラクレスの柱」(ジブラルタル海峡)の向こうにあるとし[5]、洋上の理想郷アトランティス伝説に大きな影響を与えたといわれている。ちなみに、この幻の大陸アトランティス伝説のもうひとつの有力なモデルが110キロメートルほど南にあるクレタ島で、ここではサントリーニ島とともに、かつてヨーロッパ最古の文明といわれるミノア文明が栄えていた[6]。サントリーニ島内の南部に、ミノア文明下の大規模な港湾都市遺跡・アクロティリ遺跡がある。

1956年、ギリシャの地震学者アンデロス・ガラノパウロスが、サントリーニ島こそアトランティスだとの新説をたてた[7]

社会

産業・経済

キクラデス諸島の中では、ミコノス島と並んで人気のある観光地であり、またリゾート地としても知られる。前述の洞窟住宅を改装したホテルや別荘が多く存在する。

主な特産品は、レンズ豆。「ファヴァ(ファバ)」という地元料理の重要な材料でもある。チェリートマトなどのトマト類、白ナス等のナスも特産である。

ワインの産地としても知られる[2]。島にはワイナリーが多く、白ワインデザートワインに評価がある。

サントリン土(santorin earth)を産出し、セメント工業がある[2]

住民

断崖の法面を水平にくりぬいて作られた、独特の伝統的な家屋様式で知られる。その多くの壁面は真っ白に塗装され、びっしりと連なっており、この島の景観の大きな特徴となっている。

行政区画

テンプレート:Infobox Greek Dimos

自治体(ディモス)

ティーラ市Δήμος Θήρας)は、南エーゲ地方ティーラ県に属する基礎自治体ディモス)である。ティーラ市はサントリーニ諸島全域のほか、アニドロス島テンプレート:Enlinkやクリスティアナ島テンプレート:Enlinkなど近隣の小島嶼を市域に含む。

現在のティラ市は、カリクラティス改革(2010年1月施行)にともない、(旧)ティーラ市とイア村の2つの自治体が合併して発足した。旧自治体は、新自治体を構成する行政区(ディモティキ・エノティタ)となっている。

また、これに際して広域自治体(ノモス)であったキクラデス県の県域が分割され、行政区(ペリフェリアキ・エノティタ)であるティラ県が設置された。ティラ市はティラ県所属5自治体のうちのひとつである。

下表の番号は、下に掲げた「旧自治体」地図の番号に相当する。下表の「旧自治体名」欄は、無印がディモス(市)、※印がキノティタ(村)の名を示す。面積の単位はkm²、人口は2001年国勢調査時点。

旧自治体名 綴り 政庁所在地 面積 人口
7 ティーラ Θήρα フィラ 71.2 12,440
27 テンプレート:仮リンク Οία イア テンプレート:Enlink 19.4 1,230

テンプレート:Gallery

旧自治体(ディモティキ・エノティタ)

カリクラティス改革以前の旧ティーラ市にあたるティーラ地区Δημοτική Ενότητα Θήρας)は、以下のキノティタ(都市・村落)から構成される。

表中の Τ.δ.Τοπικό διαμέρισμα の略であり、カポディストリアス改革による統廃合(1999年1月施行)以前の旧自治体に由来する区画である。[ ] 内は人口(2001年国勢調査)を示す。

交通

文化・観光・施設

その景色の開放的なイメージは、日本の映像文化にもよく登場している。近年のテレビCMでは新庄剛志が出演したアサヒ発泡酒「アクアブルー」(2007年春)、反町隆史が出演したキリン缶コーヒーファイア」(XXXX年)のロケ地がこのサントリーニ島である。

北部の港町であるイアは夕日の絶景で知られ、人気がある。

ビーチリゾートを楽しむ人も多く、溶岩からなる赤い砂のレッドビーチ、火山灰からなる黒い砂浜のペリサビーチ、カマリビーチなどが知られる。

ギリシャ正教会聖堂が至る所にあり、その多くは白い壁と青いドーム型の屋根を持つ。

無人島のネア・カメニ島は現在も活動する活火山である。フィラのフィロン港(オールド・ポート)やイアから定期船が就航しており、上陸して噴火口まで近づくことができる。

ギャラリー

脚注

  1. ギリシャ政府観光局など。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 「ティーラ〈島〉」、三省堂編集所編『コンサイス外国地名辞典 改訂版』(三省堂、1985年)
  3. ヨーロッパでは最大の噴火で、30立方キロメートルにも及ぶ噴出物で、紀元前79年に噴火したベスビオ火山の噴火物の15倍にも当たる(リチャード・フォーティ著、渡辺政隆・野中香方子訳『地球46億年全史』草思社 2009年 183ページ)
  4. クラカタウ火山の100倍の規模で、高さ30メートルを超える大津波が発生して、周辺の島々を水没させた。(石弘之著『歴史を変えた火山噴火ー自然災害の環境史ー』刀水書房 2012年 58ページ)
  5. リチャード・フォーティ著、渡辺政隆・野中香方子訳『地球46億年全史』草思社 2009年 183ページ ISBN 978-4-7942-1690-8
  6. 噴火があったと見られる時期に、大規模な気候変動があった形跡が確認されている。「夏のない年」を参照のこと。
  7. 石弘之著『歴史を変えた火山噴火ー自然災害の環境史ー』刀水書房 2012年 68ページ ISBN 978-4-88708-511-4


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