職業能力開発総合大学校

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テンプレート:Infobox 職業能力開発総合大学校(しょくぎょうのうりょくかいはつそうごうだいがっこう、英語: Polytechnic University)は、東京都小平市小川西町2-32-1に本部を置く日本省庁大学校である。1961年(昭和36年)に設置された。大学校の略称は職業大(しょくぎょうだい)。

長期課程(学士(工学)を取得できる課程)および研究課程(修士(工学)を取得できる課程)は2011年(平成23年)度入学生の卒業および修了をもって廃止される[1]。2012年(平成24年)度より総合課程(学士(生産技術)[1]を取得できる課程として2012年2月に認可[2])が小平キャンパスに開設され、相模原キャンパスは2013年3月末で廃止された[1]

概観

大学校全体

学校教育法の規定によらない教育訓練施設で、厚生労働省所管の省庁大学校である。職業訓練指導員の養成、職業訓練指導員の能力向上のための訓練、先端的な高度職業訓練、並びに職業能力開発に関する調査・研究を総合的に行うことを目的とする。訓練課程、訓練科、教科の科目、設備等は職業能力開発促進法施行規則[3]に定められる基準に基づく。

職業能力開発促進法[4]第27条第3項の規定によりが設置するが、雇用保険法[5]第63条第3項、及び職業能力開発促進法第96条、並びに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構法第14条第1項第7号に基づき、国に代わって独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置・運営する。

大学校の理念

本大学校の理念[6]は、「ものづくり」と「人づくり」である。「ものづくり」では、「科学技術技能の融合」を最重要視する。「ものづくり」を人に伝え、次世代を担う人材育成に当たるための教育訓練が「人づくり」である。

教育訓練および研究

本大学校の総合課程(学部に相当)の卒業者には、独立行政法人大学評価・学位授与機構への申請により同機構長名で学士(生産技術)学位が授与される。

本大学校の長期課程(学部に相当)の卒業者には、同機構への申請により同機構長名で学士(工学)の学位が授与される[7]が、同時に、都道府県への申請により都道府県知事名で職業訓練指導員免許が交付される日本で唯一の教育訓練機関である。そのため、卒業に必要な単位は178単位(一般の大学は124単位以上)と多い。

本大学校の研究課程(大学院修士課程に相当)の修了者には、同機構への申請、審査および試験を経て、同機構長名で修士(工学)の学位が授与される。

職業訓練指導員が本大学校の応用研究課程を修了すると、職業能力開発大学校の応用課程を担当できるようになる。研修課程では、現役の職業訓練指導員が新たな技能・知識を修得する。

本大学校の専門課程では、現役の職業訓練指導員が別の職種の職業訓練指導員免許を取得できる。

研究面の特色として、職業能力開発の実践に必要な調査研究がある。

沿革

年表

学士を得られる課程の学科の変遷

長期課程
  • 1961年(昭和36年)度から1988年(昭和63年)度までの入学者
鍛造鋳造科、機械科、板金溶接科、運輸装置科、第1電気科、第2電気科、建築科、木材加工科、塗装科
  • 1989年(平成元年)度から2003年(平成15年)度までの入学者
産業機械工学科、生産機械工学科、電気工学科、電子工学科、情報工学科、建築工学科、造形工学科、福祉工学科
  • 2004年(平成16年)度から2008年(平成20年)度までの入学者
精密機械システム工学科、機械制御システム工学科、電気システム工学科、電子システム工学科、情報システム工学科、通信システム工学科、建築システム工学科
  • 2009年(平成21年)度から2011年(平成23年)度までの入学者
機械システム工学科、電気システム工学科、電子情報システム工学科、建築システム工学科
総合課程
  • 2012年(平成24年)度以降の入学者
機械専攻、電気専攻、電子情報専攻、建築専攻

基礎データ

所在地

  • 〒187-0035 東京都小平市小川西町2-32-1

象徴

  • 本大学校のシンボルマークは、科学・技術・技能の融合を表している。
  • 本大学校の歌として、永原康好作詞、木下正弘作曲による校歌「若き生命」と訓大寮歌「我らが館」がある。

教育訓練および研究

組織

総合課程

生産現場の指導者になり得る人材の育成を目的とし、職業訓練と大学教育の一体化教育を行う[9]。入学対象者は主に高等学校または中等教育学校卒業者で、修業年限は4年である。授業料は国立大学法人の標準額と同額である。

総合課程の専攻
専攻 定員 技能照査の合格で取得
機械専攻 20名 技能士補
電気専攻 20名
電子情報専攻 20名
建築専攻 20名

長期課程

職業訓練指導員の養成を目的とし、そのために必要な技能や知識に関する教育訓練と、大学工学部に相当する教育訓練の内容を併せ持つ。入学対象者は主に高等学校または中等教育学校卒業者で、修業年限は4年である。授業料は国立大学法人の標準額と同額であり、平成21年度入学者からは入学金も徴収される(平成20年度入学者までは無料)[10]。4年以上在学し、178単位以上を取得して必要な要件を満足すれば卒業と認められる。

職業能力開発総合大学校東京校、職業能力開発大学校および職業能力開発短期大学校専門課程卒業者は、長期課程3年に編入することが可能で、長期課程を卒業することにより職業訓練指導員免許を取得できる。しかし長期課程1年次からの入学者とは異なり、学士の学位を受けることはできない。

4工学科があり、各学科名と、取得できる職業訓練指導員免許の職種を以下の表に示す[11]

長期課程の学科と取得できる職業訓練指導員免許の職種
学科 定員 卒業のみで取得 対応する科目を履修した場合に取得
機械システム工学科 40名 機械科メカトロニクス科 塑性加工科溶接科コンピュータ制御科
電気システム工学科 30名 電気科電気工事科 メカトロニクス科、電気通信科、コンピュータ制御科
電子情報システム工学科 20名 電子科情報処理科 電気通信科、コンピュータ制御科
建築システム工学科 30名 建築科建設科 インテリア科左官・タイル科配管科

上記の工学科には教員と学生が所属するが、ほかに、担当教員のみが所属する専門基礎学科と能力開発専門学科(ともに学生募集は行われない)がある。専門基礎学科は、体育を含む一般教育を担当する。能力開発専門学科は、能力開発科目(大学の教職科目に相当)の授業を担当する。

長期課程には、大学にはない次のような特徴がある。

研究課程

高度な技術指導力、研究開発能力を持つ指導者及び職業訓練指導員の養成が目的である。大学院修士課程に相当し、入学対象者は長期課程卒業者、職業能力開発大学校と職業能力開発総合大学校東京校の応用課程卒業者、及び大学卒業者である。修業年限は2年である。学生は、大学院と同様に、授業料(国立大学法人の標準額と同額)を支払わなければならない。2年以上在学して所定の単位を修得し、研究論文の審査及び試験に合格すると修了と認められる。

なお、研究課程を修了しても職業訓練指導員免許を取得することはできない。また、教育職員免許の専修免許に相当するような、職業訓練指導員免許の上位の免許は存在しない。

研究課程には工学研究科があり、次の3専攻がある。

研究課程工学研究科の専攻と主な研究分野
専攻 主な研究分野
機械専攻 機械構造力学・接合、生産・設計、精密加工・機器、エネルギ変換・制御、システム設計・制御
電気・情報専攻 制御システム、電力システム、電子デバイス材料、電子デバイス設計・微細加工創成、光通信・計測、情報処理・信号処理、電子システム設計・制御
建築・造形専攻 建築構造工学・力学、建築計画・デザイン、建築生産・材料施工、デザイン設計

各専攻では、高度職業訓練の職業訓練指導員(職業能力開発総合大学校東京校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校の専門課程の担当教員)に必要な高度の専門的知識及び技能(応用的なものを除く)並びに研究能力を付与するための教育訓練が行われる。そのため、各専攻に関連する工学系科目だけでなく、能力開発専門学科による能力開発科目も履修しなければならない。

研究課程には、大学院修士課程にはない次のような特徴がある。

  • 研究論文(修士論文に相当)の作成に係る実験・実習とは別に、職業訓練指導員に必要な技能を養うため、専攻実技高度化実習が必修とされている。
  • 研究課程の修了者には、修了式(3月下旬)にて本大学校より修了証書が授与される。一方、修士の学位は、平成19年度までは次年度の9月下旬頃に授与されていたが[12]、平成20年度より課程を修了する年度内に授与されるようになった[13][14][15]

応用研究課程

職業能力開発大学校及び職業能力開発総合大学校東京校の応用課程を担当できる教員(職業訓練指導員)の養成が目的である。入学資格は、研究課程または大学院修士課程を修了した者、または同等と認められる者である。修業年限は1年である。応用研究課程には応用研究科があり、次の1専攻がある。

応用研究課程応用研究科の専攻
専攻 定員 訓練内容
高度実践技術指導者専攻 20名 OJTOff-JTを組み合わせた訓練

この専攻では、高度な知識及び技能で専門的かつ応用的なもの並びに研究能力を有する職業訓練指導員を養成する。応用研究課程の修了時には研究論文の審査を受ける。

専門課程

専門課程の目的は、既に職業訓練指導員の業務に従事している者等に対して、(別の職種の)職業訓練指導員免許を取得させることである。専門課程は、高度職業訓練の専門課程と同名称だが、これらとは目的が異なる別の課程である。職業能力開発促進法施行規則では、「指導員訓練の専門課程」、「高度職業訓練の専門課程」と表記して区別している。

入学資格は、(1)職業訓練指導員免許を受けた者、(2)職業訓練指導員として1年以上の実務経験のある者、(3)当該訓練科に関して2級の技能検定に合格した後に3年以上の実務経験のある者のいずれかに該当することである。

2009年(平成21年)度現在、専門課程には以下の訓練科があり、修了すれば同名の免許職種の職業訓練指導員免許を取得できる。訓練期間は1年であるが、以下の表に示す特定の免許職種を所持していれば、原則として6ヶ月となる[16]

専門課程の訓練科と、訓練期間が半年となるのに必要な職業訓練指導員免許職種
訓練科 訓練期間が半年となるのに必要な職業訓練指導員免許職種
(括弧内は平成16年改正前[16]の免許職種であること)
機械科 溶接科、構造物鉄工科自動車整備科内燃機関科冷凍空調機器科熱処理科、メカトロニクス科、塑性加工科、鋳造科鍛造科製材機械科織機調整科、(冷凍空気調和機器科)、(金属材料試験科)、(板金科)、(電気制御回路組立て科)、(トレース科)、(製罐科)、(粉末冶金科
メカトロニクス科 電子科、電気科、電気工事科、送配電科、情報処理科、コンピュータ制御科、溶接科、構造物鉄工科、自動車整備科、内燃機関科、冷凍空調機器科、熱処理科、塑性加工科、機械科、福祉工学科計測機器科理化学機器科義肢装具科建設機械科建設機械運転科農業機械科、(半導体製品科)、(マイクロコンピュータ制御システム科)、(冷凍空気調和機器科)、(製罐科)、(金属材料試験科)、(板金科)、(機械組立て科
コンピュータ制御科 電子科、電気科、送配電科、発変電科、メカトロニクス科、情報処理科、電気工事科、電気通信科、福祉工学科、(半導体製品科)(電気制御回路組立て科)、(無線通信科
電気科 電子科、送配電科、発変電科、電気工事科、メカトロニクス科、情報処理科、コンピュータ制御科、(半導体製品科)、(電気制御回路組立て科)、(マイクロコンピュータ制御システム科)、(電子管科
電子科 電気科、電気工事科、送配電科、発変電科、メカトロニクス科、情報処理科、コンピュータ制御科、(マイクロコンピュータ制御システム科)、(電気制御回路組立て科)、(電子管科)
情報処理科 電子科、電気科、電気工事科、送配電科、メカトロニクス科、コンピュータ制御科、(半導体製品科)、(電気制御回路組立て科)(マイクロコンピュータ制御システム科)
建築科 とび科プレハブ建築科、建設科、ブロック建築科、左官・タイル科、防水科床仕上げ科サッシ・ガラス施工科屋根科スレート科
溶接科 機械科、構造物鉄工科、自動車整備科、内燃機関科、冷凍空調機器科、熱処理科、塑性加工科、メカトロニクス科、造船科、配管科、(板金科)、(機械組立て科)、(冷凍空気調和機器科)、(金属材料試験科)、(製罐科)、(電気制御回路組立て科)、(舟艇科
配管科 溶接科、構造物鉄工科、自動車整備科、内燃機関科、冷凍空調機器科、住宅設備機器科、熱処理科、塑性加工科、造船科、メカトロニクス科、機械科、(板金科)(製罐科)(機械組立て科)(冷凍空気調和機器科)、(金属材料試験科)(電気制御回路組立て科)(舟艇科)
塑性加工科 溶接科、構造物鉄工科、自動車整備科、内燃機関科、冷凍空調機器科、熱処理科、メカトロニクス科、機械科、配管科、(冷凍空気調和機器科)、(機械組立て科)、(電気制御回路組立て科)

研修課程

研修課程の目的は、主に職業訓練指導員免許を受けた者等に対して、12時間以上の訓練(指導方法、技能・実技、専門の学科目)を行い、技術の進歩に対応させるために技能・知識を付与すること、あるいは技能や知識をより完全なものとするために補習させることである。 独立行政法人雇用・能力開発機構の新卒採用者の初任者研修も担当しており、教育訓練職(職業訓練指導員)だけでなく事務職も対象とする。

附属機関

  • 研究所
    • 基盤整備センター
  • 図書館
基盤整備センター

基盤整備センターは、職業能力開発総合大学校の職業能力開発に関する調査・研究機能を担う施設である。具体的には、教材開発、訓練システム評価、訓練技法、訓練コース開発等を主な調査・研究課題としている。本センターには研究員が配置される(教員は配置されない)。

沿革
  • 1961年(昭和36年) - 中央職業訓練所の設置と同時に同所に調査研究部が置かれる
  • 1965年(昭和40年) - 職業訓練大学校調査研究部となる
  • 1969年(昭和44年) - 雇用促進事業団職業訓練部内に教材課が置かれる
  • 1978年(昭和53年) - 教材課を吸収して職業訓練大学校職業訓練研究センターとなる
  • 1989年 - 職業訓練大学校再訓練部と統合して職業訓練大学校職業訓練研修研究センターとなる
  • 1993年(平成5年) - 職業能力開発大学校研修研究センターと改名する
  • 1999年(平成11年) - 職業能力開発総合大学校能力開発研究センターと改名する
  • 2012年(平成24年)- 職業能力開発総合大学校基盤整備センターと改名する
過去に存在した施設
起業・新分野展開支援センター

起業・新分野展開支援センター(愛称:創業サポートセンター)は、政府の総合雇用対策の一環[17]として2002年(平成14年)1月に設立された。独立して創業を検討中の個人等や、新たな分野への進出を検討中の事業主を対象として、これらに関する相談や公的支援等の情報提供、必要な人材育成、技術的な情報提供や課題の解決などについての支援を行う公的機関であった。

職業能力開発総合大学校の教員による公開講座や技術的課題のアドバイス、各種の専門家(中小企業診断士技術士公認会計士税理士弁理士、他)による起業等に関する相談業務を行ったほか、起業家養成セミナー、創業支援科(3ヶ月訓練、公共職業訓練)も実施していた。

2010年(平成22年)3月31日で本センターが業務終了となった。

関西起業・新分野展開支援センター

関西起業・新分野展開支援センター(愛称:関西創業サポートセンター)は、政府の総合雇用対策の一環として2003年(平成15年)7月に設立され、関西地方において起業・新分野展開支援センターと同様の業務を行った。

職業能力開発総合大学校や近畿職業能力開発大学校等の教員による公開講座、さらに近畿圏の職業能力開発大学校や職業能力開発促進センター等を加えての技術的課題のアドバイス、創業に関するセミナー等を実施していた。

2010年(平成22年)3月31日で本センターが業務終了となった。

研究

基盤整備センターでは、職業能力開発の実践に必要な調査研究を行っている。

  • 総合的かつ体系的な職務分析研究
  • 職業能力開発促進法施行規則別表基準の分野別見直しにかかる基礎研究
  • 職業能力開発ニーズの総括的な調査研究
  • 訓練システムに関する調査研究
  • その他

教育訓練

総合的ものづくり人材育成コース

日本の製造業の競争力向上を目的として、2003年(平成15年)4月に厚生労働省の要請により技術経営(MOT)の調査研究を開始し、開発されたカリキュラムが『総合的ものづくり人材育成コース』である。「ものづくり力(技術・技能)」、「変革・推進力(リーダーシップ・指導能力)」、「マネジメント力(経営的知識・感覚)」を兼ね備えた生産現場のリーダーを育成する。2005年(平成17年)秋よりスタートした。

学生生活

  • 長期課程及び研究課程の学生は、学割等の恩恵にあずかることができる。
  • 経済的理由により訓練を継続することが困難な者は、厚生労働省の技能者育成資金融資制度の貸与を受けることができる。一方、独立行政法人日本学生支援機構奨学金を借り受けることはできない。
  • 長期課程及び研究課程の1時限の授業時間は100分である。また、必要単位数が多いことから、大学・大学院に比べて夏期休暇の期間が短い。
  • 大学よりも修業に忙しいが、クラブ活動、同好会活動等も行われている。アルバイトをしている学生も多い。

同好会・クラブ活動

大学校公認学生団体として、文化系10、体育系21の合計31団体がある(2008年(平成20年)現在)。

  • 文化部
ゲーム部、T.C.G部、ロボット部、I.V.S部、フォークソング部、音楽部、漫画研究部、ソーラーカー同好会、建築サークル、学園祭実行委員会
  • 体育部
インラインホッケー部、サイクリング部、サッカー部、自動車部、水泳部、ソフトボール部、ダートライダー部、硬式テニス部、男子バスケットボール部、バレーボール部、野球部、バドミントン部、硬式野球部、ダンスサークル、剣道同好会、陸上競技同好会、柔道同好会、バスケットボール同好会、卓球同好会、スポーツサークル、レクレーションスポーツサークル

学園祭

学園祭は「能開祭」[18]と呼ばれ、2008年(平成20年)度で第16回目の開催となる。

スポーツ

大学校関係者と組織

大学校関係者組織

  • 長期課程および研究課程の同窓会組織として、滄水会がある。

大学校関係者一覧

校長

OB・OG

施設

キャンパス

  • 使用訓練:高度職業訓練、指導員訓練
  • 使用課程:総合課程、長期課程、応用研究課程、研修課程、専門課程(指導員訓練)
  • 交通アクセス:西武国分寺線小川駅から徒歩5分以内。

  • 総合課程の学生用に学生寮がある。

対外関係

地方自治体との協定

  • 2009年(平成21年)12月10日、相模原市と「地域産業活性化に関する協定」を締結した。協力事項は,市内中小企業におけるものづくり人材育成に係る諸問題の解決、大学との連携による新製品・新技術の開発,環境ものづくりに関する市民への普及・啓発の3点である。
  • 株式会社さがみはら産業創造センター(略称:SIC、相模原市が株主)と地域産業の活性化に関する協定を締結し、地域企業との産学連携に関する相談や様々な支援事業を行っている。
  • 相模原市の図書館との相互利用協定により、相模原市の市民は職業能力開発総合大学校図書館を利用できる。
  • 相模原市により、相模原キャンパスは広域避難場所として指定されている。
  • 相模原市が開催する市民大学講座において、1984年(昭和59年)度から講座を実施している。

学生の就職先

長期課程及び研究課程の卒業・修了後の進路に関する制限はない。職業訓練指導員としての就職先には、独立行政法人雇用・能力開発機構、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構都道府県立の公共職業能力開発施設法務省矯正施設刑務所)、認定職業訓練を行う民間企業の職業訓練施設がある。

1998年(平成10年)度以降の職業訓練指導員への就職率を見ると、2000年(平成12年)度までは50%以上あったが、2001年(平成13年)度以降は36.6%、32.8%、14.6%、12.9%、8.3%(2005年(平成17年)度)と低下し、その後、10.1%、20.2%と上昇に転じた[19]

なお、公表された2008年(平成20年)度の職業訓練指導員内定状況[20]によれば、職業訓練指導員としての内定を得たものは68名であった。内訳は、独立行政法人雇用・能力開発機構が31名、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が1名、都道府県の職業訓練指導員職が2名、法務省職員が11名、認定職業訓練を行う企業が22名、職業訓練法人が1名である。

国際協力

東南アジア諸国との政府間協定により、長期課程では1992年10月から東南アジア諸国の国費留学生を毎年16名、研究課程では2001年4月から毎年2名受け入れている。帰国後は各国の職業訓練指導員として出身国の人材育成を行う。

社会との関わり

職業訓練指導員への就職実績問題

「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)により、特殊法人であった雇用・能力開発機構は独立行政法人となり、2003年(平成15年)度から2006年(平成18年)度までの第1期中期目標期間において、常勤職員数の600名削減を目標に掲げた。その結果、2003年(平成15年)度には4名、2004年(平成16年)度には155名、2005年(平成17年)度には154名、2006年(平成18年)度には137名、合計で450名が削減された[21]。本大学校の長期課程は職業訓練指導員の養成が目的であるが、このような行政改革等の影響により同機構の職業訓練指導員の採用数が削減された結果、2001年(平成13年)度から2006年(平成18年)度までの間に、多くの卒業生が民間企業に就職している点に対して、各所から以下のような指摘を受けた。

総務省の指摘

総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、2005年(平成17年)11月、「平成16年度における独立行政法人の業務実績評価に対する意見」[22]を公表した。このなかで、職業能力開発総合大学校の卒業生における職業訓練指導員への就職実績が2004年(平成16年)度は1割程度であることを指摘し、独立行政法人雇用・能力開発機構に対して、卒業生の職業訓練指導員への就職状況を把握・分析・評価し、今後の在り方の検討に資する評価を行うべきであるとの意見を示した。

会計検査院の指摘

会計検査院は、2007年(平成19年)9月、『会計検査院法[23]第30条の2の規定に基づく報告書「特殊法人等から移行した独立行政法人の業務運営の状況について」』[24]を公表した。このなかで、職業訓練指導と関係のない企業等に就職する卒業生の割合が年々増加し、2005年(平成17年)、2006(平成18年)度では長期課程卒業生の大半(9割)となっていることについて、並びに、一般入学試験の応募倍率が長期課程で約3.9倍(2001年(平成13年)度)から約2.6倍(2006年(平成18年)度)、研究課程で約1.9倍(2001年(平成13年)度)から約0.4倍(2006年(平成18年)度)に減少していることについて、それぞれ指摘している。これを踏まえ、

  • 求められている業務成果の達成や効率化による経費の節減に引き続き努めること
  • 今後の業務の見直しに当たり、社会的ニーズ等を十分考慮して学校施設の規模等その在り方を検討すること

が独立行政法人雇用・能力開発機構には必要であると、国会及び内閣に対し報告した。

閣議決定

 「独立行政法人整理合理化計画」(平成19年12月24日閣議決定)において、職業訓練指導員の養成の需要に応じて、訓練科の再編や学生定員の削減などの組織の抜本的見直しを行うことが、独立行政法人雇用・能力開発機構関係の計画に盛り込まれた。これを受けて、「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令」(平成20年厚生労働省令第61号、平成21年4月1日施行)により、長期課程については7科(定員200名)から4科(定員120名)に再編された。

行政改革

独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止

「雇用・能力開発機構の廃止について」(平成20年12月24日閣議決定)において、独立行政法人雇用・能力開発機構は廃止し、職業能力開発業務は、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に移管、その他の業務は、廃止又は独立行政法人勤労者退職金共済機構等へ移管することが明記された。その中で、職業能力開発総合大学校については「職業訓練指導員養成の在り方、コストパフォーマンスを抜本的に見直した上で、ものづくりに関するセンターオブエクセレンスとして、企業の競争力の強化に資する取組を行う。」とされた[25]

施設の売却

長妻昭厚生労働大臣は、相模原キャンパスの施設・設備を売却し、教職員及び学生を東京都小平市の東京校に移動させる方針を表明した[26] [27]。 また、平成21年11月の行政刷新会議による事業仕分けの結果を受け、厚生労働省は、本校の売却について主務官庁として正式に検討することを発表した[28]

附属職業訓練施設

職業能力開発総合大学校東京校

職業能力開発総合大学校の先導的な高度職業訓練機能を担う施設として東京校があったが、2012年に統合された。

公式サイト

外部リンク

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. 1.0 1.1 1.2 校長あいさつ(職業能力開発総合大学校)
  2. 職業能力開発総合大学校総合課程を認定(独立行政法人大学評価・学位授与機構)
  3. 職業能力開発促進法施行規則
  4. 職業能力開発促進法
  5. 雇用保険法
  6. 2009年度学生募集案内
  7. 学位記は、卒業式にて卒業証書とともに手交される
  8. 長期課程及び研究課程の授業科目を担当する教員は、5年ごとに、独立行政法人大学評価・学位授与機構の審査を受けなくてはならない。この審査は、教員の研究業績、教育関係活動の実績等を申告させるものである。教員の審査のほか、長期課程及び研究課程の教育訓練システムが大学設置基準及び大学院設置基準を満たしているか否かの審査が行われ、「適」と判断されたら、学位授与施設としての認定が維持される。
  9. 総合課程学生募集リーフレット(平成24年度 学生募集用)(職業能力開発総合大学校)
  10. 職業能力開発総合大学校-よくある質問Q2
  11. 労働関係法令(官報より)2008年3月公布厚生労働省令第六十一号(独立行政法人労働政策研究・研修機構メールマガジン労働情報)
  12. 学位授与が次年度の9月下旬となる理由は、研究課程修了後に独立行政法人大学評価・学位授与機構による研究論文の審査及び研究論文に関する口述試験が実施されるためで、これに合格しなければ学位授与は認められない。修士の学位授与の時期の遅れは、独立行政法人大学評価・学位授与機構から修士学位を授与される他の大学校の各修了生でも同様である。
  13. 平成19年度独立行政法人大学評価・学位授与機構学位審査会(第1回、議事要旨)において、課程を修了する年度内に修士の学位を授与するスケジュールが了承された(平成19年5月16日)。
  14. 平成19年度独立行政法人大学評価・学位授与機構学位審査会(第2回、議事要旨)において、課程を修了する年度内に修士の学位を授与する実施手順及び審査日程が説明されている(平成19年8月27日)
  15. 機構ニュースVol.71, 2009 April(独立行政法人大学評価・学位授与機構)
  16. 16.0 16.1 専門課程(指導員訓練)学生募集要項(職業能力開発総合大学校)
  17. 平成15年度ものづくり白書(製造基盤白書)第2部(主な施策)ものづくり基盤技術の研究開発及びものづくり基盤産業の育成に関する施策(経済産業省、厚生労働省、文部科学省、平成16年6月)
  18. 能開祭ホームページ
  19. 職業能力開発総合大学校卒業生就職状況(今後の雇用・能力開発機構のあり方について(最終報告案)参考資料、p.34、厚生労働省、平成20年12月2日)
  20. 職業訓練指導員内定状況(職業能力開発総合大学校、2009年5月5日閲覧)
  21. 中期目標期間の業務実績の最終評価結果(独立行政法人雇用・能力開発機構)(2007年8月28日)
  22. 平成16年度における独立行政法人の業務実績評価に対する意見(総務省、平成17年11月)
  23. 会計検査院法
  24. 特殊法人等から移行した独立行政法人の業務運営の状況について(会計検査院、平成19年9月)
  25. 雇用・能力開発機構の廃止について(平成20年12月24日閣議決定)
  26. 「仕分け」の職業能力大学校、本校売却へ 100億円超(平成22年1月30日付朝日新聞ウェブサイトasahi.com)
  27. 平成22年2月20日付毎日新聞ウェブサイト毎日.jp
  28. 行政刷新会議事業仕分けWGにおける雇用・能力開発機構に関するヒアリングに対する厚生労働省のスタンスについて(平成21年11月11日厚生労働省報道発表資料)