油川夫人

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油川夫人(あぶらかわふじん、享禄元年(1528年)? - 元亀2年(1571年))は、甲斐国戦国大名武田信玄側室。生年に関しては天文5年(1536年)説もある。実父は『甲斐国志』では油川源左衛門信守としているが不明である。油川氏は武田氏の支流で、信玄の祖父武田信縄の弟油川信恵を祖とする。実名は不詳。法名は香林院殿。

略歴

信玄の側室で、多くの子女を残した。仁科盛信葛山信貞松姫菊姫の母であり、また信玄の三女真理姫の母も油川夫人であるとの説がある。元亀2年(1571年)に死去している。

武田氏は一族の子弟を征服した有力氏族の養子にして懐柔を図っているが、油川夫人の子である盛信は信濃仁科氏を、信貞は駿河葛山氏を継いだ。また、永禄年間から武田氏は尾張国の織田氏と接触しており、松姫は永禄10年(1567年)に織田信長の嫡男織田信忠と婚約したが、元亀3年(1572年)に破談になった。菊姫は天正7年(1579年)に上杉景勝の正室となっている。

実名は不明であるため、新田次郎の小説「武田信玄」では恵理、井上靖の小説「風林火山」では於琴姫(おことひめ・おごとひめ)と作中名を付けられている。

登場作品

映画
テレビドラマ

参考文献

  • 上野晴朗『武田信玄 下 母と子』1987年、潮出版社、310頁
  • 柴辻俊六「武田信玄とその一族」『新編武田信玄のすべて』
  • 柴辻俊六「武田氏当主の妻妾」『山梨県史』通史編2中世