病院

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病院(びょういん、テンプレート:Lang-en-short)は、疾病や疾患に対し医療を提供し、病人を収容する施設のこと。

語源

元々hospitalという言葉は「傷病者や病人の収容施設」という意味合いの言葉である(hotelなどと語源は同じ)。そのため諸外国においては、この語が老人ホーム、養老院、孤児院の意味でも使用される。それに対し日本では、明治以降、この「hospital」という言葉に対する訳語として「病院」という言葉を当てることが一般的である。

日本で最初に「病院」という単語が使われたのは、戊辰戦争の頃で、その頃に使用された「病院」という文字が書かれた順天堂大学に保管されている[1]

歴史

日本で最初の病院と言われているのは、1557年医師でもあったポルトガル宣教師ルイス・デ・アルメイダによって大分県に開設されたものであると言われ、外科内科ハンセン病科を備えていた。これが西洋医学が初めて導入された場所とも言われている。

海外においては、キリスト教修道女修道士が神に仕えるために病人を集めて日常生活上の世話をしたのが始まりとされ、看護活動の原点でもある。

病院建築

医療行為とは古くから行われている伝統的な行為であるので、病院に関しても長い歴史の中では文化遺産となったものもある。メキシコオスピシオ・カバーニャススペインサン・パウ病院トルコディヴリーイの大モスクと病院が良い例である。

近代までは病院とは殆ど治療の場というより、感染症患者や精神病患者を隔離する、或いは貧しい患者に食事とベッドを提供すると言う役割の方が大きかった。そのため貧困層向けの病棟は常に定員オーバーであり、一つのベッドを数人が共有すると言う、現在では考えられないことも行われていた。

これに対し裕福な層は自宅で療養し、医師往診を受け、メイドによる介護を受けていた。これと同等に近い環境を目指し、治癒を目的とした病院を提唱したのがフローレンス・ナイチンゲールである。彼女の提唱したナイチンゲール病棟は、二十数人程度の患者を一つの看護単位とし、限られた看護師しかいない状況でも出来るだけ手厚い看護と治療を受けられるようにしたものである。

20世紀に入ると、病院もモダニズム建築の影響を受ける。20世紀前半には、学校拘置所刑務所と言った施設と同じような設計思想で作られていた[2]。すなわち採光を良くする為に細長いフロアで中廊下型が多く、病室と並ぶ形でナースステーションが存在した。

20世紀も後半に入ると、アメリカ合衆国を中心に、病院に特化した設計思想が生まれてくる。ナースステーションから各病室への距離を縮めるためにフロアの中心に置き、さらにフロアの形状も円形三角形、多角形などとして動線が工夫された。全室を個室や2人部屋以下とするのも、一つには動線の短縮のためである[3]

日本でこうした設計思想が取り入れられ始めたのは1990年代からであるが、現在では大学病院などの改築の際には殆どこの設計思想が取り入れられている。

日本

日本では医療法上、一定規模以上の医療機関を病院といい、小規模のものは診療所として病院との呼称を使えないことになっている。ただし、医療を施す場所との意味合いから、病院・診療所を問わず医院と称することもある。

近年、日本では医療の普及の影響もあり、病院で一生の最期を終える人が増えてきている。また、人間が生まれる(出産)場も殆どの場合病院・産院である。

制度

医療法においての「病院」とは医療機関の機能別区分のうちの一つ。

「病院」とは、医師又は歯科医師が公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所と定義され、病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つものを指す。無床もしくは19床以下のものは診療所(入院施設を持つ場合は有床診療所)となる。病院の配置は都道府県の医療計画に基づいて行われ、都道府県知事の許可を必要とする。 管理者(理事長など)は原則として医師・歯科医師でなければならない(但し、管理者の急死等により医師以外が認められることがある。特殊ケースであるが)。

多くの病院は、医療法の非営利原則に基づき、地方公共団体独立行政法人、事務組合や日本赤十字社など公的組織以外には、医療法人(他には各大学医学部の付属病院(大学病院)、社会福祉法人宗教法人協同組合など)を中心とした非営利組織(公益法人)にしか設立が認められず、会社組織は例外的に福利厚生を目的とした一部企業(ほとんどは大手企業の「健康保険組合」が運営している)や国の特殊法人が管轄した病院を引き継いだJR、NTT、日本郵政などが設立した病院(設立企業関係者以外の一般の部外者も診察してもらえることが前提)が存在する。ただし例外として、歴史的な経緯(戦前から営まれているなど)から株式会社として運営されている病院がある(麻生飯塚病院や大阪回生病院など)。これは医療機関運営に株式会社が参入しているケースとはいえないので「例外」である。

なお、「個人病院」という表記が時々見受けられるが、純粋な「個人病院」は下記の種類の中の「個人」となっている非法人立病院の病院である。医療法人立病院などを「個人病院」と表記するのは異なっている。

病院の業務は、健康上の問題を持つ人の診療が主である。患者の急性期・亜急性期・慢性期等の状態に応じて、継続的な看護もしくは観察の必要がある患者について入院加療を行う。その一方で、特に慢性期・介護療養医療施設等においては、認知症麻痺精神疾患などのため一般社会で生活していくことが困難な人が医学的必要性の有無にかかわらず病院に長期入院せざるを得なくなる状況があり、社会的入院として問題となっている。特に、日本の入院患者の約1/3は精神科病棟の入院者である。これは、健常者以外を社会に受け入れることが困難な日本の福祉体制を反映するものとなっている。

建築基準法により、病院は第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域工業地域工業専用地域では設置できない(これに対し、診療所は用途地域の別に関わりなく設置が可能である)。

名称

「病院」と称することができる施設は、医療法上の病院に限定される。 また、病院の名称には、公立・独立行政法人立(国立病院機構など)を除き、一般に「病院」の文言を含むこととされている(行政指導)。

種類

開設者による種類

<TR><TD colspan=2 style="background-color: #efefef;"></TD></TR> <TR><TD colspan=2 style="background-color: #efefef;"> 社会保険関係団体</TD></TR> <TR><TD colspan=2 style="background-color: #efefef;"> 医療法人</TD></TR> <TR><TD colspan=2 style="background-color: #efefef;"> 個人</TD></TR> <TR><TD colspan=2 style="background-color: #efefef;"> その他</TD></TR>
厚生労働省 国立高度専門医療研究センター国立ハンセン病療養所など
国立病院機構
国立大学法人 (国立大学附属病院)
労働者健康福祉機構 (労災病院)
その他の国の機関 防衛省自衛隊病院防衛医大病院)、法務省医療刑務所医療少年院)、宮内庁宮内庁病院)、国立印刷局国立印刷局東京病院)など

<TR><TD colspan=2 style="background-color: #efefef;"> 公的医療機関</TD></TR>

都道府県 都道府県立病院
市区町村 市区町村立病院
地方独立行政法人 公立大学法人(公立大学附属病院)など
日本赤十字社
済生会
北海道社会事業協会
厚生連 (JA病院)
国民健康保険団体連合会
全国社会保険協会連合会
厚生年金事業振興団
健康保険組合及びその連合会
船員保険会
共済組合及びその連合会 国家公務員共済組合連合会日本私立学校振興・共済事業団警察共済組合公立学校共済組合など
国民健康保険組合
医療法人
個人
公益法人 社団法人財団法人警察病院は財団法人)
学校法人 (私立大学附属病院)
社会福祉法人
医療生協
会社 株式会社JR各社、NTT東日本日本郵政(逓信病院)、東芝東急など)
その他の法人 宗教法人協同組合など

(厚生労働省大臣官房統計情報部による医療施設調査の開設者分類による)

医療制度上の分類

病院会計

現在の日本では国民皆保険なので、病院で診察を受けても全治療費における負担率は最大3割なので負担にならないことが多い。しかし、実際は医療サービスの値段は高い(実負担額の3倍以上)ということを認識しておくべきである。

特に正常分娩は、健康保険の対象外であり、出産育児一時金による立て替え払いに対応している病院でなければ、退院時に分娩費用の全額を支払わなければならない。また、救急搬送時に保険証(コピー不可)を持たないと治療費は未保険者同様原則全額支払となる。

最近では3割負担の治療費でさえ未払いするなど、社会問題となっている。このままでは公的な医療サービスは崩壊の危機がある。医療法上は正当な理由がない限り受診拒否は出来ないが、「未払いを理由とする受診拒否はできない」とは法律上記載されていない為、未払いが原因で受診できない可能性さえある。保険者側・病院側双方からブラックリストにならないようにしなければならない。

クレジットカード・デビットカード決済

2004年頃からビザ・インターナショナルのCMで、『病院での支払いもVISAで』というキャッチで流されたが、医療費の支払いが高騰化した現代、外来での会計は一件あたり1万円以内の金額が多数であっても、入院治療費用の支払いでは一件当たり数万円 - 百万円超と高額であるため、現金が手許にない時にクレジットカードで立て替え払い出来るという潜在的ニーズと、そのニッチな分野でのクレジットカード会社の加盟店手数料収入が大きく見込める点から、2004年から全国の国立病院機構・赤十字病院・労災病院のほとんどがクレジットカード・デビットカードでの支払いに対応した。(国立病院機構でのサービスはカード決済での公金収納のモデルとなり、藤沢市では税金をクレジットカード決済で収納出来るようになった)

国の機関の場合、金銭の収納は原則として現金に限るため、クレジットカード等での支払いはできなかったが、国立病院の独立行政法人化により会計法上の制約がはずれ、その国立病院がクレジットカードの取扱いを始めたことから他の病院も追随することとなった。

近年、治療費の支払いをATM様の機械で行う自動精算機が導入されている病院が有る(電子カルテシステム等と連動している)が、そこでカード決済を行う際はカードの暗証番号入力が必要である。

利用者(患者)側のメリット
  • 治療費を支払う為に高額な現金を持ち歩く必要がなく、万一盗難に遇っても被害が縮小する。
  • 自身の懐次第で治療費を一括払いの他、分割・リボルビング払いにも出来る。(但し、限度額の範囲を超えての利用は原則出来ない)
  • クレジットカードのポイントが、クレジットでのショッピング同様に貯まる。
  • 利用明細書に利用箇所・金額などが印字される。(家計簿代わりや後々の記録に利用できる。)
病院側のメリット
  • 現金の取扱高減少で現金管理が軽減される。
  • 未収金の減少(クレジットカードで支払った場合の債権者は利用者のカード会社となる)。
  • 自動支払機を導入している場合、貨幣トラブル(ジャム詰まり)などが減少すると共に1分前後で会計手続きが完了し、会計窓口混雑の軽減が可能。(紙幣50枚までしか受け入れない機種が多い。)
  • 特定クレジットカード会社との加盟店契約だけで、デビットカードも取り扱うことができる。
  • クレジットカード会社のホームページやパンフレットで利用可能医療機関として掲載が可能。
デメリット
  • 入院・人間ドック・自由診療などで診療代が高額になると思われる場合は、予め患者が自身のカード利用可能額を調べる必要がある。(デビットカードは、一日あたり50~200万円迄の磁気キャッシュカード利用限度額に含まれている事が多い。また、クレジットカードは事前にカード発行会社へ事前に利用用途を連絡し、審査をパスすれば一時的に利用可能額の引き上げも可能。)
  • 患者の決済取引額に応じた加盟店手数料(1%~5%程度と言われる)を医療機関(加盟店)側からアクワイヤー(取り纏め契約カード会社)に負担する必要が生じる。
  • 医療機関(加盟店)が停電した場合(災害時など)、カード決済が利用できない可能性がある。
  • 予め医療機関へ手持ちのクレジットカード(国際ブランド)での決済に対応しているか確認が必要。(国公立ではVISAMasterCardまたはJCBの何れか一方のみ取り扱いの病院が多い。NICOS国内Diners Clubは取扱が比較的少ない。)

なお、以前から元々治療費が高額(自由診療主体)で、決済金額の5%から10%程度のクレジットカードの利用手数料を支払ってもかまわない人間ドック・歯科美容整形外科などの各専門クリニック・病院では、独自にカード会社と加盟店契約をして取り扱えたが、どちらにしても2004年以降、私立病院・大学医学部付属病院を中心に普及し始めているほか、東京大学医学部附属病院ライフの提携カード「ゆーとむカード」では、外来時の診療・検査終了後に会計計算窓口に立ち寄らず・待たずにそのまま帰宅する『エクスプレス会計』というポストペイサービスを提供しており、他病院への汎用化も検討しているとプレスされている。

診療報酬の改訂による諸問題

  • 2006年に行われた診療報酬改定により、従来の看護配置基準以外に、7:1看護配置基準の枠が設けられた。その上で7:1看護配置基準を満たせない病院においては、診療報酬が大幅に引き下げられた。そのため、目標とする看護師数を確保できず、病床数を減らし診療報酬基準を満たそうとする病院や、経営状態が悪化し倒産に追い込まれる病院が増えている。
  • その一方で、大阪府内の病院に於いて、所得隠しを行って経費を過大計上した上に、捻出した金で医師看護師を他病院から引き抜いていた事例が発覚しており[4]、病院経営を巡るモラルやコンプライアンス意識が問題視されている。

中国

受診には一般、緊急患者を問わず前金を支払う必要があり、支払わない場合受診ができない[5]。また、医者への賄賂も横行している[6]

料金の支払いには、城鎮基本医療保険加入者であれば医療保険カードが使用できる[5]

タイ

タイでは、バムルンラート病院などが上場され、同国の株価指数であるSET指数の構成銘柄に採用されている。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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  2. ミシェル・フーコー監獄の誕生』新潮社
  3. ルイス・G.レッドストーン編 田中一夫訳 『病院と医療施設』 啓学出版 現代建築集成
  4. 大阪の病院、隠し所得で医師・看護師引き抜き…国税指摘 読売新聞 2008年12月5日
  5. 5.0 5.1 北村豊「「処方薬、高く買い取ります」が横行する不気味 ゆがんだ医療保険制度が市民を小遣い稼ぎに走らせる」『日経ビジネスオンライン』2009年6月26日配信 『株式会社日経BP
  6. 「7割近くが「医者に“袖の下”を渡したことがある」」2008年1月31日付配信 『Record China