スーフィズム

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スーフィーの回旋舞踊

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スーフィズムテンプレート:Rtl-lang, Sufism)とは、イスラム教神秘主義哲学である。この呼び名は担い手であるスーフィーにイズムをつけたもの。東アジアにおいてイスラム教は古くは『回教』または『回回』(Huihui)と呼ばれたが、メヴレヴィー教団ナクシュバンディー教団の回転しながら踊る旋舞に由来している。『回民』も同様の由来である。

歴史

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9世紀から10世紀頃、官僚化したウラマーたちの手によってイスラーム諸学が厳密に体系化され始めた頃、イスラームが日常生活から遊離したことの反発から成立した。形式化したシャリーアを批判し、内面性を重視したスーフィー達は、しばしばウラマーたちの批判の的になった。批判されたスーフィー達の中にはイスラーム哲学の大家であったガザーリー1058年 - 1111年)やイブン・アル=アラビー1165年 - 1240年)がいた。しかしスーフィズムはイスラム世界において定位置を得るようになる。

アフマド・ヤサヴィー1103年 - 1166年)がテュルク語テンプレート:仮リンクとして知られるテンプレート:仮リンクYasaviyyaYeseviye)を設立。

テンプレート:仮リンク1141年 - 1230年)によってチシュティー教団が設立され、テンプレート:仮リンク1173年 - 1266年)らのインド・スーフィー思想の影響を受けると、スーフィズムはその後イスラームの大きな潮流となり、後にチシュティー教団はインドのイスラム化において大きな役割を果たした。

三大スーフィーのサナーイー1080年頃 - 1131年頃)、アッタール1136年頃 ‐ 1230年頃)、ルーミー1207年 - 1273年)らの影響によりコンヤを中心地にメヴレヴィー教団が設立され、テンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクらの影響によりブハラを中心地にナクシュバンディー教団が設立された。

14世紀のイルハン朝時代にクルド人サフィー・ウッディーンテンプレート:仮リンクを興し、16世紀初頭にはサファヴィー朝を開いた。

同じく14世紀にテンプレート:仮リンク(現ケルマーン州)のスーフィー、テンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクを興した。

1380年頃、ティムールがホラズムを征服すると、サマルカンド出身のスーフィー、テンプレート:仮リンクとその後継者のワリ・サンガと呼ばれる一族はチャンパ王国マジャパヒト王国など東南アジアのイスラム化に大きな役割を果たした。

17世紀にはナクシュバンディー教団の影響が広がり、馬来遅フフィーヤ教団(老教)や、18世紀には馬明心テンプレート:仮リンク(新教)が設立され、回民蜂起を起こすなど、清朝末期の新疆回族東トルキスタンドンガン人の歴史に大きな影響を与えた。

18世紀の西サハラではテンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクが組織された。

19世紀にはコーカサス戦争を主導したミュリディズムが組織された。

教団

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今でも多くの教団(タカール)が活動しており、ジャラール・ウッディーン・ルーミーが創始したメヴレヴィー教団などがこのスーフィズムを信仰している。しかしトルコ政府はメウレヴィー教団の活動を禁止している。開祖の教えに戻れと主張するイスラーム原理主義の勢いで、異端的な要素(ギリシャ哲学ヒンドゥー教等)の有るスーフィズムは影を潜めている地域もある。一方で、近代市民社会を作り上げるための寛容なイスラーム・リベラルなイスラームの思想の源流として注目されても居る。

各地域の教団として以下のものがある。

その他、軍閥がある。

修行

スーフィズムでは禁欲的で厳しい修行を行い、また白い布状の服を身につけて一心不乱に回る、回旋舞踊(ズィクル)と呼ばれるものを行い、神との一体化を求めた。スーフィーは導師の指導の下、決められた修行(マカーマート)を段階的にこなし、準備を進める。最終段階では、雑念を捨て去り一心に神の事をのみ考え、神と合一したという悟りが訪れるのを待つ。この境地に至った者は、時として聖者に認められ、崇拝の対象となった。

音楽

スーフィズムに影響を受けた宗教歌謡としてパキスタンカッワーリーがあり、著名な演奏者としてヌスラト・ファテー・アリー・ハーンがいる。

イスラーム聖者廟

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脚注

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参考文献

テンプレート:参照方法

  • 赤堀雅幸・東長靖・堀川徹編 『イスラームの神秘主義と聖者信仰』 東京大学出版会〈イスラーム地域研究叢書〉7、2005年。
  • 中村廣治郎 『イスラムの宗教思想 ガザーリーとその周辺』 岩波書店、2002年。
  • 中村廣治郎 『ガザーリーの祈祷論 イスラム神秘主義における修行』 大明堂、1982年。
  • 井筒俊彦 『イスラーム思想史 神学・神秘主義・哲学』 中公文庫、1991年、2001年。(初版は岩波書店、1982年)
    • 『井筒俊彦著作集』(全12巻 中央公論社、1992年 - 1993年)にも所収。
  • ファリード・ゥッディーン・ムハンマド・アッタール 『イスラーム神秘主義聖者列伝』 藤井守男訳、国書刊行会、1998年。(立花隆が推薦)
  • イドリース・シャー 『スーフィー 西欧と極東にかくされたイスラームの神秘』 久松重光訳、国書刊行会、2000年。
  • ガザーリー 『誤りから救うもの』 中村廣治郎訳、ちくま学芸文庫、2003年。
  • R.A.ニコルソン 『イスラムの神秘主義 スーフィズム入門』 中村廣治郎訳・解説、平凡社ライブラリー、1996年。(初版は東京新聞出版局〈オリエント選書〉3、1980年)
  • R.A.ニコルソン 『イスラーム神秘主義におけるペルソナの理念』 中村潔訳、人文書院、1981年
  • ラレ・バフティヤル 『スーフィー イスラムの神秘階梯』 竹下政孝訳、平凡社〈イメージの博物誌〉16、1982年。
  • シャイフ・ハーレド・ベントゥネス 『スーフィズム イスラムの心』 中村廣治郎訳、岩波書店、2007年。
  • オリヴァー・リーマン 『イスラム哲学への扉』 中村廣治郎訳、筑摩書房、1988年、ちくま学芸文庫 2002年。
  • ティエリー・ザルコンヌ『スーフィー イスラームの神秘主義者たち』 東長靖監修、遠藤ゆかり訳、創元社(知の再発見双書)2011年

関連項目

外部リンク

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