近鉄3220系電車

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テンプレート:鉄道車両 近鉄3220系電車(きんてつ3220けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道通勤形電車

概要

近鉄で「人に優しい、地球に優しい」をモットーにして造られた次世代の一般型車両、「シリーズ21」の第一陣として、2000年(平成12年)3月に登場した。

6両編成3本(18両)が製造され、西大寺検車区に配置された。京都市営地下鉄烏丸線への乗り入れ対応車となっている[1]。また、京都市営地下鉄直通対応車輌の中でいち早く音声合成による自動放送装置が採用された。電算記号(他社での編成番号に相当)は3200系と同じ「KL」である。かつて3222F(KL22)と3223F(KL23編成)は京都奈良への観光客誘致のラッピングが施されていた。(詳細は後述)

主要機器・性能

制御装置は、近鉄の通勤型、さらに標準軌車両では初めてIGBT素子VVVFインバータ制御装置が採用された。制御装置は3編成とも日立製作所製である。パンタグラフは3221Fのみがシングルアーム式のPT-7126形で、それ以外の2編成は下枠交差型のPT-4811形を搭載する。また、モ3220形のみパンタグラフを2基搭載する。主電動機はフレームレス構造を採用した三菱電機製MB-5085形(185kW×4)、冷房装置はCU-704形(21,000kcal)が1両あたり2台設置している。台車はボルスタレス式のKD-311形である。

車体

前面の形状は他の一般車両と違い「く」の字型で、ブレーキ読み替え装置が搭載されていない関係上、シリーズ21以外の車両との連結は不可能である。前面には、助手席側にオフセットされた非常用の貫通扉と、電気連結器が備わっていない密着連結器を装備する。先頭部の車両番号標記は他系列車両と違い、運転席の窓の右下に記されている。

「ク3120形」は近鉄では2代目となる。初代は2250系の付随車、「サ3020形」を制御車に改造したものだった。

運用

運用は3200系と共通で、主に京都線(京都~近鉄奈良)と地下鉄烏丸線で運行されるが、両系列合わせて毎日数本余るので、近鉄線のみを走る運用もある。

京都線と奈良線の車両は共通運用となっており、京都市営地下鉄直通急行運用の前後は一部を除き近鉄奈良駅では奈良線運用として折り返すようなダイヤが組まれているので、一部大阪難波にも顔を見せる。6両編成で増結ができないので、奈良線のみを運行する場合は準急・区間準急各駅停車の運用が多い。ただし、2009年現在、平日の一部では急行でも運用される。なお工場入場時や試運転時には大阪線と、大阪難波での折り返しのため電留線のある阪神なんば線桜川駅まで走行する。逆に近鉄・京都市交の両社局の車両走行距離の調整の兼ね合いもあり、地下鉄烏丸線内区間列車に運用される事も多い。

3200系も同様に、終日近鉄線のみの運用に入る場合も地下鉄線直通と同様に指定運用が組まれているが、乗り入れを行わない運用の場合は、車両の都合上、別の編成が入ることもある。近鉄線のみの運用は平日、土休日問わず主に奈良線を走るコースであるが、京都線京都 - 竹田間・橿原線に入るコースも組まれている。

主な運転区間と種別
注)
  1. 京都線は竹田 - 京都間を含む。山田川駅狛田駅のホーム有効長が4両分しかないため、新田辺以南の普通には使用されない。
  2. 天理線では、天理臨で使用される場合を除き、1日1~2往復程度しか乗り入れない。
  3. 奈良線では、平日の日中に限って一部の急行に使われることがある。

列車ごとの運行距離は、大阪難波 - 東花園間の各駅停車(11.7km)が最短、京都 - 橿原神宮前間の急行(58.4km)が最長となる。

特別塗装・ラッピング広告

3222Fと3223Fは、京都市営地下鉄烏丸線から近鉄奈良駅までの直通急行の運転開始を記念し、京都奈良への観光客誘致を兼ねてラッピングを施して登場した。国際会館京都大阪難波側から先頭(ク3720形)、3両目(モ3620形)、5両目(モ3220形)にはピンク色の下地に「KYOTO」の文字と、京都に関係のある絵(金閣清水の舞台舞妓祇園祭など)が入り、2両目(モ3820形)、4両目(サ3520形)、最後尾(ク3120形)には薄緑色の下地に「NARA」の文字と奈良に関する絵(東大寺大仏殿薬師寺奈良公園鹿など)が入っている。
ただし、3222Fは2011年4月にラッピングが撤去され、シリーズ21標準塗装に戻った[2]。3223Fは2011年7月にラッピングが撤去され、シリーズ21標準塗装に戻った。[3]

3221Fは、2010年2月から2011年9月まで橿原神宮鎮座120年記念大祭のラッピング広告が施されていた。

改造

阪神線への相互直通運転に対応する改造は行われていないが、LED式行先表示器は「大阪難波」の表示に対応している。

2011年に3221F - 3223Fがラッピング撤去・定期検査と同時に新型ATS(ATS-SP)設置・デッドマン装置更新工事が施工された。

備考

本系列のク3121 - 3123という車番は近鉄では2代目である。初代は大阪線2250系の先頭車化改造車に割り当てられていた。

脚注

  1. 運輸省令普通鉄道構造規則に準拠して設計されており、地下線内での非常時脱出のため、前面に貫通扉を有している。
  2. 近鉄3220系第2編成が標準塗装に交友社鉄道ファン』railf.jp 2011年04月18日
  3. 近鉄3220系第3編成が標準塗装に戻る交友社鉄道ファン』railf.jp 2011年07月15日

外部リンク

関連項目

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