JR福知山線分岐線構想

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JR福知山線分岐線構想(じぇいあーるふくちやませんぶんきせんこうそう)は、大阪国際空港 - 西日本旅客鉄道(JR西日本)伊丹駅間をJR線で結び大阪駅まで乗り入れるという構想である。開港以来、大阪国際空港には国鉄・JR線は通っていない。この構想は1989年度に発表され、以来調査などが進められていたが、現在は種々の事情から事実上頓挫している。さらには同空港とJR伊丹駅を結ぶ次世代型路面電車 (LRT) を新設する検討も始めたが、こちらも採算面から頓挫している。

JR伊丹駅の用地

伊丹市は第4次総合計画で基本課題「空港と地域の調和ある発展」の「空港をいかしたまちづくり」の中に、「JR福知山線分岐線構想の実現化に努める。」とされ、現在、兵庫県と共同して調査検討を行っている。右端と左端に将来、空港線ができたときを考え、線路の用地を2箇所空けている。大阪行き方面のホームを挟み隣に側に空いている用地は雑草などが生え何も使われずに確保されている。宝塚方面のホームを挟んだ隣りは現在は自転車置場として使用されているほか住宅も3軒ほど並んでいるが、これらの住宅は将来の空港線のことを配慮して用地内に入らないぎりぎりの位置に建てられており、家を立ち退きなどせずに今まで通り暮らせるように配慮されている。

現在の状況と計画

この構想は、JR伊丹駅から分岐させて大阪国際空港までJR線を乗り入れ、定時性、高速性、大量輸送性の確保を図るものであるが、地形的な関係から莫大な事業費を要することが見込まれている。加えて事業採算性や建設費の手当、建設主体などがあいまいであると指摘されている。また、莫大な建設費の償還に迫られている大阪モノレールとの競合問題や、当初見込んでいた神戸方面からの乗客が神戸空港の開港で見込めなくなってきたこと、2005年4月25日に発生したJR福知山線脱線事故により過密ダイヤが問題となっており、分岐構想を実現するにはまだまだ課題が多い。なお、JR伊丹駅は前項の通りあらかじめ空港線ができたときのことを考え、線路の用地を2箇所空けている。

アクセスを改善するため、伊丹市は大阪空港行きの市バスの増発や、2004年からは直行便の運行も始めたが、赤字が続き、同路線の累積赤字は2010年までの5年間で3億5600万円に上った[1]。また阪急大阪モノレールとの連携を強化し、2001年には京都本線との接続駅である南茨木駅、2003年には宝塚本線との接続駅である蛍池駅にそれぞれ優等列車を停車させるようになった。なお、大阪モノレールの出資元の大阪府から大阪モノレール線大阪空港駅から伊丹市内へ延伸しようという提案も示されているが、こちらも実現の可能性はきわめて薄いと見られている。

また2007年から、兵庫県は同空港とJR伊丹駅を結ぶ次世代型路面電車 (LRT) を新設する検討を始め、採算性の調査費750万円を新年度予算案に盛り込んだ。阪急伊丹駅への延伸も検討され、有力なルートは空港ターミナルから猪名川左岸を経て、JR宝塚線伊丹駅に至る約4キロとした。所要時間を10 - 15分とし、途中に3、4駅を設け公的資金を中心に建設、運営は民間に委ねる方向で、建設費は300億円程度と見込んでいた。しかし採算面から頓挫し、2008年度以降は予算が計上されていない。2012年現在、兵庫県交通政策課は「長期的な課題だが、大阪空港利用者が増加しない限り、具体的な計画立案は見合わせる」としている[1]

空港線の新駅の計画

この空港線が実現されれば、JR伊丹駅 - 大阪国際空港駅の間に1つ駅を設けることになる。

伊丹駅(JR) - 西桑津新駅(仮) - 大阪国際空港新駅(仮)

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 1.0 1.1 鉄道連結20年間凍結状態 大阪空港‐JR伊丹駅 - 神戸新聞(2012年3月19日)