戦場のメリークリスマス (サウンドトラック)

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戦場のメリー・クリスマス』(Merry Christmas Mr.Lawrence) は映画戦場のメリークリスマス』のオリジナルサウンドトラックである。1983年5月1日にリリースされた。英国アカデミー賞 作曲賞受賞。

解説

音楽坂本龍一。坂本にとって初めてのサウンドトラックアルバムでもある。映画自体のある種の非現実感から影響を受けて、西洋から見ても東洋から見ても“どこでもないどこか”、そして“いつでもない時間”をコンセプトに作られた[1]

メインテーマの認知度

テンプレート:出典の明記 テンプレート:独自研究 1曲目のメインテーマは坂本作品の中でもっとも認知度が高い楽曲とされている。理由は以下の通り。

  1. 国内外のアーティストによるカバーが多い。
  2. 坂本のオリジナルソロアルバムやライヴにおいても編成・アレンジを変えて何度も演奏されている。
  3. ピアノ愛好者がよく演奏し、市販されているピアノ譜に数多く掲載されている。
  4. 1986年に坂本がパーソナリティを務めたNHK-FM「サウンドストリート」の「坂本龍一ベスト10」で1位になった。
  5. 戦場のメリークリスマスというタイトルに因んでXmasシーズンになると流れる定番。

戦場のメリークリスマス - All About」では楽曲「戦場のメリークリスマス」のカバー曲の紹介とカバーされている背景を解説している。 坂本自身はなぜこの曲だけが特に好まれるのか、作った当時から分からなかったが、シンプルで覚えやすいメロディが原因ではないかと分析している。 なお坂本自身、作曲中に何度も「ぽろぽろ」泣いたそうである。キリコのコリクツ巻末付録での玖保キリコとの対談中に語っている。

収録曲

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  1. メリー・クリスマス ミスターローレンス Merry Christmas Mr.Lawrence
    坂本の全楽曲の中で最も知名度の高い“代表作”で、後のアルバムやライヴにおいても編成・アレンジを変えて何度も演奏されている。いわゆるペンタトニック(移動ドでいう「ド・レ・ミ・ソ・ラ」)中心の“オリエンタルなメロディー”+“近代西洋音楽の和声”=“東洋と西洋の高次な結晶”というような評価が世界中でされてきたが、坂本自身は「西洋でも東洋でもない、他のなんでもない、わけのわからないもの」として“東洋+西洋”という単純な考え方自体を否定している[1]。主旋律の音色はワイングラスサンプリングが使われており[2]、低音ではあえてチューニングがはずれるようにして東洋の雰囲気を醸し出している[1]。低弦以外はEmulator IIが使われている[3]。基本的には「四七抜き(ファとシを使わない)」で構成しつつ、一瞬「シ」を入れ込んでいる。この「シ」はIIIm(「ミ・ソ・シ」)の5度と考えられるテンプレート:誰2。坂本によると「繁留の反対」。イントロ部分の和声はIV→V7→IIIm→VIの四小節ごとの繰り返し、主旋律部分の和声はIV→V7→VIm→IIImを基本形にしている。2011年11月26日Eテレで放送された「“スコラ”坂本龍一 音楽の学校」では坂本自身による曲の解説が行われた。
  2. バタヴィア Batavia
    ジャワの喧騒の中、ガムランによるミニマルフレーズが繰り返される小曲。
  3. 発芽 Germination
    このアルバムの中では数少ない、生のストリングスを使った楽曲のひとつ。前半はポリリズム的なレガート奏法による部分、後半はピチカート奏法による部分に分かれる。前半のコード進行はIVm7→V/Iの繰り返し。賛美歌の終止によく使われるIV→I(いわゆるアーメン終止)の変形であろう。IVm7は自然短音階で構成されているが、V/Iは7度の音(移動ドでいう「ソ♯」)が混じるために和声的短音階に一瞬歪む。賛美歌の和声と一瞬聴こえる歪みが、この曲の叙情性と悲劇性をかもし出していると分析できるテンプレート:誰2
  4. 腹いっぱいの朝食 A Hearty Breakfast
    パンニングで左右に移動するシンセとノイズのミニマルフレーズに、木管アンサンブル、低音のストリングスが順に加わる。リズムは4分の3拍子と4分の4拍子を組み合わせた変拍子
  5. 闘いの前 Before The War
    まず、風が鳴いているような音色で曲を通して鳴り続けるミニマルフレーズが提示され、2つのメロディー、和音の順で音が重ねられていく。最後にまたミニマルフレーズだけが残り、曲は閉じる。
  6. 種子と種を蒔く人 The Seed And The Sower
    8分の5拍子と4分の3拍子を組み合わせた変拍子、低音部の増4度の動き、短3度上にどんどん転調する。
  7. 短い出会い A Brief Encounter
  8. ライド・ライド・ライド(セリアーズの弟の歌) Ride Ride Ride (Cellier's Brother's Song)
    作曲はスティーブン・マッカーディー。和声進行は機能和声的である。
  9. ザ・ファイト The Fight
  10. ファーゼル・クリスマス Father Christmas
    「メリー・クリスマス ミスターローレンス」の変奏曲
  11. 出て行け! Dismissed!
  12. 集合 Assembly
    坂本が映画撮影中のカメラファインダーを覗かせてもらったときに思いついた曲[4]
  13. 理性を越えて Beyond Reason
  14. 種を蒔く Sowing The Seed
    ノイズの持続音で始まり、音階を上昇していく低音部の上でシンプルなメロディーが繰り返される。メロディーの裏では「バタヴィア」のフレーズが鳴っている。
  15. 詩篇第23 23rd Psalm
  16. 最後の後悔 Last Regrets
  17. ライド・ライド・ライド(リプライズ) Ride Ride Ride ( reprise )
  18. ザ・シード The Seed
  19. 禁じられた色彩 テンプレート:仮リンク
    「メリー・クリスマス ミスターローレンス」のトラックにデヴィッド・シルヴィアンが歌詞・メロディーを作り、歌を乗せたもの。タイトルは三島由紀夫の「禁色」から引用[5]。後のライヴ演奏では、テンプレート:要出典範囲した。1983年7月全英シングルチャート16位。1987年にイギリスのアーティスト、マーク・スチュワートがアルバム「Mark Stewart」内でカバーしている。

音楽

1-7, 9-16, 18
Ryuichi Sakamoto
8,17
S.McCardy
15
Traditional
19
Ryuichi Sakamoto & David Sylvian, words by David Sylvian

カバーやサンプリング

  • 人生 - 1992年リリースのアルバム『サブスタンスⅤ』にて『玉ノ海、戦場でクリスマスをむかえるの巻』を発表。
  • 押尾コータロー - 2002年リリースのメジャーデビューアルバム『Starting Point』でアコースティックギターによるインストゥルメンタルとしてカバーしている。
  • ロットングラフティー - 2003年リリースのミニアルバムSynchronicitizm内の『悪巧み~Merry Christmas Mr.Lawrence』でこの曲に歌詞をつけてカバーしている。(2003年11月にシングルカット)
  • AI - 2003年リリースの両A面シングル『My friend/戦場のメリークリスマス』でこの曲に歌詞をつけてカバーしている。
  • 春畑道哉 - 2005年リリースの松本孝弘大賀好修増崎孝司との共作によるアルバム『Theatre Of Strings』において、ギターインストとしてカバーしている。
  • つじあやの - 2008年リリースのアルバム『COVER GIRL2』にてカバーしている。
  • 宇多田ヒカル - Utada名義で2009年にリリースしたアルバム『This Is The One』にて、この曲をカヴァーした「Merry Christmas Mr.Lawrence - FYI」を発表。
  • FACT - 2009年4月22日に発売したメジャーデビューセルフタイトルアルバム『FACT』にて、オリジナルの英語詞を付け、カバーしている。
  • RYUZO - 1stアルバム『The Document』に収録。この曲をサンプリングしている。
  • [WATERGATE] -(Heart Of Asia)と言うタイトルで、1999年のトランス名曲カバー。人気テレビ番組「サンデー・ジャポン」の裏ファミリーでもある「ひげガール」の、オデオンさんのテーマ曲としてヘビーローテーションされた。

関連項目

出典

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. 1.0 1.1 1.2 「What's In?」より
  2. UC YMO』のライナーノーツ・『邂逅』での「『戦メリ』でも活躍のワイングラスのサンプルも随所に。」という発言から。
  3. 2010年3月14日坂本龍一のツイッターでの発言より。
  4. 映画「戦場のメリークリスマス」パンフレットより。
  5. 「坂本龍一・全仕事」より。

外部リンク

Ryuichi Sakamoto - Merry Christmas Mr Lawrence - Discogs

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