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『父と暮せば』(ちちとくらせば)は、井上ひさしによる舞台作品。原爆投下後の広島を舞台にした二人芝居。
こまつ座第三十四回公演として1994年9月に初演(鵜山仁演出)。第2回読売演劇大賞の優秀作品賞、優秀演出家賞(鵜山仁)、優秀女優賞(梅沢昌代)を受賞。以後、各地で繰り返し上演され、モスクワや香港など海外公演も行われた。2004年に映画化(黒木和雄監督) 。また、2006年に日独対訳版の「Die Tage mit Vater」が出版されている。
あらすじ
昭和23年の広島。福吉美津江の自宅。
美津江は、父・竹造と二人で暮らしている。竹造は原爆の直撃を受けて死亡したはずなのだが、幻となって美津江の前に現れたのである。美津江は明るく快活だが、心の奥では原爆投下を生き残ってしまったことへの罪悪感をもっており、勤め先である図書館で原爆の資料を集める木下という青年から好意を寄せられているものの、死者への申し訳なさから親密になれないでいる。竹造は、美津江の日々の話し相手として、彼女を楽しませ、ときに諭し、助言を与える。
美津江は、木下から故郷の岩手に一緒に行こうと誘われたと竹造に告げる。竹造は、それは結婚の申込みで、ぜひ行くべきだと言うが、美津江はまたも逃げようとする。そして父と娘の最後の会話が始まる…。
映画版
スタッフ
- 原作:井上ひさし
- 監督:黒木和雄
- 脚本:黒木和雄、池田眞也
- 企画:深田誠剛
- 製作者:石川富康、川城和実、張江肇、金澤龍一郎、松本洋一、鈴木ワタル
- プロデューサー:河野聡、木谷奈津子、桑島雅直、奈良聡久、大橋孝史
- 撮影監督:鈴木達夫
- 美術監督:木村威夫
- 音楽:松村禎三
- 編集:奥原好幸
- VFX:マリンポスト
- スタジオ:日活撮影所
- 現像:東京現像所
- 特殊メイク:松井祐一
- タイトル:島田プロダクション
- 音響効果:福島音響
- MA:協映スタジオ
- 撮影協力:広島平和記念資料館、広島フィルムコミッション、ナック映像センター、中国新聞、横浜ゴム、原爆の図丸木美術館
- 特別協力:こまつ座
- 製作:衛星劇場、バンダイビジュアル、日本スカイウェイ、テレビ東京メディアネット、葵プロモーション、パル企画
- 配給:パル企画
キャスト
原作との相違
全体の筋のみならず、美津江と竹造との会話のセリフも、ほぼ原作と同一である。ただし、以下の点に相違がある。
- 原作では、全ての物語は美津江の家及びその周辺のみで進行し、外での出来事は、美津江のセリフによって語られるのみであるが、映画版では、美津江の勤務先である図書館等が映像化されている。
- 同様に、原作では美津江のセリフでのみ語られる木下が、映画版では登場する。
- さらに、映画版では、復興前の広島の市街地の光景が、CGによって再現されている。
その他
- 津嘉山正種が2006年から語りの舞台を続けている。(讀賣新聞、2007年8月2日)
- 野沢由香里(劇団青年座)が一人芝居として公演を続けている。(演出:井上大、2009年2月)
- 辻萬長、栗田桃子が父娘役を演じている。(演出:鵜山仁、2011年7月)