91式携帯地対空誘導弾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月15日 (金) 00:30時点におけるLos688 (トーク)による版 (画像: スティンガー可能性大)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:ミサイル 91式携帯地対空誘導弾(きゅういちしきけいたいちたいくうゆうどうだん)は、日本の技術研究本部と東芝が開発した国産の携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)。略称は携SAM及びSAM-2、広報向け愛称はハンドアローで、部隊内ではスティンガーPSAMと呼称されている。

概要

ファイル:Type 91 Front View.jpg
誘導弾先端のシーカー部
ファイル:Type 91 SAM optical sight.JPG
個人携帯地対空誘導弾(改)(SAM-2B)に装備されている、可視光イメージ誘導の際に使用する画像表示装置(写真の中央部分)

アメリカ合衆国製の携帯地対空誘導弾の後継として[1][2]1991年(平成3年)に制式採用された日本が開発した携帯式防空ミサイルシステムである。1979年より部内研究が行われていたが、1987年より試作に入っている[2]。派生型としてOH-1観測ヘリコプターに搭載する空対空ミサイル型や、高機動車に8連装発射機を搭載した93式近距離地対空誘導弾が存在する。

通常の赤外線パッシブ誘導と可視光イメージ誘導とを併用したハイブリッド型の誘導方式となっており、後者はCCDカメラによる画像認識により、人の目と同じように目標の可視光イメージを記憶してから誘導(画像認識誘導)ができるようになり[2]、そのため、発射器本体には、ハンディタイプのVTRカメラに装着されているビューファインダーに似た可動式の画像表示装置が取付けられている。これにより赤外線低放出目標や目標機体正面方向からでも発射が可能になり、フレアなどの妨害装置にも強くなった[2]ミサイルの姿勢制御は発射後に展開する前部の小型可動翼4枚で行う。ミサイル後部は、収納チューブに合わせるため胴体が細くなっており、4枚の安定翼がある。信管は設定秒時に作動する自爆機能を持つ。携行型は、発射筒に封入された誘導弾および発射器、外部電池、敵味方識別装置(IFF)によって構成される。発射器の形状は、スティンガーと似ているが、発射筒前上部のIFFアンテナの穴がSAM-2は2列、スティンガーは1列となっている。

主に陸上自衛隊普通科機甲科戦車)部隊や特科部隊の自衛防空用に配備されているが、航空自衛隊海上自衛隊でも1993年(平成5年)から基地防空用に配備されている[1]。空自では当初、操作要員に予備自衛官を充てることを想定していたが、操作法が難しく短期間の訓練で習熟することが不可能と判断され、現職の基地防空隊員と運用要員が扱っている。

2007年(平成19年)度からライフサイクルコストの低減や、低空目標への対処能力の改善、携行SAMとしては世界初の赤外線画像(IIR)誘導方式による夜間戦闘能力の向上、煙の少ない推進薬の使用などの改良を加えた個人携帯地対空誘導弾(改)SAM-2B)の調達が開始された[3][4][5][6]2002年度から開発が開始され、開発経費は約26億円。 テンプレート:-

調達数

SAM-2の調達数(陸上自衛隊分)[7]
調達年度
SAM-2
数量 調達年度
SAM-2
数量 調達年度
SAM-2B
数量
平成 3年度(1991年) 13セット 平成11年度(1999年) 12セット 平成19年度(2007年) 23セット
平成 4年度(1992年) 13セット 平成12年度(2000年) 11セット 平成20年度(2008年) 13セット
平成 5年度(1993年) 13セット 平成13年度(2001年) 11セット 平成21年度(2009年) 19セット
平成 6年度(1994年) 13セット 平成14年度(2002年) 39セット 平成22年度(2010年) 22セット
平成 7年度(1995年) 18セット 平成15年度(2003年) 52セット 平成23年度(2011年) 0セット
平成 8年度(1996年) 15セット 平成16年度(2004年) 23セット 平成24年度(2012年) 0セット
平成 9年度(1997年) 18セット 平成17年度(2005年) 15セット 平成25年度(2013年) 0セット
平成10年度(1998年) 13セット 平成18年度(2006年) 0セット

画像

登場作品

11話に登場。
「みらい」搭載のSH-60J哨戒ヘリコプターから戦艦大和」の煙突に発射された。
関ヶ原の戦い自衛隊員がアメリカ軍AH-64D1機を撃墜した。

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

  • 自衛隊装備年鑑 2006-2007 朝雲新聞社 P38,P449 ISBN 4-7509-1027-9

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:Asbox
  1. 1.0 1.1 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「nenkan20062007」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 技術研究本部50年史 P167-169
  3. 平成18年度 事後の段階の事業評価 個人携帯SAM(改) 要旨
  4. 平成18年度 事後の段階の事業評価 個人携帯SAM(改) 本文
  5. 平成18年度 事後の段階の事業評価 個人携帯SAM(改) 参考
  6. PANZER 臨時増刊 陸上自衛隊の車輌と装備2012-2013 2013年1月号,アルゴノート社,P90
  7. 防衛白書の検索